soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

口ごもるように春樹さんは話す

2005-02-05 01:01:23 | 読書の時間
「Sydney!コアラ純情編」★★★☆並み
村上春樹著2001/1/1単行本発売、2004/7/10文庫発売

活動的なのか、内向的なのかよくわからない
村上春樹さんがオリンピックを取材した。
でも春樹さんのことなので、ホテルや食事や
街の様子にかなりページを割いていて、
ちょっとしたシドニー案内にもなっている。

ただし旅行者に分かるように書いているわけでは
ないので、旅行に参考にはあまりなりそうもない。

この人の旅行記は「遠い太鼓」はかなり
好きな部類。自ら困難に立ち向かうヘミングウェイの
ような作家は自分には向かないとどこかで
書いていたが、小説世界には無くても
エッセイにはかなりそれに似た状況もある。

作家のフィルターを通すと、世の中はハードで
全てはうまくいかず、それでもその困難の中を
生きているという感じ。

乾いた笑いと、少しの哀しさ。
小説家のエッセイは難しい。
小説が好きでも、同じ人のエッセイが好きでなかったり、
エッセイは好きでも、小説世界はそうでもないとか。

村上春樹のもつ世界は両方とも好きだが、
これから彼がどこへ向かうのかはちょっと心配している。