母:あ~、疲れた!大掃除の途中だけど、ひと休みしない?
娘:うん、いいね。拭き掃除で腕が疲れてきたから、そろそろ休憩したいと思っていた
ところよ。
母:簡単にティーバッグの紅茶で済ませてもいいかしら。大掃除中だから我慢してね。
私はお湯を沸かすから、そこのティーバッグをカップに入れといてちょうだい。
娘:ちょっと待った!ティーバッグといえども、美味しく飲むにはそれなりのテクニッ
クを駆使する必要があるのよ。実は「紅茶マイスター」を自認する職場の先輩から
黄金の秘法を教えてもらったの。
母:え~っ、本当?そんなの聞いたことがないわ。これまでの淹れ方で、あなたも美味
しいって言いながら飲んでたじゃないの。
娘:そうだけど、せっかく秘法を教わったのだから、今日は私がその方法で母上におい
しい紅茶を淹れて差し上げることに致しましょう。
母:そう言われてみると、美味しい紅茶の淹れ方なんてあまり考えずに飲んでたわね。
それでは、お手並み拝見と参りましょうか?
娘:よろしい。では実践に移ります。まず、沸騰したお湯と蓋のあるティーカップを用
意します。カップはお湯で十分に温めておきます。そして沸騰したてのお湯を温め
たカップに入れてから、ティーバッグをカップの縁に沿ってゆっくりと滑り込ませ、
蓋をします。抽出に1分から1分半かかるから、その間にいくつか説明しておくわね。
蓋がない場合はティーカップのソーサーや小皿あるいはラップでもいいのよ。空気
をたっぷり含んだ軟水がベストだから、汲みたての水道水を使うの。ミネラルウォ
ーターは硬水のものがあるから注意が必要ね。お湯は5円玉ぐらいの泡がポコポコ
出るくらいの沸き具合で火を止めるの。中の空気が少なくなってしまうので、それ
以上沸騰させてはダメよ。一度冷めて再沸騰させたお湯は空気が抜けちゃってるか
ら、使わない方がいいわ。
母:抽出に1分から1分半って言ったけど、どのメーカーのティーバッグでも同じなの?
娘:市販の1包に入っている茶葉はだいたい2gよ。それに対して150~160ccのお湯を
注いで、1分から1分半が基準のようね。好みで多少、調節するのがいいかも。
母:これからは紅茶を入れるときもタイマーが必要だわ。
娘:さあ~、1分経ったからティーバッグを取り出すわよ。ここでも注意が必要なの。
ティーバッグを強く揺するのはダメよ。軽く振るだけで取り出すの。スプーンな
どで押すと嫌な苦味が出ちゃうわよ。さあ~、キレイな色とさわやかな香りを楽
しみながら味わいましょう。
母:いただきます。う~ん、確かに今までの淹れ方に比べると香りの出方が違うみたい
ね。後味にほんのりと甘味も感じる。美味しいわ。
娘:ほんとに美味しいわね。でも2番出しはダメ。1袋で1回が原則よ。これからは今回
のやり方で淹れましょうよ。できればティーバッグじゃない方がいいんだけどね。
母:さて、さて、一息ついたところで、そろそろ大掃除を再開しましょ。のんびりして
ると、あっという間に日が暮れちゃうわ。ごちそうさまでした。
娘:さあ、腕まくりして、がんばろう!