海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

erg雲台の話

2020-10-03 | GFX+オールドレンズ

手前2つがergの雲台

 

Peakの雲台

 

erg(エルグ)の雲台は、今でも最高峰の雲台だと思っている。手前左は発売間もない頃に手に入れた雲台で、その右は新バージョンが出てすぐに設計者本人から購入した雲台。設計者は故富所皖之氏で、駒村商会でホースマン用に8x10で使えパーン棒のない雲台を開発した人。ただ、その雲台はコストと精度の問題で富所氏は納得しないまま製品化せざるを得なかった事もあり駒村から離れ、自分で納得出来る雲台を作る為に会社を設立しergブランドを立ち上げた経緯がある。

前世紀の話だが、このergの雲台を使う前はGitzoの三脚と雲台がプロの定番と言われるほどスタンダードだったが、お世辞にもGitzoの雲台は使いやすく精度が高いとは言えなかった。そんな時、突然今までの雲台の概念を変えるような雲台が生まれたのがergだ。カメラアングルを決めた時、ピッタリとそこでロック出来る雲台は当時あまり無く大型カメラでも問題なく使えるのでプロの間でも、あっという間に噂が広まり話題になったが、あまり売れなかったのは10万円以上という値段の高さだった。

当時、富所皖之氏はウメハラカメラサービスに間借りしていた時に伺い、この雲台の話を約1時間聞かされたが、その雲台に対する熱意は並々なる執念を感じた。雲台の素材は当時のホンダのF1用エンジンと同じ素材で製造していると聞きびっくり。そして、その場で画像の右の雲台を購入。一度、erg雲台の製造元が朝霞市にあり話を聞きに行った事がある。

富所氏と最後に会ったのは、私が上海に事務所を置く数ヶ月前に大塚駅周辺で会い、2つの雲台をメンテナンスしていただいたのが最後。その時、彼がポツリと言った事は、「雲台の上に貼るコルクが硬すぎました、それだけが唯一の失敗です」彼はその後、他界。

この2つのergの雲台は今でも現役で使っているが、ミラーレスカメラにはややオーバースペックかもしれない。でも、この雲台にカメラを取付てカメラを軽く叩いて振動させると、その振動が収まる時間が他の雲台と比べると圧倒的に短い。一番長く振動しているのは、借りて来たPEAKの雲台と三脚のセット(アルミ)だ。この雲台と三脚のセットでカメラを取付カメラを振動させると、一度揺れが収まりそうになる時に、もう一度揺れが来る呼び戻し現象が発生する。まぁ、これは三脚と一体で使う雲台なので、雲台より三脚の問題かも知れないな。このPeakが良い点は、持ち運びに便利な事。まぁ、慣れの問題もあるが雲台は使いやすいとは決して言えない。でも、このコンパクトな発想と旅用三脚としてはとても良いと思うので、今後に期待したいブランドだ。

☆135mmの長玉付きカメラを三脚に取付て、ミラーレスカメラの拡大画面表示にセット、そしてカメラ本体を軽く叩くと揺れの状態がよくわかる。軽い三脚は条件にもよるが、フォーカルプレーンシャッターの振動にも敏感だ。特に長玉使用事には注意。そんな場合は、電子シャッターを使う方が安心。

☆ergの雲台は、現在プロスパインで製造販売中→ココ


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