なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

総胆管結石2連続

2020年08月11日 | Weblog

 金曜日の午前中に腹痛・発熱の高齢者が続いて救急搬入された。救急当番の外科医が対応したが、いずれも総胆管結石で内視鏡治療のできる病院へ搬送となった。

 最初は90歳女性で、午前1時から上腹部痛が続いて、救急要請していた。単純CTで肝内胆管~総胆管が拡張して、総胆管末端に結石を認めた。血液検査ではAST 980・ALT 240・ALP 393・γ-GTP 191・総ビリルビン2.0と胆道系酵素の上昇・黄疸(初期)を認めた。

 地域の基幹病院消化器内科へ搬送となった。CT撮影時に肝内胆管の拡張が描出された時点で総胆管結石かとおもったはずで、診断は楽だったはずだ。

 2例目は92歳男性で、夜間から上腹部痛が続いて救急要請していた。こちらも単純CTで肝内胆管~総胆管が拡張して、総胆管末端に結石を認めた。血液検査ではAST 403・ALT 144・ALP 638・γ-GTP 154・総ビリルビン1.7と胆道系酵素の上昇を認めた。

  搬入時の体温37.2℃だったが、搬入後に悪寒戦慄があり、体温は一気に39.8℃に上昇した。菌血症の症状で対応を急ぐ(あっという間にショックになりかねない)。こちらは消化器病センターのある専門病院へ搬送となった。

 

 以前基幹病院消化器内科のトップの先生から、消化器内科の入院で一番多いのは高齢者の総胆管結石と伺った。胆膵の専門医は消化管の専門医より少ないので、対処できる病院は貴重だ。90歳以上の超高齢者に難しい内視鏡治療を行うのは大変だと思う。

 

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NTM疑い

2020年08月10日 | Weblog

 88歳女性が今週また肺炎で入院した。またというのは、昨年は6回、今年になって3回目の入院になるから。

 ふだんは高血圧症・糖尿病(痩せてきたので現在はDPP4阻害薬のみでHbA1c5.8%)で内科外来に通院している。発熱が2~3日続くと予約外に受診する。次週が予約日だと数日我慢してから予約日に受診する。ケアハウスに入所していて、入院する時には娘夫婦が来る。

 毎回セフトリアキソン1gの点滴静注で解熱軽快して、退院している。難聴は少しあるが認知症もなく、個室希望(神経質で大部屋を嫌がる)なので、病院としてはありがたい患者さんだった。

 呼吸器科で大学病院から来てもらっている先生に相談すると、非結核性抗酸菌症(NTM)が基礎に合って、それに通常の細菌感染(おそらくインフルエンザ菌で、抗菌薬の効果からは緑膿菌ではないでしょうと)を併発しているのだろうという。

 確かにもともと慢性副鼻腔炎の既往がある方で、両側の気管支拡張症があるので、いかにもNTMになりやすい患者さんだった。以前に何回か抗酸菌塗抹を提出していたが、いずれも陰性だった。

 気管支鏡検査で喀痰の抗酸菌検査が望ましいと言われたが、まず本人が嫌がる。年齢的に基幹病院の呼吸器内科でもやりたがらないかもしれないとも言う。

 毎回いい?喀痰がとれた時は培養検査を提出しているが、大抵はMRSAで定着菌と判断される。今回もセフトリアキソンで軽快して元気になってきた。今後、喀痰の抗酸菌検査を繰り返してNTMの有無を確認したい。

 ただ、陰影の推移からは器質化肺炎も疑っていた。入院して抗菌薬を開始して、解熱・炎症反応の改善をみても、入院時になかった対側の肺に浸潤影が出現したこともあった。

 この患者さんは2016年から2019年までリウマチ性多発筋痛症で治療していた。プレドニン10mg/日から開始して、漸減後5㎎/日で継続して中止している。この治療中には肺炎はほぼ治まっていた。プレドニン中止に向けて1㎎ずつ漸減したころから中止後に、肺炎が頻発している。プレドニン投与時には治まっていたという考え方もできるか。

 逆に、数年間のプレドニン投与によってNTMを引き起こして、それが継続しているとも考えられる。どちらの可能性も考えて、対処するしかない。

 

