里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ネギ 球状の花序

2023-05-18 | 日記

気仙沼市本吉町、丘陵上の農道を歩いて行くと、脇の畑の一畝にネギが植えられていて、
花茎の先にはポンポン状のネギ坊主が付いています。ネギ坊主はネギの花で、野菜として
のネギは花が咲く前に収穫されてしまいますから、ふつう花を見ることはありません。
このように一本の畝の数十本に花を咲かせているのは、種子を採種する目的からでしょう。
たくさんのネギを栽培する農家の場合、その種子や苗を全て買っていては出費が大きくな
りますから、こうして自家採種するのでしょう。

                             二枚とも2023.5.10撮影

ネギの原産地は中国西部~中央アジアで、我国へは朝鮮半島経由で奈良時代には渡来して
いたようです。性質は強健で暑さ寒さに強く、病害虫にもかかりにくいため盛んに栽培さ
れ、各地に「九条ねぎ」、「下仁田ねぎ」など地方品種が生まれました。

花のつくりとしては、小さな花が数十から数百個集まって、球状の花序を形成しています。
1つの花は6枚の花弁からなり、6本の雄しべが花弁より長く伸び出ています。
写真の花もそうですが、雄しべの先には黄色い葯が付いていて、昆虫の助けを借りて花粉
を散布します。ネギの花は雄性先熟で、花粉散布が済んだ頃に雌しべが成熟して、受粉が
可能になります。これは自家受粉を避けるための仕組みです。

                                 2023.5.10撮影

ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、原産地は中国西部~中央アジア。草丈は50~80cm。
現在では野菜として広く世界で栽培されている。全草に特有の辛みと刺激臭があり、これ
は硫化アリルという成分によるもので、消化促進や免疫力向上などの健康効果がある。
鱗茎はなく、多数のひげ根がある。葉はふつう秋から春にかけて生長する。
葉は互生し、筒状の葉を叢生、先端は尖る。下部は鞘状に重りあって偽茎となる。
地上部は緑色になるが、地中に入っている部分は白い。
花期は5~6月、葉間から中空の花茎を伸ばし、先端に200~300個の白緑色で鐘形をした
6弁花を密生し、球状の花序となる。雄しべは6個、先端の葯は黄色。
ネギ属の花は雄性先熟で雄しべが先に伸び、花粉を散布後に雌しべが伸び出て受粉する。
果実は蒴果。薄い果皮は3裂して種子を散布する。
種子は黒色、ほぼ半月形で長径3~4mm。

 



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