すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

たま子

2008-05-25 15:43:16 | じいとんばあ
 「じいとんばあ」は介護をテーマにした詩集である。だから、詩を書くべきなのだが「じいとんばあ」がらみのエピソードがあったので、文章で紹介する。
 支援センターに異動になって、直接介護をすることがなくなったが、今度は自宅で家族と向き合ったり本人のテリトリーで向き合う必要が出てきた。まだまだそのことに慣れずにいる私だが、少しずつコミュニケーションをとれるようになってきた。
 先日、デイサービスに顔を出した。担当している利用者さんが来ている時は、自宅より確率よく会えるので助かる。ちょうどタイミングが合わず入浴中だったので、壁面構成などを手伝いつつ、待っていた。
 そこへ一足早く戻った利用者さんの一人が、たまたま昔からの知り合いだった。亡くなった彼女のご主人と、私の父が昔同じ職場だったのだ。
 「おばちゃん!」
声をかけると、彼女は怪訝な顔をした。
 「私誰かわかるかえ?」
 「え?誰だろ?」
 「きよっさんの娘。」
 「え!すず?すず?まあ!すずじゃ!」
私の名前を連呼しながら、おばちゃんは感激してくれた。
 「まあ、4歳だったのに大きいなって。」
・・・。大きい?まあ、ええ大人ですもの。
 「ほんであんたなんぼ(幾つ)になったんで?」
 そう質問すると、ナースが意地悪く(笑)こう言った。
 「当時○○さんは幾つだったん?計算してみんけん。」
 「えっと当時私は30代・・・今私は・・・。まあ!すず!そんな年?」
よ、余計な事を・・・。そして当然な質問。
 「ほんで、まだ嫁に行ってないん?」
 「・・・うん。」
 そんな懐かしいやりとりの後、私は担当サンとの面会をして、事務所に戻った。
 その日の夜、居合わせたナースからこんな話を聞いた。おばちゃんは私との再会がとても嬉しかったようで、その後も繰り返し話したらしい。そして、送りの車の中でもひとしきり話した後、こう締めくくった。
 「ああ、ほんまに会えて良かった。まさか“たま子”に会えるとは思わなんだ。」
・・・。たま子って。たま子って誰や??
 ナースは名前の間違え方があまりにおかしく、しばらく他の職員とつぼにはまってしまったらしい。
 「でも、ほかの似た名前いくらでもあるのに、なんでたま子なんやろ?」
そう私が言うと、ナースはこう解説した。
 「すずが転がるように丸いからちゃう?」
・・・・。すずしろ改め「たま子」です。

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コメント (7)
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