南三陸町戸倉地区で最も長い水戸辺川、これに南東から流入する支流があります。
ここは流れと林道が平行していて、野草や樹木を容易に観察できるため、年に三四回は
訪れています。この支流沿いにはイタヤカエデが多いので、花期を前に撮影が容易な樹は
ないかと、下見的に歩いてみました。
イタヤカエデの花は、新葉が開く前に咲くようです。
雌雄同株で、散房花序を出して小さな花をたくさん咲かせますが、その一つの花序内に
雄花と雌花が雑居しているのだとか。
鮮やか黄色い花が、梢の先の方に咲きますが、この辺りでは花期は4月下旬頃でしょうか。
樹高10m以上の高木では煙るような花になってしまいますから、低い木に咲く花を探さなけれ
ばなりませんが、この水戸辺川支流ならたくさんのイタヤカエデが生えているので、上手く
見つかりそうな気がします。
二枚とも2015.3.14撮影
イタヤカエデの材は緻密・強靭で、器具材として工具・農具の柄、建材では床柱・床框(とこがまち)、
フローリングなどに多く用いられています。
ボーリング場のレーンもイタヤカエデで出来ていて、それはフローリングの延長で当然とも
思えますが、意外だったのはボーリングのピン。
ボールが当たると硬くていい音がするので、プラスチック製だと思っていましたが、これが何と
イタヤカエデ製だと言うので驚きました。
底部から小さな四角い穴が空いていて、割れ防止になっていると同時に、これで少し高めの
音が出るのだといいます。
2015.3.14撮影
カエデ科カエデ属の落葉広葉樹で、樹高15~20mの高木。
山地の沢沿いや、湿り気のある窪地などに自生する。
樹皮は暗灰色で、縦縞の模様がわずかにある。老木になると浅く裂ける。若い枝は緑色~紅紫色。
葉は対生し、葉柄は長さ6~14cm。葉身はほぼ円形で、掌状に5~7裂するが、他の多くの
カエデ類と異なり、裂片の縁に鋸歯はない。裂片は幅が広く、先が鋭く尖る。
葉の基部は浅い心形~切形。葉表にはやや光沢があり、無毛。
葉裏は脈腋に淡褐色の毛が生える。雌雄同株。
花期は4~5月で、散房花序を出して10~100個の小花を付ける。雄花と両性花が花序に混じる。
花は直径5~7mm。花弁と萼片は黄緑色でともに5個、平開する。雄しべ8個。
果実は翼果で2分果。翼は鋭角的な「への字」型で、一片の長さは2~3m。
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