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参院選公示 一層の劣化許さぬ選択を 民主の「現実路線」を見極めよ

2010-06-24 12:46:43 | 日本
参院選公示 一層の劣化許さぬ選択を 民主の「現実路線」を見極めよ


http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100624/elc1006240328001-n1.htm



日本の劣化をこのまま放置するのか、それとも食い止めることができるのか。民主党が政権を獲得したあと、初の本格的な国政選挙として公示される第22回参院選の最大のポイントである。

 劣化をもたらしているのは、鳩山由紀夫前政権下で繰り返された数々の迷走と失政にとどまらない。民主党がマニフェスト上に並べてきた子ども手当や農家への戸別所得補償などに象徴される、利益誘導や選挙至上主義の色彩が濃い政策なのである。

 前政権を引き継いだ菅直人首相は、消費税を争点化するなどしているものの、東アジア共同体構想や地球温暖化対策の温室効果ガス25%削減目標など、鳩山前首相が重視した基本路線を継承する考えも鮮明にしている。これらで国益を守ることができるのか。



 ≪依存心招くばらまき≫

 実体が不明な東アジア共同体構想に幻惑されたため、鳩山前首相は胡錦濤国家主席との会談で中国海軍による海上自衛隊への軍事威嚇に触れることができなかったのではないか。25%削減目標も企業に負担増を強いて海外脱出を促すことになっていないか。

 日米同盟を空洞化し、日本の企業の活力を生かさないことが、この国を劣化させていることを認識しなければならない。

 菅政権がうたう「現実路線」への転換が本物かどうか。さらなる劣化を起こさない政治の枠組みはどうあるべきか。有権者の見極めに日本の未来がかかっている。

 懸念するのは、財源の裏付けなく、ばらまき政策を実施しようとする政権与党の無責任さだ。参院選向け公約では、子ども手当の満額実施を見送るなどの修正を加えたが、基本的な考えは変わっていない。こうした政策の多用は、国民の政府に頼ろうとする依存心を強め、自立心を損なっている。政府と国民の関係だけでなく、国のあり方も変質させかねない。

 前政権以来、もっとも注目を集めたともいえる事業仕分けが、将来を見据えた国家戦略に基づくものでなかったことは、小惑星探査機「はやぶさ」帰還と、それをめぐる政府の対応が示している。

 後継機となる「はやぶさ2」の平成22年度開発予算は、概算要求時点の約17億円から政権交代時の歳出見直しと事業仕分けを経て3千万円に縮減された。仕分けにあたった蓮舫行政刷新担当相は、今になって仕分けを再検討する可能性に言及しているが、科学技術における国際競争力強化への関心のレベルを物語っている。



 ≪自民は存在感足りぬ≫

 争点として避けられてきた消費税引き上げを、首相があえて打ち出したこと自体は政策論争を深めており、評価したいが、消費税の使途や10%という税率の根拠などを明確に示すべきだ。社会保障を負のイメージではなく、成長分野に位置付けるのであれば、産業化の具体的姿を示す必要がある。

 民主党政権がムダの排除を掲げ、消費税増税を否定する公約を反故(ほご)にしたことの説明も不十分だ。民主党は国家公務員の総人件費2割削減を掲げたが、積極的な取り組みは見られなかった。国会議員の定数削減も、衆院選で掲げた衆院比例代表80の削減は未着手だ。新たに参院で「40程度」削減する方針を示したが、本気度はわからない。

 いくら財政の危機的状況を訴えても、「わが身を切る」姿を政府や政治家が実践してみせなければ、負担を求められる有権者の心に届かない。消費税論議と同時に定数削減についても与野党で合意しておくことが必要だ。

 沖縄全戦没者追悼式に出席した首相は「沖縄のみなさんと真摯(しんし)に話をしていきたい」と米軍基地が集中する負担の軽減に努める考えを示す一方、「日本の安全だけでなく、東アジアの状況の中で前政権が合意したことをきちんと引き継ぐ」と語った。日米合意に基づき、8月末までに普天間飛行場の移設先の位置や工法を決定する考えを示したものなら妥当だ。

 米側には、参院選や9月の代表選などの政治日程を抱える民主党政権が、日米合意を完全履行できるのか懐疑的な見方もある。再び同盟空洞化を招くことのない外交姿勢が問われている。

 自民党は野党として臨む党再生をかけた選挙で、与党過半数を阻止し、現政権継続に歯止めをかけるとしている。だが、その重要性について国民への訴えかけは不十分だ。民主党政治の問題点をさらに具体的に突き、受け皿としての存在感を示す必要がある。








