重慶市江津区のビル建設停止問題がネットの注目を集めた。繁華街の大型ビルが区政府により販売停止を申し渡されたが、その理由が振るっている。なんと区トップが「風水が悪くなる」と考えたためだという。2010年10月8日、財新網が伝えた。
水映康城E画は当初、今年9月に住宅区画の販売を開始する予定だった。しかし、区政府から「建設現場の安全対策が不適当なため」と建設・販売停止を言い渡された。明らかに言いがかりにしか思えない理由に不動産デベロッパーは納得できず、区トップの王銀峰・区委書記への面会に臨んだ。
8月5日、水映康城E区画の開発を手がける不動産デベロッパー・王志勇と李好学は、王・区委書記と対面した。王委書記は今年48歳。理学博士の学位を持っている。河南地理研究所副研究員を務め、名古屋大学、岐阜経済大学で教鞭をとった経歴から、学者型の官僚と呼ばれている。
王・区委書記によると、問題は水映康城E区画のすぐ裏に区政府庁舎があること。庁舎の高さは100メートル弱。一方、水映康城E区画の高さは108メートルと上回っている。これでは困るというのが王・区委書記の言い分だ。不動産デベロッパーは多額の資金を注ぎ込んでいるため計画変更は不可能だと翻意を促したが、王・区委書記はこう言い放った。
「おい、風水を知ってるか。ここにおまえがビルを建てたら、政府庁舎(の地脈)をさえぎることになる。ここが衙門(王朝時代の役所を指す言葉)だぞ。ここの前に立てようというのか。」
この会話を不動産デベロッパーは暴露。ネットに流出し、王・区委書記は「中国一のバカ書記」として名を馳せることになる。「新たな開発計画とかち合ったため、建設・販売中止を求めただけ。風水とは関係ない」と弁明していたが、14日付財新網は会話の録音を公開。「風水」発言が証明されてしまった。
なお「風水」が問題になることは決して珍しいことではないようだ。今年9月にネットで暴露された事件だが、安徽省安慶市望江県では2001年、巨費を投じて完成させた県庁舎を使用することなく、県病院に売却している。その理由は付近に葬儀場があり、風水が悪いと県トップが嫌ったためだという(9月28日付財新網)。(筆者:chinanews)
■中国在住経験を持つ翻訳者Chinanews氏は、ニュースサイト「Kinbricks Now」を運営。ネットの流行から社会事情、事件、スポーツ、芸能など中国関連のトピックを幅広く紹介している