おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
いろいろ活動してます
そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

ヒストリー・ダイアリー #13,14,15&LAST SCENE 

2006年12月01日 23時33分13秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 はいはいどーもどーも、鉛筆カミカミですぅ。
 いよいよこの「ヒストリー・ダイアリー」も最終回になってしまいましたねぇ。
 思っていたより早かったものです。ちょっとラストスパートしすぎたか(?)

 あまり多くは語らないことにします。
 ヒストリー・ダイアリーラスト、どうぞ!





 SCINE.14 ONE AND ONE


      舞台には、<SCINE.12>の最後で一瞬流れた曲が流れている。

真二 「・・・僕がこの本にそんな事を書いたのは、ほんとにちょっとした気の迷いからだった」

      そこに真二が入場してくる。

真二 「だから次の日、すぐに書いてしまったことを直そうとした。・・・きっと、昨日はいろんな事があって疲れてたからあんな事したんだと、自分では納得していた・・・」
まもり「・・・」
真二 「・・・だけど、直せなかったんだよ。次の日も、その次の日も・・・。世界が壊れてしまえなんてとんでもないこと書いたのに、それを訂正することが出来なかった・・・」
耕平 「どうして!」
由里 「・・・」
真二 「・・・。とにかく、そんな毎日が続くほど、僕の中になにかが膨らんでいった。・・・そうして一年が過ぎたんだ」
耕平 「・・・そんな勝手に悠長なこと言って・・・・・お前もうあと一ヶ月で、取り返しのつかないことになるんだぞ!」
真二 「そんなこと言われなくてもわかってる・・・君にそんなこと言われたくない・・・」
耕平 「及川・・・早く書いた内容を訂正しろ・・・このままじゃほんとに洒落になんねーぞ」
真二 「・・・」
由里 「・・・真二君、なんでそんなに悩んでるの?」
真二 「・・・・・『この書に関わる者たちは、その時間を生きる人間の全てを象徴し、そして、全てを決定する』・・・そうまもりから聞いたんだ。・・・それなら、もしかして僕がこの本に書いたことは、今の人類の逃れられない運命なんじゃないか・・・」
耕平 「及川! なに言ってんだ!」
由里 「耕平! 待って!」
真二 「・・・そう思ったら・・・・・ほんとにそう思えてきた・・・・・逃げられない(感情高ぶっているイメージ)・・・!」
由里 「・・・真二君・・・・・なんにもあなたが悪いことなんてないんだよ」
真二 「え?・・・」
由里 「・・・(急にカラッとしたトーンで)もう、難しいこと考えるなよ。もっと普通にやんなって」
真二 「・・・・・どういうこと?・・・」
由里 「・・・また考えてる・・・あたしね、あなたのそういうとこがキライなの・・・・・(押し詰めたような声のイメージで)大ッ嫌い・・・!」
真二 「・・・」
まもり「・・・・・真二君・・・」
真二 「・・・まもりか・・・?」
まもり「・・・・・あの本を・・・」
真二 「あの本を?・・・」
まもり「・・・私に渡して・・・」
真二 「・・・君も・・・そうなのか・・・?」
まもり「・・・」
真二 「まもり、君にこれを渡せば、なにかが変わるのか?」
まもり「・・・・・そんなこと、わかるわけない・・・」
真二 「なら、君には渡せない!」
まもり「・・・」
耕平 「由里! こんなのほっといていいのかよ!?」
由里 「耕平、もう少しだけ待って・・・」
真二 「・・・生きていくにはいま何をしたらいいのか、悟る力を人は初めから持っている。だけどいま人間は、外からの情報に無理に踊らされて生きている・・・本来の生き方を見失っている。・・・それは、人間ひとりひとりが悪いって訳じゃない、こうなってしまった社会が悪いんだ。それなら・・・」
まもり「(真二の、あとに続く言葉を遮るように)真二君って!・・・・・自分の事ばっかり・・・いっつも・・・・・あなた、自分しか見ていない。・・・いくら大きなこと言って、芸術に走って、人間のこと考えてるっていっても・・・・・あなたは、自分の中に閉じ込もってるだけだよ」
真二 「・・・(皆を振り返り)じゃあ君らは、こんな事を考えた事がないのか?」
耕平 「・・・・・・(ちょっと動揺しながら)んなこと、あるわけねー・・・」
由里 「(耕平の言葉を遮りつつ、気持ちの方向は真二へ、宣言するように)あるのかも知れない!・・・・・だけど、そんなの問題じゃない」
耕平 「・・・」
真二 「・・・・・まもりは、どうなんだ?」
まもり「・・・」
真二 「・・・・・まもり・・・?」
まもり「・・・・・だから、そんなの関係ないって言ってるじゃない。・・・そうだよ、そんなの問題じゃないよ。・・・・・だって・・・・・だって・・・わたしはどうなるのっ?」