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「革命政権の行方」(下)“劇薬・小沢”の解毒なるか

2010-06-24 09:18:59 | 民主党
「革命政権の行方」(下)“劇薬・小沢”の解毒なるか


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100623/plc1006232315010-n1.htm



捕らぬタヌキの…

 参院選に向けて情勢分析を進める民主党選対幹部は先週、報道各社の世論調査結果にほおを緩めていた。

 「今の情勢なら単独過半数取れる。ひょっとしたら(改選議席54を大幅に上回り)70を超えるかもしれないなあ…」

 首相に菅直人が就任した後、内閣支持率は劇的に回復した。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した世論調査では、支持率は54.3%と高い水準を維持した。

 その後、菅の消費税発言で民主党の勢いにやや陰りが見え始め、単独過半数の獲得はそう容易ではない状況だが、もし民主党が単独過半数を獲得できれば、現執行部の求心力はますます高まり、逆に前幹事長の小沢一郎には遠心力が働く。

 これまで小沢は、他党との連立で過半数に足りない議席を補う「数合わせ」を得意としてきた。

 平成5年7月の衆院選後には、わずか1週間で日本新党代表の細川護煕を担いで8党・会派をまとめ、比較第1党の自民党から鮮やかに政権の座を奪い、世間をあっといわせた。

 民主党の支持率が急降下した2月下旬には、公明党の支持母体である創価学会幹部と会談し、参院選後の連携をにらんだ「手札」をちらつかせもした。

 民主党が参院選で敗北した場合、野党と瞬時に手を握れるのは「剛腕・小沢以外、他の誰にもできない」(小沢周辺)と党内外にアピールしたわけだ。

 小沢や側近議員らが、党内の「反小沢」の動きにタカをくくっていたのは、ここに理由がある。



 

脱小沢時代

 その状況は菅政権で一変した。民主党はこれから名実ともに「脱小沢」時代に入る、という見方も党内では広がりつつある。

 あるベテラン議員は、菅政権発足後、小沢との距離感に悩む若手議員を会合に誘い、参院選で与党で過半数に達しなかった場合の政局についてこう説いた。

 「これから3年間、国政選挙がないとなれば、小沢でなくても、(野党・無所属議員の)10人やそこらはすぐに引っ張ってこれる」

 若手議員が「例えばどの党からですか」と問うと、このベテラン議員はさらっと答えた。

 「公務員制度改革をすべて任せるから、思い切りやってみてくれといわれたら、おそらく(連立・提携を)断らないだろう」

 国家公務員の10万人削減をマニフェスト(政権公約)に掲げる「みんなの党」を念頭に置いていたのは明らかだった。

 反小沢を標榜(ひようぼう)してきた党執行部の1人は言い放つ。

 「政権を取れる政党に成長するため、民主党は小沢という劇薬を飲んだ。政権を維持するため、そろそろ解毒して元通りクリーンになる時期だ」




2人の師

 民主党幹事長の枝野幸男は就任直後、産経新聞のインタビューに対し、小沢が政治資金問題で起訴された場合の政治責任の取り方について「これは一般論」と断った上でこう述べた。

 「(刑法の)推定無罪の原則と、政治責任は別次元であるべきだ」

 場合によっては、離党や議員辞職の勧告も視野にあることをほのめかした発言だ。小沢はそれを受け入れるだろうか。

 「民主党に入党するとき、これが自分にとって最後の政党であり、民主党に骨を埋めると覚悟した」

 小沢は18年の党代表選で、こう表明したことがある。おとなしく民主党を離れ、謹慎するという選択肢はあるのか。党内最大勢力の小沢系議員は、主の没落を座視できるのか。

 ロッキード事件で逮捕され、自民党を離党した元首相の田中角栄が、その後も「闇将軍」として党内支配を続けようとした道を、まな弟子の小沢も歩むのか。

 小沢は前首相、鳩山由紀夫の退陣後、代表選候補として担ぎ出すため、角栄の長女の元外相、田中真紀子の私邸まで足を運んで説得を重ねた。だがそれが決裂して以来、2人はまったく音信不通となっている。

 「あれ以来、電話はチャリンとも鳴ってない」

 真紀子は、周囲にこうこぼしている。

 小沢は参院選公示日の24日、山梨県南アルプス市にあるもう一人の政治の恩師、元副総理の金丸信の墓に参る。闇献金事件で略式起訴され、後に脱税で逮捕された金丸の墓前で、何を祈るのだろうか。

