すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

ある日のキヨちゃん・・・脚本風

2008-05-10 22:04:41 | うちのキヨちゃん
      第1場

 すずしろ、居間で新聞を読んでいる。キヨちゃん引き戸を開けて声を掛ける。
キヨ「すず。父ちゃん今朝血圧の薬どうしよう?」
 すずしろ手を止めて、しばらく思案する。
すず「う~ん。そんなに高くなかったからなあ・・・。下がりすぎたらきついよな。」
キヨ「そうじゃなあ、今日お風呂あるしなあ。」
すず「うん。やっぱり飲まんほうがええなあ。」
キヨ「分かった。ほな、飲ますんじゃな。」
 すずしろ、一瞬開いた口がふさがらない。
すず「・・・。いや、飲ましたらいかんて!」
 キヨちゃん、何故か笑いながら退場。すずしろ新聞に目を通し始める。しばらくしてキヨちゃんもどってくる。手には白い錠剤が握られている。
キヨ「すず~。怒るかもしれんけど、飲ますんだったっけ~?」
すず「・・・。飲ましたら駄目やって!」
 キヨちゃん豪快に笑いながら去っていく。すずしろがっくりと肩を落とす。

     第2場
 キヨちゃん新聞を読んでいる。すずしろ仕事に出掛ける準備をしている。
キヨ「しかし、父ちゃんタコにほんまに取り憑かれたよなあ。」
すず「ほんまなあ。でもたった(飽きた)言いよったなあ。やれやれじゃ。」
キヨ「ほんまじゃ。母ちゃんも酢の物もうたりかえった(飽き飽きした)」
すず「後のタコは唐揚げじゃな。」
 ふたり楽しそうに笑う。
 
 その日の夕方。すずしろ帰宅し、父の寝室に向かう。
すず「ただいま」
父 「おかえり。」
 キヨちゃん、すでに布団に入る準備をしている。
キヨ「おかえり。疲れたろう、早うお風呂入ってご飯食べて、寝なよ。」
 すずしろ苦笑しながら、台所に向かう。用意された夕飯のメニューを見て、すずしろぐっと言葉に詰まる。そこにはタコの酢の物があった。がっくりと肩を落とすすずしろ。
                       Fin

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コメント (2)
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