      ・・・・・少しの間のあと、急に真二は優しい顔つきになり、
      ひとりうなずく。

      (注:このシーンでは、<SCINE.12>の最後の部分での真二の心の内側を、三人との対話という形に直して表現している)

      そして真二は本を手にとり、最後の頁になにか書き込む。
      その間三人は、直立不動の姿勢でストップ・モーション。
      真二、本を置いてから、退場。
      残りの三人は、真二が入ってくる前にいた位置に戻る。



 SCINE.13-3 結末


まもり「・・・・・!」

      まもりは、残されている本に気付き、手に取る。

由里 「・・・まもりさん、それ・・・もしかして・・・」
耕平 「なんでこんなとこに・・・?」
由里 「・・・さっき、この部屋出たときはなかったよね、もちろん・・・!」

      まもりは、何も言わずに頁を開き、「最後の頁」を探す。

まもり「・・・・・えっ? ・・・「ケータにこの本を・・」・・・・・真二君だ。・・・・・・・・(優しい表情になる)なるほど」
由里 「どうしたの?」
まもり「・・・・・私、この本を燃やします」
由&耕「えっっ?」
まもり「・・・そう・・・・・燃やして、灰にしちゃうの」
耕平 「どうして!」
まもり「・・・だって、この本の最後の頁にそう書いてあるもん・・・・・・・ケータよ!・・・もう一度だけ、この身体に入って!・・・」

      暗転(・・・したいなあ)。



 SCINE.15 エピローグ


      舞台上には、耕平とまもりがいる。

耕平 「・・・あっち~い・・・・・あ・・・でも、夏は暑いのが一番ですよね?」
まもり「・・・・・耕平君、」
耕平 「はい?」
まもり「・・・前から聞きたかったんだけどさ・・・耕平君と由里ちゃんの間って・・・どうなってんの?」
耕平 「・・・え~っ・・・どうなってんのって、どーゆー意味だろ・・・・・じゃあ、まもりさんには、どういう風に見えます?」
まもり「えっ?・・・だって、すっごく仲いいし・・・・・うーんと・・・だからつきあったりしてないのかなって、思うんだけど・・・」
耕平 「えぇ~っ? ・・・それはないですよ」
まもり「あっ、そうなんだ・・・」
耕平 「・・・・・でも・・・今度の事で、オレはもっと、由里に追いつかなきゃダメなんだなって、思った」
まもり「・・・?」
耕平 「・・・だってあいつ、オレのことなんて全く眼中にないんだもん。このまんまじゃ、くやしいっスよ」
まもり「・・・」
耕平 「・・・最初はオレ・・・由里は、及川にホレてるんだと思ってた」
まもり「エッ・・・?」
耕平 「・・・でも! それってたぶん違うし・・・・・そもそも最初っから、そんなのって関係ない。・・・うん、関係ない・・・」
まもり「・・・」
耕平 「・・・まず、今の自分に追いついて・・・それからいつか、あいつにも追いついてやる!」
まもり「・・・・・ふ~ん・・・・・そうだね・・・追いつけるよ、きっと・・・・・追いつける。」



 LAST SCENE ~メッセージ~


      由里・真二、入場。

ケータ(由里・真二の二人で、同時発声)
   『・・・あなたのおかげで、私は許されない禁忌を犯してしまいました』
まもり「ケータ・・・あなたは、この本が地上に落とされたときから、ずっとこの本を見守ってきたんでしょ? ・・・それなら、最後のさいごまで面倒見るってのが、あなたの仕事なんじゃないの?」
ケータ『・・・私の仕事は、この書を見守り、歴史を見守ること。・・・それ以上の関与は、絶対に許されないのです』
耕平 「・・・・・そして・・・けれども・・・彼は初めて、この歴史の書に名を残すことになる・・・・・」
真二 「・・・僕は・・・自分の弱さを、なにかを守ることにすりかえていた・・・・・僕はもっと、強くなろうと思う」
まもり「・・・まったく・・・素直じゃないんだから・・・(メモ:ベクトル確認)」
耕平 「・・・」
ケータ『・・・・・今度の私の任務は、これで終了です』
まもり「・・・こんなことしちゃ・・・もう当分来れないかもね・・・」
耕平 「それが、いいんだと思うよ」
ケータ『・・・・・では・・・後輩達・・・また、いつか・・・!』
全員 「・・・そして、」
まもり「そしてまた」
耕&由「・・・ひとつひとつは出逢いを繰り返し」
由里 「・・・いつか」
真&ま「・・・いつか、ひとつになれる・・・!」


      暗転・・・・・カーテンコールへ・・・。


                           <終わり!>





 はいはい終わりでーす。終劇ぃ。
 いかがでしたでしょうか、ヒストリー・ダイアリー。感想など、コメントの方に寄せていただければ幸いと思います。

 自分的には、いやぁ、若いなあ、と。
 でも嫌いじゃないんですよ。嫌いでは。
 結構自分の処女作としては、気に入っているといってよいでしょう。
 まあいろいろありますが。
 まあ多くは語りません。野暮ですよね。

 では!

