トゥナイト
テレビ朝日の番組『トゥナイト』は、山本晋也カントクと田原総一朗の直撃コーナーを二枚看板としていた。この番組でレポーターが小室の家を訪問リポートした。四畳半アパートである。ほぼ寝起きのような極端にラフな格好で小室は応対した。
部屋自体が狭いので、訪問レポートそのものはすぐに終わりそうであった。しかし、レポーターが部屋の片隅に積まれているビニ本を見つけ(小室が当時独身であることは広く知られていた)、「先生はこういうのを見ておられるんですか…」と発言すると、小室は毅然となりこう答えた。「これ(エロ本)さえあれば女はいらんのですよ! エロ本は飯食わない!」。
いっぽうで小室は週刊誌の企画でソープランドに行き、ソープ嬢とのキスの写真を撮らせたりもしていた。小室自身はこう語っている「人間なんて、命賭ける理想と同時に、下賤な部分だって持っている。その両方を公平に見て欲しいな」(雑誌『ビッグ・トゥモロウ』1984年4月号のインタビューに答えて)。
小沢遼子足蹴り事件
1983年1月26日、ロッキード事件被告田中角栄への求刑公判の日、テレビ朝日の番組「こんにちは2時」の生放送に出演した。番組のテーマはもちろん角栄の裁判であり、小沢遼子ら反角栄側2人と小室による討論を行った。
ところが冒頭、突然立ち上がってこぶしをふり上げ、「田中がこんなになったのは検察が悪いからだ。検事をぶっ殺してやりたい。検察官は死刑だ。」とわめき出し、田中批判を繰り広げた小沢遼子を足蹴にして退場させられた。
ところが、翌日朝、同局は小室を「モーニングショー」に生出演させた。その際さらにパワーアップしてカメラの面前で「政治家は賄賂を取ってもよいし、汚職をしてもよい。それで国民が豊かになればよい。政治家の道義と小市民的な道義はちがう。政治家に小市民的な道義を求めることは間違いだ。以下略」などと叫び、そのまま放送された。
これをもってテレビ出演はほとんどなくなり、以後、奇人と評された。
テレビでの小室の発言は新聞や雑誌などで取り上げられ、新聞の投書欄にも一般の人から意見が寄せられた。それらの多くは小室を奇矯な発言をする人物として非難していた。しかし反対にこの事件をきっかけに興味を持って小室の本を読みはじめた者もいた。