社会科学上の不満

政治・経済上の不満のハケ口(左翼出入り禁止)
外交と防衛、歴史と現状についての不満のハケ口。(観念論の方は出入り禁止)

日本に於いて軍事の議論は神学論争になり易い

2013-12-07 00:02:04 | 外交と防衛

 安全保障の論文ほど対立軸を設定し辛いモノはない。「平和ボケ」との議論ほど虚しい物はない。全く噛合わない。せめて海洋国家論対大陸国家論、専守防衛論対先制攻撃論、などの対立軸での議論であれば有益であるが、日本では「平和ボケ」の連中との神学論争になってしまう。日本に於いては基本的な軍事単語から始めねばならない。

 自衛隊OBの方の著書が一般市民に受け入れ難いのはこのような理由からである。

 これは、戦後教育に左翼勢力が甚大な影響を与えた結果である。天声人語から大学入試問題を出題すると言う事で、朝日新聞を多くの国民に読ませたのは40年ほど前からの左翼の見事な戦術である。しかし、共通一次、統一試験等の大学入試改革でこの影響力を低くしてきた事の成果が最近出始めている。朝日新聞の出版部数と販売部数との違いもネット上で大きく取り扱われた。この出版部数で広告代を見積もっていたならば、これは詐欺と疑われても仕方がないと思う。

 日本の専守防衛に影響が大きいのが、イタリアの軍事学者ジュリオ・ドゥーエの制空論(戦略爆撃機論)と、米国のマハン少将のマハン理論だと思うが如何であろう?

 イタリアの軍事学者ジュリオ・ドゥーエの制空論(戦略爆撃機論)とは、攻撃側は100機中1機でも攻撃に成功すれば「勝利」であり、防御側は99機迎撃に成功しても1機でも攻撃に成功したら「敗北」であるとする考え方である。今日の航空戦略の基礎となった考え方である。

 一方マハン理論は、現在の米国の外交戦略の基本みたいな理論である。英国がなぜインドや中国などの大陸国家を19世紀に支配できたを分析し出来た理論だ。これは大陸の入口の「港湾」を押える事でその大陸の貿易を押さえることとなり引いては国家をも抑えるとする戦略である。

 中国は香港を押えることで、インドはゴア(ムンバイ)を押えることで、英国はその影響力を維持してきた。今日本での米国を見るに、横須賀、佐世保、沖縄の港湾を押えている。後は三沢、横田、岩国、座間・厚木などの基地である。米国を大陸国家と思うのは大きな間違いであり、国家戦略的にも軍事戦略的にも海洋国家と捉えることが正しいようだ。

 このような議論であれば論文も書き易いのであるが、「平和」「平和」と謳えれば紛争は起きないと本気で信じ込んでいる「平和ボケ」の方に幾ら議論しても最早宗教論争であり、意味がないようだ。

 軍事力を国家が有する意義は、「外国との戦争」「砲艦外交」「治安の維持」「災害対策」の大きく4つである。日本では「災害対策」が国民には最も身近である。「治安の維持」は現在ソマリア沖の海賊退治に海上自衛隊がアデン湾に、陸上自衛隊が国連監視団としてつい先ごろまでゴラン高原に駐留していた。このアデン湾への駐留は民主党政権時に行われた。当時国交副大臣であった未だ社民党の辻本議員がこのソマリア沖を社民党の洗脳船であるピースボートが航行する事になった時、防衛省から護衛を申し出たところ「海外に自衛隊を出すなんて」と断ったそうだ。しかし現実には海賊からピースボートがつけられギリシャ海軍にガードしてもらう事になった。これが、辻本議員が社民党を抜けるキッカケとなった事の一つのようだ。故に海賊退治に民主党政権は海上自衛隊をアデン湾に配備すること受けたようだ。

 冷徹な現実の前に社民党の寝言は通じなかったようだ。

砲艦外交の事例はペリーの黒船である。この事も米国が海洋国家であることを証明している。

*写真はマハン少将

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