 

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肺炎、貧血~すぐには精査できない

2020年08月09日 | Weblog

 水曜日に内科クリニックから74歳男性が紹介されてきた。内科新患を診ていた内科の若い先生が診察した。

 10日前に高熱があり、翌日からは微熱が続いていた。4日後にクリニックを受診して、胸部X線では異常がないと判断された。抗菌薬(内服)が処方されたが軽快しないため紹介された。それとは別に貧血もあります、と診療情報提供書に記載されていた(病名欄は貧血となっていた)。

 こちらで胸部X線を撮り直すと、左肺下葉背側に浸潤影があった(時期の問題だろう)。貧血はHb6.2g/dl・MCV60.6とかなりの小球性貧血だった。血清鉄・フェリチンが低下していて、鉄欠乏性貧血で間違いない。通常は消化管の悪性腫瘍だが、痩せすぎていてCTでは消化管の画像は読めない。腫瘍マーカーが陰性の点では、あるとすれば大腸癌より胃癌か。

 肺炎の治療を開始して、輸血・鉄剤投与(静注)を行ってから、それぞれの軽快後に消化管精査を行うことにした。

 

 内科の若い先生は金曜日に夏休み分をとって、3連休と合わせて4日休みをとっていた。夏休みは4日分あるが、土日と合わせて何度か連休でとるようアドバイスしていた。県外に出かけたらしいが、東北地方内で移動するのは問題ないだろう。今年の夏休みは和歌山県(高野山と熊野)に行くつもりだったが、今年も来年も行けそうにない。県内の温泉地などに行くだけになる。

 金曜日からの内科学会はWeb講演会になっているが、最初まったくつながらず、午後になっとやっとつながった。

 

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心窩部痛で心筋梗塞

2020年08月08日 | Weblog

 火曜日に75歳男性が心窩部痛で消化器科の外来(大学病院からのバイト)を受診した。3日前から心窩部痛が続いていて、前日から増悪したという。アルコール多飲があり、ビールと焼酎を毎食後に飲んでいた。

 胃内視鏡検査がオーダーされて、さっそく行われたが、萎縮性胃炎のみで心窩部痛を来すような病変はなかった。血液検査はアルコール性肝障害を示唆する結果だった。

 内視鏡を行った常勤の消化器科医でが頻脈(150台/分)に気づいて、血液検査の追加(CK-MB、トロポニンI、BNP)と心電図検査を行った。トロポニンIが高値(8702)で、心電図ではⅠ・aVL・V3-6でST上昇を認めて前側壁梗塞だった。頻脈は心房粗動らしい。

 循環器科に紹介されて、緊急で心臓カテーテル検査が行わわれた。多枝病変を認めて、冠動脈へのニトロ注入でST上昇と症状が改善した。発症から時間が経っていることから、冠動脈造影のみで終了となった。検査後は、ヘパリンとシグマート(ニコランジル)の点滴静注で経過をみていた。

 終了後の12誘導心電図では正常洞調律に戻り、ST上昇は消失していた。冠動脈狭窄+冠攣縮?の特殊な症例だった。

 

 急性心筋梗塞(特に下壁梗塞)の患者さんが心窩部痛で受診することは有名で、当院でも何年かに一度ある。数年前(5~6年前?)にも心窩部痛で消化器科を受診した患者さんがいて、胃内視鏡検査の前に心電図が行われて、急性心筋梗塞(下壁梗塞)と気づかれたことがあった(検査技師さんが気づいた)。心窩部に圧痛はないはずだが、これがあったりする(軽度にありととってしまうのかもしれない)。

 

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超高齢者の抗凝固薬の適応

2020年08月07日 | Weblog

 昨日は午前10時ごろに地域の基幹病院から心原性脳梗塞の92歳女性が転院してきた。

 内科医院に高血圧症で通院して、心房細動があるが、抗凝固薬は年齢を考慮してか処方されていなかった。7月に左下肢脱力で基幹病院を受診して、中心前回に脳梗塞を認めた。

 入院後に後頭葉の脳梗塞、次いで両側前頭葉の多発性脳梗塞を来していった。抗凝固薬(DOAC)を一時的に投与したところ、消化管出血を来して、重度の貧血(Hb5g/dl)を呈した。

