ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

AED(自動体外式除細動機)を使えますか?

2012-12-13 08:22:19 | 日記



志位:永さん、どちらへお出かけですか?

永 :今、AEDの講習会に参加して帰ってきたところです。初めての体験でした。

志位:私は数回、講習を受けましたよ。最近は設置個所がとても増えたようです。私たち

   のように元気な高齢者が使い方を熟知しておくと、緊急時には大きな力になります

   ね。

美井:お二人さん、こんにちは!おや、永さんが持っているのはAEDの冊子ですね。

   私も以前、講習を受けましたが、緊急時に使えるかどうか不安なんですよ。

   私が心配している点について、お二人の意見を聞かせてくれませんか?

永 :今日の体験から言えば、音声案内や、表示されることに従うだけで誰にでも使える

   ようにできているので、別に問題はないように思われますが、何を心配なさってい

   るのですか?

美井:講習会ではダミー人形が相手なので冷静に対応できますが、実際にその現場に出く

   わした時、同じように実践できるでしょうか。目の前で倒れた人に、すぐに近づく

   ための一歩を踏み出すのにもかなりの勇気がいると思うんです。そして、もしも、

   やり方を間違えてその人が死んでしまった時に訴訟を起こされないかと考えると二

   歩目を踏み出すのに更なる勇気が必要だと思うんだけど・・・

永 :そう言われると、私も全く自信がありませんね。

美井:ね、そうでしょ。志位さん、ご存知でしたら教えてください。心臓に電気ショック

   を与える治療機器であるAEDを使って問題が起こっても、訴訟されることはないの

   ですか?

志位:2004年7月に非医療従事者である一般市民でもAEDを使用することができるように

   なりました。すなわち医療法違反にはならないのです。AEDの使用や人工呼吸の胸

   部圧迫等で訴訟されることはありませんよ。

美井:AEDを使うか、使わないかの判断はどうするのですか?

志位:電源を入れて、胸とわき腹の2か所に貼り終わると、機器がAEDを使うかどうか音

   声で知らせてくれますよ。

美井:そうそう、確かにそうでしたね。自分ではなく機器が判断するんですよね。

志位:まず、意識があるかないかを確認するために大声で呼びかけること、次に119番通

   報とAEDを見つけて持ってきてもらうこと、そして同時に人工呼吸マッサージを開

   始します。その間も常に患者への声かけと、胸やお腹を見て息をしているかどうか

   の確認をしなければいけません。講習会ではAEDの電極パッドを貼る位置やスイッ

   チさらには音声等に注意が向くので、前段階の確認作業が記憶に残りにくいようで

   す。

美井:同時にしなくてはならないことがたくさんありますからね。特に息をしていないこ

   とを確認することが大切だと聞きましたが。

志位:う~ん、講習会では言わなかったかもしれませんが、息をしていないことの確認は

   そんなに簡単ではないのですよ。

永 :どういうことですか?

志位:テレビの特集番組で得た知識なのですが、心臓が止まる前に大きく呼吸をして空気

   を取り込もうとする動作が起こるそうです。この状況は一見、呼吸をしているよう

   に見えますが、実は全く空気は取り込まれていないのです。これをまだ呼吸してい

   ると判断するとAEDを使うタイミングを逃がしてしまうことがあるそうです。

美井:大きな問題提起ですね。私にそのあたりの判断ができるのでしょうか?

永 :その場に複数の人がいる場合は心強いのですが、一人の場合は冷静に対応できるか

   どうか不安です。でも、今日聞いてきたばかりの話では、日本では心臓の発作で突

   然倒れて亡くなる方が1年間に約3万人もいると報告されていますし、交通事故に

   よる死者数6,871人(平成17年警察庁調べ)、火災による死者数1,993人(平成16

   年消防庁調べ)と比較して、心臓発作により突然倒れて亡くなる人は非常に多いそ

   うですよ。交通事故に備えるシートベルトやエアバッグ、初期消火のための消火器

   と同じように、心臓発作を起こして突然倒れた人を救うためのAEDの普及はとても

   良いことだと思います。それだけに私たちは“常に使えるぞ”という心構えと地域

   内でのAED設置場所の確認だけはしておきたいです。たった1回の講習会だけではな

   く、定期的な講習会への出席が必要ですね。

志位:一般市民のAED操作が解禁になった最大の理由は「時間」の問題なんですよ。心肺

   停止から心拍再開まで、1分経過する毎に救命率が著しく下がってしまいます。1分

   でも1秒でも早く対応することが必要なのです。AED装着から作動に最低でも3分は

   必要でしょう。そして、先程も出ましたが、一般の人にAEDを必要とする心肺停止

   の判断ができるかどうか。心肺停止を察知できなければ、AEDに思いが到らないか

   もしれないですね。もちろん、救急隊であればその判断はできるでしょうが、大抵

   の場合、救急車の到着までに5分以上かかってしまう。ですから、発見者がいち早

   く対応できることが、とても重要なのです。それが現在、約30万台のAEDが設置さ

   れている理由ですね。

美位:今日のお話を聞いて心構えができました。目の前で突然倒れた人に対して冷静に

   AEDを使えるようになるために、永さんのおっしゃるように、機会があるごとに講

   習会に出席しようと思います。


コメント
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