石巻市大川地区の北上川(追波川)河口域、防潮堤沿いのかさ上げ地を巡っていると、細い
剣形の根生葉が生えているのを見つけました。触ってみると質はやや厚く、表面は半光沢
で、先端は尖っています。初見の根生葉で、ユリ科か、ラン科のような印象ですね。
さらに行くと6~7株見つかり、その内の2株は茎が立ち上がり始めています。
帰宅後に「野草のロゼット」というハンドブックのページをめくって見ましたが、ユリ科
にもラン科にも似たものは見当たりません。我家にある各種植物図鑑を調べていると、カ
ワラニガナの根生葉がやや似ているので、ひょっとしたら私の知らないキク科の植物なの
かも知れません。
二枚とも2023.12.4撮影
キク科植物に注目して植物図鑑のページをめくっていると、ウラギクの茎に付いている細
長い葉が、私の最下段の写真の茎葉によく似ています。改めてウラギクをネット検索して
多くの写真を見ていると、根生葉の写真があって私の写真の根生葉によく似ています。
さらに各部位の特徴を読み込むと「全体に無毛。茎の下部は赤紫色を帯びることが多い。
葉は披針形で長さ5~10cm、全縁で、厚く光沢がある。葉先は尖り、基部は茎を抱く。」
とあります。なお、花期に根生葉は枯れているようです。
ウラギクは河口や海岸近くの塩性湿地に生える越年草とあるものの、海岸近くの攪乱され
た場所にも生育する例があるようです。ここも海岸近くのかさ上げ地ですから、これに当
てはまるしょう。キク科の植物は冠毛付きの種子を風散布しますから、それがここに飛ん
できて定着したものと推測されます。
佐賀県の海岸の埋立地や護岸で撮影された写真があり、中に根生葉の写真もあるので、下
のURLをクリックして参照願います。
http://ryujumihou.blog.jp/archives/7993253.html
二枚とも2023.12.4撮影
キク科シオン属の越年草で、北海道東部と本州の関東以西の太平洋側~九州に分布する。
汽水域の湿地や河原、沿岸部の草地などに自生する。草丈は25~80cm。
主に秋に発芽して根生葉で越冬する。翌年の秋に開花して、種子を散布後に枯死する。
根は太いが、根茎はない。
茎は太めで直立、下部は赤紫色を帯びることが多く、上部で分枝する。
葉は披針形で長さ5~10cm、全縁または疎らな鋸歯があり、厚く光沢がある。葉先は尖り、
基部は僅かに茎を抱く。根生葉及び下部の葉は、花の時期には枯れる。
花期は8~11月、茎頂や枝先に、散房状に多くの頭花をつける。頭花は直径2cmほど、周
囲に淡紫色の舌状花があり、中心には黄色の筒状花がある。
痩果は扁平な狭長楕円形で長さ3mmほど、冠毛は長さ15mmほどで淡褐色の冠毛がつく。
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