ワインの世界には「インターナショナルな品種」と言われるものがあります。
カベルネソーヴィニヨンやメルロ、シラー、シャルドネ、ピノノワールなどがそうですね。
古くからの産地=主にフランスの有名産地で成功した品種をニューワールドと言われるアメリカやオーストラリア、チリなどで栽培し成功した品種たちの事です。
しかし、葡萄という「強い植物」。昔からインターナショナルな品種は存在します。
例えばフランスでいう所のグルナッシュは元来スペインでのガルナッチャですし、イタリアでもガルナッチャ、サルデニアではカンノウナウ。
同じくムールヴェードルはやはりスペイン系の葡萄でモナストレル、オーストラリアではマタロ。
イタリアで沢山栽培されている白葡萄トレッビアーノはフランスではユニブランと呼ばれています。
ピノノワールの仲間、ピノグリはドイツではルーレンダー若しくはグラウアーブルグンダー、イタリアではピノグリージョ。
な~~んて書いていると簡単そうですが、それぞれの葡萄に最低10種以上の呼び名でヨーロッパ各地だけでも存在しているのですね。
という事は殆どの葡萄はインターナショナルな要素を持っている訳です。
皆さん、ご存知の様に犯罪捜査でもDNAというものが使われますが、葡萄も同じで「実はこの品種はあの品種と同じだった」とか「ずっと同じだと言われていた葡萄が、実は違った」とか二転三転をしたりします。
DNA鑑定は重大な事件でも「今の鑑定では違う」的なことがあって、その信憑性は簡単には100%に近づかないのだろうと思います。
ワインを楽しむのに「葡萄の名前で飲むのではない」とは思うものの、ラベルから連想できる味わいが無いと購買につながらない訳ですから商売でワインを扱う我々は「あの国のこの地方のワインに使われている葡萄は他の土地では(国では)どう言われているか?」を知っておかなければいけませんね。
特に無名の産地のものが有名産地のものと同じだったとしたら、一般消費者に「あの品種に近いですね」という説明が出来ますもんね。
とは言え産地が変ると同じ葡萄でも特徴が違うのも周知のことです。
気候も土壌も違うのですから当たり前です。
そこを埋める説明がソムリエの腕の見せ所かも知れません。
という事で「全ての葡萄はインターナショナル品種」なつもりで勉強したいな、と思う時代が来たのかな、と思う今日この頃です。