クスッと笑えるところもあって面白かった。
2021年から2022年にかけての日記。
2021年6月の誕生日で椎名さんも77歳になったという。
なんとなくちょっと上の兄貴分くらいのイメージを持っていたが、むしろ自分の親父の世代に近い人だったんだな。
椎名さんもコロナ対策はしておられたらしいが、つい気が緩んで皆で集まって飲んでたら、その会のメンバーが次々コロナに感染していったそうである。
そして椎名さんも記憶を失うほどの急な高熱に襲われて入院されたらしい。
実際コロナになった人に体験って聞いたことが無く、自分の父もコロナから肺炎を併発して病院の方に危なかったです、と言われたが隔離されているので全く様子が分からなかったので、後からそうだったんだ、と思ったくらいで、そんなに激しい症状が出るとは知らなかった。
しかし、幸いその会の感染者の方々は皆、回復されたのだが、そのお一人についてのコメントが面白い。
以下引用
40代で罹って回復した友人がいるので電話してみると「やっぱり頭がシャープに動いてない実感はあります。味覚も戻ってない気がします。ヒラメとカレイがどっちか分かりません」と言っていた。
そもそも彼はシャープでもなんでもなく、モツ煮込みに唐辛子をドバドバかけて「これが世界でいちばんうまい」と断言するようなバカ舌の持ち主だった気もするが、貴重なコロナの先輩なのでしっかり礼を言った。
引用終わり
こういう文章が面白い。椎名さんって自分からすると無骨で短気な印象があるのだが、ユーモアというか皮肉のセンスも卓越していてクスッとしてしまう。
椎名さんと野田さんが飼っていた犬のガクの写真が何枚か挟み込まれていて、子犬のころ玄関だろうか草履と一緒に転がって眠っている写真がとても可愛い。またもっと成長したガクが野田さんとカヌーに乗っている写真は凄く猛々しくて雄々しい。椎名さんもこの写真気に入っておられるんだろうな。
その野田さんの晩年のことも、この間読んだ本、題名忘れたがあの本より細かく書いてあった。
野田さんはカリスマ性があるので、好むと好まざるとにかかわらず、河口堰を作るなとかそういった運動にかかわるとそのシンボル的な立場に祭り上げられてしまうのだ、みたいな書き方をされていた。
もう十年以上の前の事だが、たしか中野区に住んでいたころ椎名さんが共産党のビラに、「私は共産党を支持します」というコメントを出しておられたのでもっと積極的な政治的志向を持っていると思っていたがそうでもなく、政治的な運動体はイヤなようで巻き込まれたくないみたい。
あと、初期の「あやしい探検隊」シリーズでは長老と呼ばれ、「新橋烏森口青春編」や「銀座のカラス」では蛇の専務として描かれた(と思う)山森さんの事も、割と率直に悪口というわけではないのだが、たんたんと美化する事もなく書いてある。
また、八丈島で漁師をやっている親友を北海道の別荘に招待した、ということが書いてあって、椎名さん別荘なんか持ってたんだ、とちょっと驚いたがそりゃ別荘くらいあるよねと思い直した。
自分は椎名さんに愛憎相反する、とまでは行かないが好きな気持ちと嫌いな気持ちがあって、つい批判的な目で読んでしまうがこの本は結構おもしろかった。
ちょと気になったのは、椎名さんと奥さんとは確か同級生だったと思うが、椎名さんが日常では全面的に奥さんに頼っている描写が随所にあって、自分は結婚してないし自分の親は夫婦生活に失敗しているし、良いな、良かったなと思う反面、もう少し頑張って欲しいな、とも思った。
なぜなら、椎名さんは奥さんに受け入れてもらってると思ってるかもしれないが、奥さんからしたらそんなことなくて、ガマンしながら付き合ってくれている部分があるかもしれず、あまり依存しすぎるのは良くない、危なっかしいなと感じたから。
まあ、息子さんやお孫さんたちが近くに住んでいるということだし、娘さんも時々NYから帰って来ておられるし、余計な心配だとはおもうが。