 消化管出血の方がいわゆる命取りになるので、家族と相談して今後抗凝固薬は投与しないことになった。今後の脳梗塞の再発(頻発?)予防が不可能なことから、再発からの急変時(正しくは心停止時)には心肺蘇生を行わない方針になったと記載されていた。

 転院して来て、患者さんは元気で全粥刻み食を食べられる。症状は左半身(完全)麻痺・空間失認・同名半盲があった。家族(長女)と話をして、このまま無事に過ごしていければ施設入所待ちで、血栓塞栓症が発症した時はできる範囲で治療して、病状悪化時は基幹病院の方針の通りということになった。

 心エコーで心腔内(心耳内)の血栓の有無を確認してみることにした。以前、療養型病床に転院前日に下肢の血栓塞栓症(腸骨動脈血栓塞栓症)を来した高齢女性がいた。下肢切断で対処できない位置で詰まっていたため手術できずに亡くなった。

 脳梗塞で意識低下・経口摂取不可能になっても、そのまま亡くなることはない。脳梗塞だけ気にしていると、四肢の動脈や腹部の動脈に血栓塞栓症を来したりするので、油断はできない(こちらは致死的になる)。

 左2枚が最初の、次の1枚が2回目の、右端が3回目の脳梗塞。

 

 医局に戻ると、院長から県内の新型コロナウイルス感染症に関する院長会議(web会議)が昼前から始まるので、院長室に来るように言われた。

 県内の病院での患者受け入れの方針は決まっている。しかし最近は老人介護施設での発症が続き、高齢の認知症の患者さんの受け入れが難しくなっているので(受け入れ拒否の問題がある)、急遽開かれたものだった。

 病院同士の批判し合いがあったりして、興味深かった。都市部の患者さんを郡部の病院に回すのはやめてほしいという話も出た。当院の院長先生はというと、「できるだけの協力はしたいと考えているが、看護師数削減(2/3になる)の最中で予算的にも厳しいので、その点は考慮してほしい」と答えていた。

 終わった後、「これでいいか」と訊かれたので、「先生、模範解答です」と答えた。地域の基幹病院の院長先生たちが、できれば受け入れたくないと、言っていたのはこの時期さすがにまずいと思うから。

 

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貧血で紹介~胃がん

2020年08月06日 | Weblog

 火曜日に貧血の79歳男性が内科医院から内科新患に紹介された。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に担当してもらっている。

 紹介状の内容は、高血圧症で通院していて、3か月前から食欲不振・体重減少があり、血液検査でHb5.2g/dlと著明に低下しているというものだった。

 当院で再検して、Hb5.9g/dl・MCV73.4だった。白血球11400・血小板19.2万と低下はなかった。血清鉄・フェリチンも低下していて、慢性的な消化管出血疑いだった。

 上下部内視鏡検査での精査になるが、見当をつけるためにCTが行われた。胃前庭部の壁肥厚があり、CTでは確定できないが、胃がんが疑われた。

 予定の内視鏡検査の最後に入れてもらって、胃内視鏡検査が行われた。結果は胃前庭部小弯側中心の進行胃がん(Borrmann 3型)と診断された(生検している)。

 診断は付いたので、後は輸血を行って貧血を改善させて(鉄剤静注も)、術前検査を進めることになる。手術は当院を希望されなければ、がんセンターなど希望の病院へ紹介する。

 貧血で消化管がんが見つかるのは、以前は時々あったが、最近はあまりみなくなった。

 

 午後4時ごろに県から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の29歳女性の受け入れ要請がきた。事務・放射線科・検査科も含めて、午後7時の到着まで待機となった。症状は微熱と嗅覚・味覚障害でまったく感じないといっていた。

 母親が先に発症して、PCR検査は同日に陽性となった。実家に3日帰った時に接触したことになる。母親は地元の別の病院に入院した。

 都市部から郡部の病院に回されるのは患者さんとしては好ましくないのだろう。「こんな山の中まで来るとは思わなかった」と言っていた。正確には、山のふもとだが。

 

