社会科学上の不満

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ロシア外交のシタタカサ

2013-11-23 00:01:59 | 外交と防衛

 幾ら中国が空母「遼寧」を褒め称えても物理現象を共産主義のご都合で変えることはできない。ロシアが最近暴露した話がそれを裏付ける。この「遼寧」元々はソ連の空母として建造されたモノである。ソ連崩壊のドサクサでウクライナ所有となり、「軍艦として使用しない」との条件で中国が購入した船体である。中国は「カジノ船」として購入している。

 ロシアと中国、日本で言われるほど仲が良くない。なぜ、この「遼寧」に対する非難がロシアから起きなかったのか?10数年付き纏っていた疑問である。

 それが最近のロシア側の発言で氷解した。この「遼寧」元々「エンジンが逝っていた」そうだ。故にロシアも処分に困り、ウクライナに手切れ金代わりに押し付けた艦だったようだ。ウクライナも薄々何か怪しいと思いつつも「カジノ船」と言うことで中国に売却したようだ。

 これには中国は良い面の皮である。高々と空母保有国と宣言していたが、実はスクラップ同然の艦であったのだから。現実に水漏れがスゴイことはこのBLOGでも何度も記載している。鋼板を作る技術がないためである。しかし今回「元々エンジンが逝っていた艦である」事がロシア側から漏れてきた。

 中国側の発表でも艦速が最大毎時18ノット(33km/h)と聞いた時、この艦がジャンク品であることが証明された。第2次大戦中の空母でも艦上爆撃機や艦上攻撃機は最低毎時25ノット(46.3km/h)以上の速度が離艦速度として必要であった。

「遼寧」にはカタパルトが無い。技術的・運用ノウハウ的な問題で装備されず、代わりにスキージャンプ台方式で離艦する。であれば、爆装や燃料の満タンなど不可能である。第二次世界大戦中の艦上攻撃や艦上爆撃機は1トンの爆装でも離艦に毎時25ノット(46.3km/h)以上必要とした。自重が数倍のSu30戦闘機、流石に18ノット(33km/h)でスキージャンプ台からの離艦では、如何に推力が大きくても爆装はムリ。VTOL機やヘリでの運用が現実的である。

 また着艦も18ノット(33km/h)では速度減殺が出来ず装備を棄て空の状態でならば可能であろう。が、爆装した重いままではムリである。

 米空母は現在毎時33ノット(61.5km/h)以上の速度とスチーム・カタパルトでこの問題をクリアーしている。

空母の離艦速度は33ノット(61.5km/h)+スチーム・カタパルト(250km/h)=310.5km/h以上である。

 今更「エンジンが逝っていて使い物にならい」と言われても中国にしては良い面の皮である。しかし元々「カジノ船」と偽って購入したのは中国であるのだから自業自得と言うことか?

 ちなみにロシアの情報では、中国で「遼寧」のエンジンはそのままだったそうだ。

 外交交渉とは、仲良しクラブではないと言う良い事例である。

コメント
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