里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

タコノアシ 赤く色づいた茎 

2017-02-07 | 日記

昨年の2月に、手樽地区の休耕田でタコノアシの群生地を見つけましたが、地上部は
枯草になっていて、「タコの足」らしい草姿が見られませんでした。
秋ならそれらしい姿が見られるだろうと、タイミングを見計らって訪れてみましたが、
まだ早かったようです。ゆで蛸のように真っ赤な姿になるのは、10月中旬でしょうか。

タコノアシは湿地や休耕田で時々見られる希少な植物で、宮城県や千葉県を除く
殆どの都府県が絶滅危惧種に指定しています。宮城県は低湿な土地が多いので、
保護するほどには減少していないのでしょう。




                             二枚とも2016.10.1撮影

タコノアシは群生しても数年で勢いが衰え、やがて消滅するようです。
それは株の寿命なのか、或いは周囲にセイタカアワダチソウやヨシが茂り、環境が
悪化するせいなのかは解りませんが・・・
ところが洪水や土木工事で、土が攪拌されると復活するというのです。
それについて、大手ゼネコンの清水建設が調査・解析し、論文にまとめています。
以下に休耕田の箇所について要約します。

タコノアシの果実は蒴果で、直径は6~7mm、5室に分かれています。
熟すと上側が帽子のように外れて、微小な種子を周囲に散布します。種子は狭卵形で、
長さ0.6mmほど。条件が満たされれば翌春発芽しますが、そうでない場合は土中に
埋まってシードバンク(埋土集団)を形成します。
土の攪拌によって種子が表面に現れると、10~20℃の気温で発芽します。

タコノアシの継続的な生育には、耕起および他種の刈払いが有効です。
また管理が放棄されると、ほとんどの場合で2~3年内にタコノアシは消失します。
このことは、タコノアシ以外の植物により遷移が進むと、タコノアシが減少すること
を示しており、タコノアシが攪乱依存種であり、遷移の初期に出現する種である
ことを示唆しています。


 タコノアシの種子の拡大写真〈フグさんの雑記帳より〉


                                 2016.10.1撮影

ユキノシタ科 タコノアシ属の多年草で、本州~九州に分布する。
河川敷や湿地、水田跡などの水辺に自生し、草丈は30~100cm。
地下茎で増殖するとともに、種子繁殖もする。
地下茎はあまり枝分かれせず、1本の茎から数本が形成される程度。
地上茎は分枝せず直立し、やや株立ちとなって疎な群落を作る。
葉は互生し、葉身は披針形で長さ6~11cm、幅5~12mmで、無毛。
縁には細鋸歯があり、基部はくさび形でほとんど無柄。
花期は8~9月で、茎上部から外側に反った穂状花序を数本出し、内側に黄白色の
小さな花をたくさん付ける。花の直径は5mmほど、花弁はなく、5枚の萼片、10本の
雄しべ、5本の柱頭がある。果実が熟すころには全草が紅色に染まる。
果実は蒴果で、種子は非常に細かく微粉状。



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