ボルマンは、今までも十分に深刻そうな顔つきだったが、眉間の皺がより一層深くなり、白髪が混じり始めている太い眉毛がピクッと動いた。
「君はまさか、我々のやっていることが間違っているとでも言う気か?」
「間違ってもらっては困るよ。私はナチスだ。ナチスでなくては、私は存在し続けることはできない。それは君もわかっているはずだ。そうだろう?」
私はそう言って微笑んだが、ボルマンの眉間の皺は消えなかった。
「確かに君ほどナチスに適した人間はいないかもしれない。」
「総統の次に、だろ?」
ボルマンは、笑って良いのか迷っていたが、眉間の皺は消えた。
「ボルマン、私はナチスとして自分の手を止めることはできないし、そうする訳にはいかないんだ。・・・私はハーシェルを憎んでいた。しかし、彼に対して無関心ではいられなかった。なぜなら、私に憎まれ続けることで存在していたハーシェルと、彼に恨まれ続けることで存在していた私は、互いに絡み合うことこそ生きている証に他ならなかったからだ。」
喉がカラカラだ。そして、・・・頭が痛い。普段の私らしくなくしゃべり過ぎていた。体全体が、脳からでなく、左斜め上の空間から指示を受けて動いているようだった。
「ボルマン、私はアドルフ・ヒトラーを愛している。そして、ナチスは私の唯一の居場所だ。この中にしか、私の骨を埋める所は無い。・・・だからこそ、私は苦しんでいるんだ。」
頭痛は酷くなる一方だ。私は頭痛をボルマンに悟られないように、左手を額に当て顔を覆った。
(つづく)
「君はまさか、我々のやっていることが間違っているとでも言う気か?」
「間違ってもらっては困るよ。私はナチスだ。ナチスでなくては、私は存在し続けることはできない。それは君もわかっているはずだ。そうだろう?」
私はそう言って微笑んだが、ボルマンの眉間の皺は消えなかった。
「確かに君ほどナチスに適した人間はいないかもしれない。」
「総統の次に、だろ?」
ボルマンは、笑って良いのか迷っていたが、眉間の皺は消えた。
「ボルマン、私はナチスとして自分の手を止めることはできないし、そうする訳にはいかないんだ。・・・私はハーシェルを憎んでいた。しかし、彼に対して無関心ではいられなかった。なぜなら、私に憎まれ続けることで存在していたハーシェルと、彼に恨まれ続けることで存在していた私は、互いに絡み合うことこそ生きている証に他ならなかったからだ。」
喉がカラカラだ。そして、・・・頭が痛い。普段の私らしくなくしゃべり過ぎていた。体全体が、脳からでなく、左斜め上の空間から指示を受けて動いているようだった。
「ボルマン、私はアドルフ・ヒトラーを愛している。そして、ナチスは私の唯一の居場所だ。この中にしか、私の骨を埋める所は無い。・・・だからこそ、私は苦しんでいるんだ。」
頭痛は酷くなる一方だ。私は頭痛をボルマンに悟られないように、左手を額に当て顔を覆った。
(つづく)