白ワインは赤より熟成することが多い、とは過去にも書きました。
例えば長期熟成の可能性に関しては例えば貴腐ワインもそうですし、辛口でも酸の強いリースリングやシュナンブランは何十年も綺麗に熟していきます。
それに引き替え赤は余程でない限り「枯れてきたな」と思わせる事が多いのです。
それは一つは酸が少ないからでしょうし、もう一つはタンニンという「赤らしい味わい」が失せていくからだろうと思います。
それに引き替え白は「失せるものが(殆ど)無い」訳ですから、強固な酸やミネラルが「綺麗な発展」を支えるのでしょう。
ブルゴーニュの白が熟成させる白の代表の様に思われがちですが、実は殆どの産地の多くの葡萄品種が熟成で面白くなります。
今月の場合、イタリアはカンパーニャのフィアーノの2002年のものを開けています。
フィアーノは通常は花を思わせる香りの若々しいワインを連想する方が多いと思いますし、樽熟成もしていないものが多い訳ですが、いやいや、瓶熟だけでも美しく発展します。
香ばしさを身に着け、テクスチャーも円やかさを纏います。
キノコや海老などの「香りを生かしたい料理」の時に、こういうワインは本領を発揮します。
或いはドイツの古めの93年の甘口は20年経っても若者であって、しかも深い味わいです。
若い頃は甘さが前に出て来ていたものが現在は酸とバランスして「別嬪さん」なんですね。
デザートのみならず、料理と合わせても抜群の相性です。
ワイン通は赤、と誰が言ったのかは判りませんが、実はこういう白も含めて愛せる方が「ワイン通」の方に多いのは私だけの経験ではないと思います。