里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヤシャゼンマイ 渓流の水際

2019-06-15 | 日記
一関市花泉町日形地区北部、丘陵地の間を流れる小河川の中流に、小滝や岩壁が続くエリア
があるので、流れに沿って踏査してきました。

渓流沿いに遡っていくと硬い礫岩からなる大岩があって、その窪みに羊歯植物らしきものが
生えています。歩み寄って確認すると、小ぶりなヤシャゼンマイですね。
増水時には水をかぶるような位置の、岩の割目や大石の間などに生え、半日陰かそれ以下の
場所を好むようです。ふつうのゼンマイに比べると、小羽片が細長い紡錘形ですね。
これは水没時の水の抵抗を減らすためと言われています。




                             二枚とも2019.6.11撮影

ヤシャゼンマイを漢字表記すると「夜叉薇」となります。夜叉などと付くと、何か恐ろしげな
由来がありそうですが、そういう事ではなく、単に「痩せ」が転訛して夜叉になったのだとか。
参考までに、ふつうのゼンマイの写真を最下段に貼り付けます。

全国各地に「〇〇山草会」とか「〇△植物愛好会」などがあって、山野での観察会や草物盆栽
の展示会などを催しているようです。今回記事にしたヤシャゼンマイですが、草物盆栽にすると
風情のある作品に仕上がるようで、とても人気のある植物なんだとか。
そんなことで盗掘されることが多く、多くの道府県で準絶滅危惧種に指定されているようです。
小さな盆栽鉢に生けてみたところで、所詮は人の手の加わった作り物。
自分の物にすることなく、山野に出かけて楽しみたいものです。




                                 2019.6.11撮影

ゼンマイ科ゼンマイ属の多年性の夏緑性羊歯植物で、草丈は20~50cm。北海道南部~九州
に分布し、渓流の岩の割目や大石の間等に自生。増水すると水没するような水際に生える。
根茎は直立または斜上し、葉を叢生する。
葉には2形あって、栄養葉は2回羽状複葉、小羽片は細い紡錘形で長さ3~6cm、先端は
やや尖り、基部は狭いくさび形。葉質はやや厚い革質で色は深緑色。ごく短いが葉柄がある。
胞子葉は栄養葉に先立って4月頃に出る。小羽片は線形で幅2~4mm、胞子嚢を密に付け、
胞子を放出するとすぐに枯れる。


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