登米市中田町上沼地区の北東部、北上川沿いの平地と分かれ、沢沿いの農道に入ると、
道端の草むらに黄色い花を付けた茎が立ち上がっています。
しゃがんで観察すると、ミヤマキケマンに似た花ですから、ケシ科の植物でしょうか。
ただ、ミヤマキケマンの花は4月頃咲くのに対し、今は9月ですから違う植物であること
は明白です。ケシ科と、9月に咲く黄花、これらで容易に種名が判るものと思われます。
なお、自生地の環境は湿り気のある半日陰で、周囲は鬱蒼とした杉林です。
二枚とも2018.9.2撮影
植物図鑑でミヤマキケマンを検索し、その前後のページをめくっていると、写真の花によく
似た植物が見つかりました。「ナガミノツルケマン」ケシ科の植物で、花期は8~10月。
花や葉がそっくりですし、山地のやや湿った林縁や、沢沿いの草地に自生とありますから、
これで間違いないでしょう。ネットで検索して写真を見ると、つる状に茎を伸ばして、多く
の花を付けています。私の写真の株は、まだ咲き始めたばかりのようで、これからつるを
伸ばしながら、たくさんの花を咲かせていくことでしょう。
なお、この植物は有毒ですから、あまり触らない方が良いですね。
名の由来は、ツルケマンに似ているが、果実が細長いことから名づけられたもの。
地域によっては希少な種で、南東北~関東、北陸~西日本では、多くの都府県で絶滅危惧種
に指定しているようです。
2018.9.2撮影
ケシ科キケマン属の2年草で、北海道~九州に分布し、つる状に長く茎や枝を伸ばす。
山地のやや湿った林縁や、沢沿いの草地に自生する。
茎は稜があって無毛、分枝して高さ1mほどになるが、全体が軟らかくなよなよした感じで、
他の草にもたれかかってやっと立つ。自生地の環境によっては立ち上がりが少なく、横に伸びる。
葉は互生し、2~3回3出複葉で長い柄がある、小葉の多くは3深裂して、裂片は楕円形で長さ
1~1.5cm。裏面は緑白色。苞は幅2~5mm。
花期は8~10月、 茎の先に長さ1.5~2cmの鮮黄色の花が総状に5~20個つく。花弁は4個。
外側の2個が上下で筒状になって、先は唇形となる。上花弁が長く、距の先は下向きに湾曲する。
下花弁はやや小さい。内側の2花弁は小さく、筒内にあって先端で合着する。雄しべは2個で
花糸はそれぞれ3裂する。子房は1室。
果実は線状倒披針形の蒴果で、果実は長さ2~2.5cm。果柄の先にぶら下がる。
種子はほぼ球形、直径2mmほどで1列に並ぶ。熟すと果皮が2片に裂けて、種子をはじき飛ばす。
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