「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」が、おもしろい。
書名からして「投資」に関する本なので、その分野に関する情報が盛りだくさんなのは
もちろんなのですが、個人的には
○一人の労働価値は経済学的には「人的資本」と考えることができる。
○私たちは人的資本を労働市場に投資して(=就職して働いて)、給料を得ている。
○年収500万円の人は、金利を2%と考えるなら
2億5千万円分の価値がある人的資本(=自分)を定期預金して(=働いて)、
毎年500万円の利息を受け取っている(=給料をもらっている)。
と考えることができる。
あたりの展開に、深く納得し、興味深く、読み進めました。
そういえば、同じ著者の別の書籍に
「というわけで20代・30代であれば、しょうもない投資方法を考えるくらいなら、
自分自身に投資し、自分自身の「人的資本」を高めることが、最も重要。」
という趣旨のことも書いてあったようななかったような。
昨今の円高ドル安論争について、非常に説得力のある仮説も載っており、
こういった分野に興味のある方には、おススメの一冊です。
さて、本題。
少し前から、保育所の待機児童問題について、詳しく調べています。
ここには、保育所運営の民間移管の問題も色々と関わってくると思っていまして。
平成13年度から平成19年度までの6年間で、西宮市の認可保育所の受入枠は
3,640人から4,745人へと1,105名も増えています。
これに伴い、この間、当初326名だった待機児童は36名まで減少しました。
こうした数字だけを見ると、待機児童問題は改善に向かっているように見えます。
とは言うものの、この数字、見方を変えると、受入児童数が1,105名も増えたにも
関わらず、待機児童数は290名減少しただけという風にも見えるわけで。
この待機児童数は厚生労働省が定めた基準に則って、計算されています。
で、この基準では、
①他の入所可能な保育所があるにも関わらず、特定の保育所を希望している場合
②認可保育所への入所を希望していても、自治体の単独政策(いわゆる
保育室等の認可外施設や保育ママ等)によって対応している場合
は「待機児童」からは省かれます。
つまり、ごく大雑把に考えると、
「無認可保育所に預けられている児童、入所自体をあきらめられている児童の
存在を考慮するなら潜在的な待機児童数は、もっと多いことが予想される。」
ということが言えます。
そして、こうした点も踏まえますと、
『認可保育所の数を増やし、受入可能な児童の数を増やすのと、
「それなら、うちも認可保育所へ!」という保護者・児童数の増加とは、
いたちごっこになる可能性が高い。」
という、非常にイヤ~な予測も考えることができます。
(ちなみに、「2004年度保育所入所待機児童の状況」によると、平成16年の
全国の待機児童数は厚生労働省基準では24,245人とされていますが、
上の①②を考慮すると、実際の人数は41,800人まで膨れ上がります。)
他にも、働く保護者の増加という要因もあります。
もちろん児童数の動向にもよりますが、待機児童数は、今後、少なくとも一定期間は
増加する可能性が高いといえるでしょう。
こうした点を考えるなら、少なくとも、西宮市という単独自治体が行う、保育所施設の
増加だけで、待機児童の抜本的解消を実現することは困難ではないかと思うのです。
この項、もう少し続けます。