なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

多発性肺腫瘍~甲状腺癌の疑い

2024年02月02日 | 呼吸器疾患

 1月25日(木)、呼吸器外来に来ている先生に相談があり、外来に行った。もう少しで診察が終わるころで、最後の患者さんとの会話が聞こえた。

 肺の多発性腫瘍で市内の内科クリニックから紹介された69歳女性だった。診療情報提供書の写しを見ると、原発性肺癌の肺内転移か、他臓器の癌の肺転移が疑われる。

 

 2019年から当院の脳神経内科外来に通院していたが、2023年に市内のクリニックに紹介となっていた。高血圧症と高脂血症で脳神経内科(それも非常勤医師の外来)に通院していた理由がわからない。

 どこか他の医療機関で高血圧症の治療をしていて、直接脳神経内科の外来を受診している。神経症状があるというわけでもなく、初診の日から降圧薬の調整の話が出ていた。実際は処方通りに内服していなかったようだ。

 推定だが、通院しているところに不満があって、当院を受診したようだ。何故脳神経内科だったのかは不明だ。

 

 昨年6月にクリニックへ紹介となって、1か月分の処方が出されたが、クリニックを受診したのは12月だった。まだ薬はあると言っていて、ちゃんと内服はしていないようです、と記載されていた。

 診察で不整脈があり、心電図と胸部X線を行った。心電図では不整脈はなかった(期外収縮だったか)。胸部X線で右肺に多発性に大小の腫瘤が写っていた。精査として地域の基幹病院を勧めたが、行きたくないということで当院紹介となった。

 当院を受診してもCTが撮れるだけで、癌の精査・治療はほぼ高次医療機関紹介になる。診察した先生(大学病院から応援)は頸部~腹部CTをオーダーして、放射線科の読影レポートをみることにした。

 その日は患者さんひとりで来ていて、次回の結果説明の時は必ず家族を連れてくるようにと言われたが、いやがっていた。その説得で時間がかかっていた。

 

 後でCTを確認した。肺内の大小の腫瘤が描出されているが、肺門・縦隔にリンパ節転移は認めなかった。腹腔内に明らかな腫瘍は指摘できない。甲状腺右葉の腫瘤があり、甲状腺癌の肺転移が疑われた。

 甲状腺癌疑いだと(他の可能性の判断も含めてになるが)地域の基幹病院かがんセンターへの紹介になる。

 

 研修医3年目の時に診た、甲状腺癌(未分化癌)の多発性肺転移が思い出された。

 

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