沈没船や難破船と言われるものにワインが積まれていて、悠久の時を経て引きあがられる。
と言うような話はよく聞くことです。
そこにはmysteryめいた付加価値もつきますし、品質が問題なければオークションなどで高額で取引されることも不思議ではありません。
ただ、それは故意ではなく不慮の事故事件によるものでなくてはなりません。
ある知人のところに「おたくの造ったワインを買いたい。それを海底に沈めて売るんです」という輩が現れたそうです。
知人はとりあえず断ったものの相手は「ちょっと沈めるだけで何倍もの値段で売れるんですから、どうにか、お願いします」と食い下がったのです。
その知人は「なめとんか‼」と一喝。
そりゃそうです。
私の記憶では海底熟成ワインは20年ほど前から日本でも試されているのではないかと思います。
しかし、「特別な味わいに変化するわけではない」と言うのは既に言われていることです。
そんな商売がまかり通るんですね。
「故意に」=「不自然に」「そのままでも美味しいワイン」を「何年も、ではなく数か月だけ」海に沈めて暴利を貪るとしたら悪質です。
全て「海底熟成ワイン」がそうだとも限りませんが、この1例で全てが霞みます。
怪しいワイン。
どうぞ引っ掛からないようにお気を付けください。
売らなかった知人にエールを送ります。
樋口誠