 小沢の一挙手一投足が民主党の「明日」を左右する構図に変わりはない。(敬称略)










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「革命政権の行方」(中) 苦境の小沢氏、9月に立つか

2010-06-24 08:56:20 | 民主党
「革命政権の行方」(中) 苦境の小沢氏、9月に立つか 


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100622/plc1006222251035-n1.htm


■再起を期す

 積年の悲願だった政権交代を成し遂げ、それを「革命」と評していた民主党前幹事長、小沢一郎は今、苦境に立たされている。

 「『静かにしておれ』と言われているので、参院選では田舎の山奥やさびれた港町、あるいは大都会の裏町を回りたい」

 小沢は17日、東京都港区のホテルで開いた自身のパーティーで冗談交じりにこうあいさつし、首相の菅直人が党代表選で「小沢さんはしばらく静かにしていてほしい」と述べたことを当てこすった。

 その一方で復権をうかがう言動も隠そうとしない。12日には和歌山の世界遺産「熊野古道」を散策し、こう再起を期した。

 「古道を歩くと、身も心も再生する。自分をもう一度洗い直し、全力で努力していく」

 小沢が影響力を回復させるチャンスとにらむのは9月の党代表選だ。この機会を逃すと逆に「小沢は死に体になる」(非小沢系議員)運命が待ち受ける。

 小沢系といわれる議員は民主党の衆参国会議員約420人のうち150人を超える。代表選が党員、サポーターの参加も認める正式な形式で実施されれば、理論上は菅の再選を阻むことも可能なのだ。

 小沢は4日の党代表選を前に、小沢系の2~4期生の衆院議員で構成される「一新会」(45人、会長・鈴木克昌衆院議員)が自主投票を選んだ際、側近らにこう念押しした。

 「結束は弱まらないか。自主投票で大丈夫か…」




 ■数の結集

 菅内閣発足から2日後の6月10日昼。新執行部が「脱小沢」色を鮮明にするのをよそ目に、「一新会」は国会にほど近いマンションの一室で早速定例会を開いていた。

 定例会は毎週木曜日に開かれ、普段は国会や党運営などを報告する程度だが、この日は違った。会合の詳細なやりとりは明かされていないが、小沢側近の一、人はこう語る。

 「今まで小沢を支える複数のグループは別々に活動してきた。だが、これからは一緒に日本のあり方や小沢イズムを勉強しようという気持ちが、みんなの中にわき出てきた」

 小沢を支える民主党内のグループは大きく分けて4つある。中心的存在の「一新会」、新人衆院議員中心の「一新会倶楽部」(倶楽部)、「参院小沢系」、「旧自由党系」の4つだ。

 統一しなかったのは、「小沢軍団」の圧倒的な人数をあらわにしないためだった。にもかかわらず、あえて結集するということは「これからはなりふり構わず反転攻勢に出る」ことを意味する。

 小沢の信頼が厚い事務局長の岡島一正、事務局次長の松木謙公、小沢の秘書出身の樋高剛らいわゆる一新会のコアメンバーは今後組織の立て直しに本腰を入れるとみられる。

 参院選の投開票は7月11日。小沢系議員が結集しての勉強会は、その後に照準を合わせている。




 ■必要な組織固め

 だが、そのシナリオもそう簡単ではない。新執行部人事では、国対委員長の山岡賢次や副幹事長の松木や樋高、佐藤公治ら小沢側近はその任を解かれた。

 国会対策や選挙対策など党のカネを差配できるポストもすべて失った姿に反小沢のベテラン議員はほくそ笑む。

 「子分らに配るカネまでも止められたぞ…」

 また、小沢が結束の弱まりを懸念した通り、一新会と若手の一新会倶楽部の間にもしこりが生じている。

 代表選で一新会倶楽部は当初、結束して臨む方針を決めていたが、一新会が自主投票を決めたことを受け、結局、自主投票に切り替えたからだ。一新会コアメンバーが菅の対抗馬として現国対委員長の樽床伸二を支援するよう働きかけたことにも、一新会倶楽部からは「ボクらは数合わせ要員なのか」と不満の声が噴き出した。

 15日夜、東京・赤坂の居酒屋で一新会メンバー約20人のよる懇親会が開かれた。主催したのは、めったに会合を呼びかけない一新会会長の鈴木だった。関係者が意図を探ると鈴木サイドは「これは小沢さんの指示です」と答えた。

