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「桜桃忌」

2022年06月18日 | 【海外校 東南アジア地区】

毎年6月19日が近づくと、中学3年生の初夏の日を思い出す。その日、友人と太宰治の「桜桃忌」に行こうと計画していた。当然学校があるため、数日前に先生に理由を話して早退したいと願い出ていた。当然却下。仕方がないから、学校が終わってから一目散で三鷹へ向かった。
太宰の墓に、多くの花やさくらんぼ(桜桃忌にちなんで)が供えられているのを見て、手ぶらできた私たちは何か持ってくればよかったね、と話しながらお参りを済ませた。ただの中学生の私たちにとっては、人も多くない放課後に行ってよかったと思った。作品を読んでいるときは、あたかも「今」太宰が書いているような感覚でいたが、改めて過去の人だということを実感し、その後どのような作品も意識しながら読書するようになった。同じお寺に森鴎外のお墓もあると教えられ、そちらもお参りした。
当時の私が「人間失格」やら「斜陽」やら理解していたかというと自信がない。けれど、生きることに苦しみ(それを三島は「女々しい」と表した)、そこにひかれていたように思う。

何年たってももう一度読みたいと思いながら、日常に忙殺される。

そんな日々の中で「今日だけは太宰を読もう」、それが桜桃忌である。

駿台バンコク校 S.N


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