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S状結腸癌

2020年08月05日 | Weblog

 高血圧症・糖尿病で通院している71歳女性が外科に入院して、S状結腸癌の手術予定になっている。症状があった割に、検査が遅れた形になった。

 6か月前には消化器科の外来で、下痢になったり便秘になったりすると訴えた。ただ症状が継続するわけでもない。もともと心気症で不安や様々な症状を訴えるので、過敏性腸症候群的な印象を受けたようだ(処方からみて)。

 また3か月前に時間外で受診して、下腹部痛を訴えていた。当直の外科医が腹部CT(単純)を行ったが、異常を指摘されなかった。便秘と痔核で肛門科にも通院していて、酸化マグネシウムで排便できている。

 先月下旬になって、便が出にくいのでと大腸検査を希望した。大腸内視鏡の前処置で、洗浄液を飲み始めたが、腹部膨満感と下腹部痛が出現した。

 月曜日の早朝なので、日曜日の当直(大学病院からバイトの外科医)が診察した。そのうち排便があって、症状は軽快した。当直医は時間外ながら腹部造影CTを行っていた。腫瘍ははっきりしないが、S状結腸まででも内視鏡で診た方がよいとコメントしていた。

 当直明けに外科常勤医に引き継がれて入院になった。2日後に大腸内視鏡検査が行われて、S状結腸癌が発見された。術前検査を進める予定なった。

 そのつもりで診ると、CTでS状結腸癌が指摘できる(放射線科の読影依頼になっていなかった)。以前の単純CTは見返しても指摘できないが、造影すればできたかもしれない。

 

 昨日は新型コロナウイルス感染症の28歳女性が入院した。濃厚接触者だったので、発熱・咳の症状が出て、すぐにPCR検査が行われて陽性と判明した。発症4日目なので、感染性が充分にある。若いので順調に軽快するはずだが、7~10日目までは慎重に経過をみることになる。

 

 

 

 

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低酸素脳症の画像

2020年08月04日 | Weblog

 ブログの記事で最近何人かの訪問者が見ていた、昨年11月末のるい痩・肝機能障害の50歳女性の経過(2019年11月29日記載)。

 

「 昨日内科医院から50歳女性がるい痩で紹介されてきた。5月ごろから体重が減少して診療情報提供書には25Kgの減少とある。先週の初めに医院を受診した時の検査結果があり、貧血はなく腎機能障害は軽度(体重からみれば中等度くらい?)だったが、肝機能障害が目立った(AST 619・ALT 164・LDH 442)。

 新患の先生から、入院が必要ですと連絡がきた。話を訊いてだけで、まだ特に検査はしていなかったので、外来で一般的な検査と画像検査を入れてもらうことにした。

 末梢静脈から点滴が困難になった患者さん(前立腺癌・多発性骨転移+誤嚥性肺炎の90歳男性)にCVカテーテルを緊急で入れるところだった。CV管理の高齢者のノルアドレナリンの調整もあり、内科の別の先生に検査結果をみてもらうよう依頼した。

 話を聞いた時は、膵癌・肝転移などを想定したが、肝機能障害が目立ちすぎか。るい痩そのものによる肝機能障害は経験がなく、わからない。

 午後になって検査結果を確認すると、AST 8610・ALT 5320・LDH 2062・ALP 1753・γ-GTP 97・総ビリルビン2.6と著しい肝機能障害を認めた。炎症反応は陰性で、他は脱水傾向の結果ではあるが、それほどのものはない。胸腹部CTはやせすぎていて(脂肪がないので)読影し難いが、閉塞性黄疸ではないようだ。

 劇症肝炎相当の肝機能障害ということで、地域の基幹病院消化器内科の肝臓専門医に紹介になった。この症例は当院で扱うのは無理だが、紹介された病院ではどう治療するのだろうか。Refeeding症候群に注意して慎重に輸液をするとして、ステロイドを使う?。見当がつかない。」

 

 転院後、ウイルス性肝炎などは否定的で、摂食障害・低栄養による肝機能障害と診断されていた。Refeeding症候群に注意して輸液が開始された。輸血(赤血球輸血、血小板輸血)も行われている。