 一方、菅が参院選を前に「消費税10%」構想をぶち上げたことは、消費税率引き上げに反対してきた小沢に格好の対立軸を与えた。

 小沢に対し、4月に「起訴相当」の判断を下した検察審査会の次回議決の時期は不透明だ。消費税率引き上げ反対を大義に小沢が9月の代表選に出て一発逆転の大勝負を打つ。そんなうわさが早くもささやかれ始めた。









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「革命政権の行方」(上)何をやりたいのか分からない

2010-06-24 08:47:03 | 民主党
「革命政権の行方」(上)何をやりたいのか分からない


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100622/stt1006220049001-n1.htm



■ズル菅

 「自民党が提案している10%を一つの大きな参考にしていきたい」

 21日夕、首相官邸で行われた記者会見。首相の菅直人は消費税率を上げる場合、自民党案に便乗する考えを改めて示した。増税案が国民に受け入れられればそれでよし。反発が広がった場合でも「自民党も一緒だ」と釈明するための布石にも見える。

 「菅はずるい。極端に言えば、ずるさだけでここまで上り詰めた」

 民主党長老議員は指摘する。

 菅は市民運動家出身であり、自身も昭和49年の参院選で婦人運動の草分けの元参院議員、市川房枝の選挙を支援したことを政治活動の原点と強調している。

 だが、東京工業大学でノンセクトの学生運動を続けていたころには、意外な人物との接点も浮かぶ。

 東京都知事の石原慎太郎だ。菅は石原の43年の参院選初挑戦時、石原を支援する若者でつくる「日本の若い世代の会」の東京事務所に出入りしていたのだ。

 「石原知事とは結構古いいろんな縁があり、多少気の合うところもないわけではありません」

 昨年11月の党東京都連パーティーで菅はこうあいさつした。実際、石原事務所の古参関係者は「菅君」と親しみを込めて呼ぶ。




 ■現実主義と変節と

 菅は30歳で初めて国政に挑んだ際には、徹底して「反田中角栄」を訴えた。一方、平成15年には民主党代表として、田中直系の自由党党首、小沢一郎を民主党に招き入れもした。

 翌16年元日から、毎年必ず小沢邸の新年会に顔を出してきたのに、政権を握ると人事で露骨な「小沢外し」をやってのける。野党時代に繰り返した沖縄の「米海兵隊撤退論」もあっさり撤回した。

 「市民運動の限界に気付き、権力を握っていかない限り、思いを実現できないと変わっていった」

 菅の学生時代からの知人でさきがけ、民主党でも行動をともにした元衆院議員、佐藤謙一郎は語る。

 菅と30年以上の付き合いでときに政治行動をともにした閣僚経験者はつぶやいた。

 「長年いろいろ話してきたけれども、結局何がやりたいのかよく分からない」




 ■原点は国家解体?

 「もっと元気のいい国歌でもいいかなという意見が(民主党内に)あった」

 菅は14日の衆院本会議で、11年の国旗国歌法案採決で、現幹事長の枝野幸男らと反対票を投じたことを釈明した。ただ、菅はそれまで「日の丸・君が代」を容認していた。

 「市民革命」を口にする一方で、国の基本的要素についての無定見・無頓着はどこからくるのか。源流を探ると、菅が青年期に出会った1冊の本に行き着く。

 政治学者の松下圭一が昭和50年に出した「市民自治の憲法理論」だ。同書には、こう書いてある。

 「行政の意義設定をめぐって必要とされるのは(中略)市民の具体的な政治課題からの出発と、その主体を『国家』から『市民』へと置換することである」

 かみ砕くと、「国家統治」を崩壊させ、市民と地方自治体へ権力を移行させていこうという考えだ。

 菅は昨年末に出版した「大臣 増補版」で「松下理論を現実の政治の場で実践する」と明記した。11日の所信表明演説でも、松下思想を「私の政治理念の原点」と掲げた。政策的な融通無碍(むげ)さの背景には、国家観の欠如がある。

 官房長官の仙谷由人も松下の著書を「まくら元に置いて、年中読んでいましたね」(早野透著「政治家の本棚」)と高く評価する




  ■左派勢力に無警戒

 民主党幹事長、枝野幸男の資金管理団体が平成8年から11年までの4年間で、全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)と東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)から、計404万円に上る献金やパーティー券購入を受けていたことが21日、分かった。

