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【最新版】 『 パーマ屋スミレ 』(鄭義信・三部作)の最終章 ●県芸術文化センター●

2016-06-25 | 演劇

 

6月18日(土)に見た「パーマ屋スミレ」再演の感想をただいまアップ。その間大勢の人からアクセスがあったのは、2012年初演の記

を読んで頂いたようで、今回 鄭義信・三部作 としての再演分は、本日アップしましたので、よろしかったらごゆっくり見ていた

だければありがたいです。 

今回の再演はすばらしい舞台成果をあげたが、初演の舞台もエネルギーにみちあふれた熱い舞台でした

初演の東京・初台の新国立の小劇場では、客席の前列2番目で、舞台からの水除けのためのビニールが配られて、狂言回し役で出演

中の酒向芳さんの音頭で、リハーサルを2回もやらされた。

しかも私の隣席が笑福亭鶴瓶さんである。

「わしの弟子がこの芝居に出てますねん。『師匠ぜひ観に来てくれ』いうて毎日のようにメール攻めに合いましてな」

一面識もない私に、あのデカイ声でひとくさり訊かされた。

もう1つ。劇場のロビーで無理やりにマッコリと韓国産の海苔半畳ほど食べさせられたのである。

そういえば舞台で『マッコリは酒やなか。ジュースばい』というセリフがある。

あの濁り酒のような白い液は私の口にはなじまなかった。

 

   

                   

 さて再演の舞台に話を戻そう。(写真左から 南果歩、根岸季衣、村上淳)

『パーマ屋スミレ』の時代設定は1965年。何もかもが大きく変わろうとした時代であった。

「サユリスト」の流行語を生んだ吉永小百合、「「若大将」の加山雄三、『ヨイトマケの唄』で人気が再熱した丸山明宏(現美輪明宏)の

名前が本舞台でも飛び交う時代でもあった。

 

ストーリは省くが、重要なことは前2作と大きくちがっているのは、ドラマのラストは別離や旅立ちを希望して表現することが多かった

鄭義信作品には珍しく”留まる決断”を下すヒロインの描写になっていた。

先日亡くなった蜷川幸雄さんがよくいう「人生で何事も逃げるな!!」に通ずることかもしれない。

 

 

配役でいえば、『焼肉ドラゴン』で好演した千葉哲也が、再演では南果歩の夫役に転じて達者な演技を見せた。

その弟役の村上淳は唯一の新加入である。村上はモデル出身。テレビドラマ『ナイトヒーローNAOTO』にレギュラー出演中。

ひそかに兄嫁(南果歩)を慕っているという、ありきたりのパターンだが、通俗的な芝居をするでなく、「こがんおれでも、北(北朝鮮)の

社会主義建設に貢献でけるち」。このアリラン峠をはなれて北へ行く決心を固めている好青年をみごとに活写し、さわやかであった。

若松役を演じた長本批呂士も初演より役を掘り下げていたのには感心。

長本は新国立演劇研修所第3期生であり、今後が楽しみな俳優さんだ。

 

 

いつも思うことだが、東京・初台の新国立の小劇場はとてもいい小屋だと、かねがね思っている。

小劇場といえども、手狭な感じや窮屈さなく、それでいて舞台との距離感がとても近いため、出演者それぞれの抱える痛み哀しみが

ダイレクトに胸に迫ってくる。

云いかえると”いつも濃い芝居がみられる” のである。

このことを新国立劇場の芸術監督である宮田慶子さんに訊いてみたいと思うのだが、宮田さんとはよくお会いしながら、いつも居酒屋

トークに終わってしまうのである(笑)。

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