 その後、肝機能は改善していた。経口摂取は困難で、経鼻胃管による経管栄養が行われていた。幻覚があり、精神科で治療が開始された。いったん当院に治療継続のため転院依頼がきたが、転院前に突然心肺停止になった。

 原因は不明だった。心肺蘇生術で心拍は戻り、自発呼吸が出て人工呼吸器から離脱したが、意識は戻らなかった。脳波では活動性が見られず(基礎は消失とある)、ほぼ植物状態と判断された。

 頭部MRIの拡散強調画像で大脳全体に高信号域を認めて、低酸素脳症と診断された。

 今年1月に当院に転院して、経管栄養が継続された。病状は安定して(変化がなく)、2か月後に療養型病床のある病院へ転院となった。当院転院時にCDで画像が送られてきたので、なかなか見る機会のないMRI画像を見ることができた。

 摂食障害・神経性食思不振症の肝機能障害・Refeeding症候群の治療・低酸素脳症の画像など、貴重な症例になるが、やはり到底対応できないと思った。

 

 

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膵尾部造影不良域

2020年08月03日 | Weblog

 土曜日は内科日直で病院に出ていた。業務開始早々に救急隊から搬入依頼がきた。

 早朝から仕事で首都圏から東北に向かっていた23歳男性が、腹痛で救急要請したそうだ。左側腹部痛というので、年齢を考慮すると尿管結石かと思った。

 前日の午後10時ごろにスーパーで買ったパイナップルをかなりの量食べたそうで、患者さんはそれが原因かと思っていたようだ。午前0時から腹痛が出現して眠れなかった。午前4時には腹痛が軽減したので、大丈夫と思って新幹線で出かけたが、腹痛がひどくなった。目的地からみて、本来は停車しない駅で止まったのかもしれない。

 血圧などのバイタルは特に問題なかった。体温37.3℃は腹痛によるのだろう。左腹部の上から下まで圧痛があった。腹膜刺激症状はない。左CVA叩打痛は陽性になる。

 腹部エコーでは明らかな左水腎症はなかった。血液検査の結果を診て、CT検査を行うことにした。白血球11600・CRP0.1と炎症の初期像と思われる結果だった。肝機能検査は正常で、血清アミラーゼが313と軽度だが上昇している。腎機能は正常。

 単純CTで膵臓の腫脹を認めて、膵尾部周囲に浸出液がある。尿管結石はなかった。造影検査を追加すると膵尾部が造影不良を呈していた。壊死性膵炎が疑われる。

 アルコールは機会飲酒で昨夜は飲酒していない。胆道系に異常はない。膵炎の原因は不明だった。その時点でバイタルや検査値では重症ではないが、膵炎の造影CTで造影不良域を認めたことは、当院ではこれまで(幸いに)なかったと思う。今後悪化していく可能性がある。

 地域の基幹病院に依頼することにした。電話連絡すると受け入れ可能で、ありがたく搬送させてもらった。

 救急要請を受けた時の見込みでは、尿管結石を認めて、ボルタレン(ジクロフェナク)座薬で症状軽快して、座薬を持たせて帰るというものだった。結果は予想外だった。

 

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手関節三角靭帯石灰化

2020年08月02日 | Weblog

 1週間前に95歳女性が急性腎盂腎炎で入院していた。抗菌薬投与(セフトリアキソン)で解熱して、食事摂取もよかった。

 今週の月曜日に再度発熱があった。内科の若い先生が担当していたが、右手関節の腫脹・熱感・疼痛があった。関節炎でしょうかという。膝関節は異常がない。

 X線で右手関節三角靭帯に石灰化を認めた。感染症が軽快した後の高齢女性の関節炎とすれば、偽痛風になる。腎機能には問題がないので、普通にNSAIDsで治療できる。セレコックス(100㎎)2錠分2を開始して、解熱して関節症状も軽快した。

 これまでも、手関節の偽痛風を疑って手関節のX線を膝関節とセットで撮影しているが、石灰化がこれほど見えるのはあまりなかった。

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