一関市花泉町永井地区北東部、丘陵上の農道を東へ歩いて行くと、牧草地の北斜面下の
窪地に水が溜まっていて、辺りが小さな湿地のようになっています。そこに湿り気を好む、
カヤツリグサの仲間と思しき植物が群生しています。今はたくさんの果穂を付けていて、
これが重いのか、首を垂れたり傾いたりしています。
8月に訪れた際にも見かけて写真も撮ったのですが、色々調べたものの素性が判らずに放
置していたものです。
二枚とも2020.9.17撮影
果穂は濃いめの褐色で1つひとつは米粒状、茎(稈)は丸みのある3稜形で、草丈が1mほど
と特徴がはっきりしていますから、改めて調べれば素性が判ると思うのですが・・
「日本の水生植物」という記事で、カヤツリグサ科の植物を見ていると、マツカサススキと
いう種が載っていて、各部位の特徴が合致します。
「湿地や休耕田などに自生する抽水植物」とあり、自生環境も合致しますから、これで間違
いないでしょう。かなり珍しい種のようで、多くの都府県で絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指
定しています。東北地方でも秋田県、山形県、福島県が絶滅危惧種に、岩手県が準絶滅危惧
種に指定しています。
2020.9.17撮影
2020.8.14撮影
カヤツリグサ科クロアブラガヤ属の多年草で、北海道~九州に分布し、草丈は1~1.5m。
溜池畔や休耕田、湿地や河川敷の溜水などに自生し、日当たりを好む。
茎(稈)は叢生し、基部は黒褐色~濃褐色で肥厚する。
茎は太めで堅く、横断面は中空で鈍い3稜があり、ふつう5~7個の節がある。
葉は扁平な線形で幅4~8mm、基部は長い筒状の鞘となって茎を包む。
花期は8~9月、茎の先や上部の葉腋から花序の枝を出し、それが散房状に枝分かれし、
その先に10~20個の小穂が球状にかたまった花穂をつける。 頂生の花序は長さ5~10cm、
苞葉は3~5個つき、下方の2~3個は花序よりも長い。
小穂は4~6mmの米粒状で、初めは緑色、やがて 褐色となり、熟すと黒褐色を帯びる。
痩果は倒卵形、横断面は扁平な3稜形、長さは1mmほど、上端は嘴状。
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