旅先で文庫本の『維摩経』(中公文庫)を読んでいたら、とてもいいことばがありました。
問う、「なぜ、太陽はジャンブ州(この世界)の上にのぼるのですか」
答える、「それは、照らして闇を除くためです」
言う、「…それと同じく菩薩も、衆生を浄め、知恵の光を照明し、大闇(だいあん)を除くためにわざわざ清浄(しょうじょう)でない仏国土に生まれるのです。しかし、煩悩といっしょにあるのではなく、あらゆる人々の煩悩の闇を除くのです」
問題の多い、浄らかとは言えない社会になりつつある国に生きていることも、菩薩としてわざわざ選んだことと考えれば、ポジティブに捉えることができます。
大乗の思想はほんとうに深いな、と改めて思いました。