 両労組について政府は5月11日の閣議で、殺人など多数の刑事事件を起こしている左翼過激派、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革マル派)の活動家が「影響力を行使し得る立場に相当浸透している」とする答弁書を決定している。枝野はこの閣議決定に行政刷新担当相として署名しているが、矛盾は感じなかったのか。

 JR総連は5月20日付で、答弁書は「誹(ひ)謗(ぼう)・中傷」だとして民主党側に指導を求める要請書を送ったが、枝野自身はどう考えているのか。

 小学校時代から、将来の夢は「政治家」と答え、弁護士の職を選んだのも政治家になる手段だったというのに、献金先には注意を払わなかったのか。

 枝野事務所は産経新聞の取材に対し、「政治資金規正法にのっとり、適正に処理している」と答えた。

 ただ、こうした左派勢力への無警戒ぶりは、独り枝野だけの問題ではない。民主党は参院選の比例代表候補としてJR総連の組織内候補でJR総連政策調査部長、JR東労組中央本部政策調査部長などを歴任した人物を公認している。




 ■文化大革命

 仙谷も枝野と同じく弁護士出身だ。東大時代は全共闘で活動し、司法修習生時代から学生運動にかかわって逮捕された学生を支援する弁護士を手伝っていたという。

 弁護士時代に労組絡みの裁判を通じて政治に目覚めた。現在も地方公務員労組で構成する自治労の組織内議員を務める。

 「政治の文化大革命が始まった」

 昨年11月には、行政刷新担当相として自らが主導した事業仕分けの成功について自賛した。ただ、中国で数千万人の被害者を生んだ文革を持ち出すのは、不謹慎だとの批判も浴びた。

 仙谷は平成4年、菅らとともに社会党、社民連、連合議員を集めた政策研究会「シリウス」を立ち上げた。第1回勉強会の講師に招いたのが、政治学者の松下圭一だった。

 当時、社会党参院議員としてシリウスに加わっていた小林正によると、仙谷はたびたび、「ポスト・モダン(近代の次)」という言葉を口にしていたという。

 「プレ・モダン(前近代)、モダン(近代)と来てポスト・モダンに至ると。今後、最終的には国家は崩壊するという国家解体の思想を語っていた」

 実は、前首相の鳩山由紀夫のブレーンとされた劇作家の平田オリザも今年2月、都内のシンポジウムでこう語っている。

 「鳩山さんとも話をしているのは、政治家は非常に言いにくいことだけれども、21世紀は、近代国家をどういうふうに解体していくかという100年になる」

 旧来型の社会主義革命とは別の、独自の革命像を追い求めているのか。



 ■3本の矢

 ただ、党執行部や中心メンバーがみな、こうだというわけではない。党の「3本柱」は枝野のほか政調会長と公務員制度改革担当相を兼ねる玄葉光一郎、選挙対策委員長の安住淳だ。2人の目線は革命よりも小沢をどう封じ込めるかに向けられている。

 2人はもともと国土交通相、前原誠司の議員グループのメンバーだったが、平成18年の偽メール事件で前原が辞任し後任代表に小沢が就くと、示し合わせて「反小沢」の前原グループと距離を置き始めた。

 「前原グループで固まっていたら党内に広がりが出てこない。それでは小沢と対抗できない」というのが理由だった。

 2人は岡田克也(現外相)に目をつけた。「野心家でときに危うさのある前原に比べ、堅物の岡田は安定感ある兄貴分」と映ったからだ。昨年5月の代表選では2人は岡田を担いだ。岡田が鳩山に敗れた後、安住は周囲に宣言した。

 「地道なレジスタンス活動を続けるぞ」

 東京・赤坂の衆院議員宿舎の自室を「バー安住」と名付け、夜な夜な新人議員から小沢体制に対する不平不満を聞き出し続けた。

 2人は「菅政権は3年、その後に長期の岡田政権」との絵図を描く。玄葉と安住、前原グループ、保守色の濃い財務相の野田佳彦を支える野田グループ。安住は「3グループが3本の矢となって菅を支える」ことで、復権をにらむ小沢と対峙(たいじ)する考えだ。


    ◇


 菅、鳩山、仙谷、小沢…と一見、政治家としての個性も経歴も志向もバラバラな民主党政権の主役たちには、実は一つの共通項がある。それは「革命」という言葉を肯定的に、好んで使うことだ。参院選を前に、彼らの世界観、目指す社会像に迫り、民主党の行方を考える。(敬称略)





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