読書日和

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「ジョッキー」松樹剛史

2008-06-15 13:52:50 | 小説
今回ご紹介するのは「ジョッキー」(著:松樹剛史)です。

-----内容-----
財布は空っぽ、乗る馬にも恵まれず、さえない毎日を送る青年騎手・八弥(はちや)。
それでも夢を忘れない彼に、ケタ外れの力を持つ注目の新馬に乗るチャンスが。
しかし、そこには意外な落とし穴があった…。
エリート騎手との対決、目標としていた先輩の失踪、大馬主の横暴、そして女子アナとの淡い恋―様々な思いを抱え、彼は天皇賞の大舞台を疾走する!
第14回小説すばる新人賞受賞、青春小説の傑作。

-----感想-----
主人公は中島八弥という29歳の騎手。
八弥はある事情により、今まで所属していた厩舎を離れ、フリーの騎手になりました。
所属騎手と違って、フリー騎手には固定給がありません。
なので八弥が生活していくためには、レースに出て賞金を稼がなければなりません。
しかし騎乗機会に恵まれない八弥は、生活していくのもままならない状態。
そんな八弥ですが、騎手として「営業はしない」という信念があります。
騎乗機会を増やすために、あちこちの調教師に取り入ろうとする騎手もいますが、八弥はそういうことをしません。
八弥の兄弟子である糺健一(ただすけんいち)の教えとして、「技術を磨け。その技術で馬主から選んでもらえばいい」というのがあり、八弥はこれを守っています。
長年営業をしてこなかったため、騎乗機会に恵まれないというわけです。

そんなある日、八弥に大きなチャンスがきます。
オウショウサンデーという、とてつもない実力を持った馬に乗ることになったのです。
デビュー戦を最後方からの追い込みで圧勝した八弥とオウショウサンデーですが、二戦目でトラブルが起きます。
レース自体は楽勝だったものの、馬主の指示とは違う乗り方をしてしまいます。
そしてこの馬主が、本作最大の悪役だと思います。
オウショウサンデーの馬主は、伊能満(いのうみつる)という傲慢な男。
「ファンにうけるから」という理由だけで、オウショウサンデーを無理矢理追い込み馬にしようとします。
しかし実際に乗ってみた八弥は、オウショウサンデーの気持ちを尊重したほうが良いと判断し、違う乗り方をしました。
これが伊能の怒りを買い、両者は口論に。
馬の気持ちを全く考えない伊能と、あくまで馬の気持ちを尊重する八弥。
どう考えても八弥の方が正しいのですが、悲しいことに伊能には絶対的な権力があります。
馬主が降ろせと言えばその一言で、騎手はクビになってしまいます。
こういった対決は現実の競馬世界でもあると思います。
馬主にも色々な人がいますし、中には儲け主義や名誉欲に走ってしまう人もいるかも知れません。
この小説はそういった競馬世界のことが詳しく描かれていて、濃密な人間ドラマが繰り広げられていました。
勝負の世界の話なので全体的にはシリアスですが、読みやすかったです。
レースの様子も騎手同士の駆け引きや作戦が描かれていて面白かったです。
それと、「会沢ミカ」という女子アナとの恋がどうなっていくのかも気になりました。
最後の終わり方がかなり気になるものだったので、続編を読みたくなる作品でした。
興味を持った方は読んでみてください

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