 今、このヒストリー・ダイアリーのクライマックスのシーン名「ONE AND ONE」の「ONE」の文字を冠した、「ONE EYES」という劇の脚本を書き直しています。
 この ONE EYES も過去、R大学演劇研究会の作品として上演したことのある芝居なんですが、今回はそれを元にして全て書き直して再発表しようと目論んでいます。
 来春くらいに僕のホームページを開設しようと考えています。その目玉企画みたいな感じになればなと思って書いています。
 現在2シーンを書き終えたところ。先は長いです。

 明日は、mixiで知り合った正義さんという方と一緒に卓球の練習に10年振りに参加します。ドキドキ…

 そういうわけで忙しい毎日です。

 では、またお逢いしましょう!

 鉛筆カミカミでした!!

ヒストリー・ダイアリー #11,12,13

2006年11月26日 01時24分24秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 ども、鉛筆カミカミですー。
 今日は昼寝をしたせいか布団の中に入っても目が冴えて眠れず、仕方ないので眠くなるまでブログの更新でもしようか、と思い、やって来ました。

 そうそう、今日、30にして生まれて初めて本格的な料理に挑戦したんですよ。
 といっても焼きうどんなんですけど。
 でも初めて作ったにしては結構美味しくできたと自負してるんですが。
 家族にも食べさせたんですけど、まあまあ好評だったようで、一安心です。不味いとか言われなくて良かった…!
 ただし手早く味付けをしなかったために少しうどんがのび気味でした。
 初めてなんだから仕方ないじゃん、という甘い囁きも心の中でささやいていますが、まあここは謙虚に次回への反省点ということで、心に留めておくことにします(^▽^)

 それはそれとして久々にヒストリー・ダイアリーの続きを更新したいと思います。
 いよいよラストが近付いてきましたね!
 大円団に向かってラストスパート!
 今日はクライマックスの一歩手前までをお送りします。
 次回はいよいよ見せ場ですよ~。でも今回も読んでっておくんなさいませ?

 では、始まりです。
 パチパチパチ……!!





 SCINE.11-1 GAME OVER


      まもりが飛び込んでくる。

まもり「・・・ケータッ! どこにいるのッ? 出てきなさい!」

      まもりは、必死に「感覚」を広げている。

まもり「・・・・・・・・あぁ~っ・・・やっぱりダメかぁ~・・・もっとこっちから近づかないと・・・」
ケータ(声のみ:音響で入れるか、舞台裏で由里と真二の同時発声)
   『・・・呼びましたか?』
まもり「あぁ~ッッ! いたっ! ケータッ! あんた今、どこにいるの!」
ケータ『・・・ここにいます』
まもり「・・・・・あぁ~~・・・そっかー・・・それじゃあ、あなたの見張ってる本と、その持ち主は今、どこにいるのか教えて?」
ケータ『・・・何故、そんな事を伝えねばならないのですか?』
まもり「いいからっ! 今こっちは大変な事になってるのよっ!」
ケータ『・・・それは・・・できません』
まもり「どーしてッッ?」
ケータ『・・・書物に関わる者たちの行動は、でき得る限り自然なものでなくてはいけないのです。・・・あなたに書物の場所を教えた時点で、それは自然なものではなくなります』
まもり「こーの恩知らずっ! 持ち主見つけるのに、あんなに協力してあげたじゃないっ!」
ケータ『・・・そして、私自身が書物の運命に関わる事は、絶対に許されないのです』
まもり「・・・だいたいあたしが協力してる時点で、全然自然じゃなくなってるじゃないの! ・・・今さらちょっとくらい変わらないよー!・・・」



 SCINE.11-2 翼にのせて


      耕平、由里、入場してくる。

由里 「・・・まもりさん! どうしたの?」
耕平 「だいじょぶですか!・・・」
まもり「・・・大丈夫、何でもない。・・・それより、どうだった?」
由里 「自宅にはいないみたい。留守電になってた」
まもり「やっぱりまだ帰ってないか・・・」
耕平 「バイト先にも顔出してないって。二日も無断欠勤だってオレが怒られちゃったよ」
まもり「そーかあ・・・・・一体どこ行っちゃったんだろ・・・」
耕平 「もしかして、旅行にでも行ったんじゃないの?」
由里 「・・・もしそうだったら困るね・・・」
まもり「・・・・・あっ、アトリエ!」
耕平 「アトリエ?」
由里 (瞬間、「あっ、そうか」という表情。しかし声には出さない)
まもり「真二君、ずっと前から絵を描いてるんだ。・・・いつも通って、絵を習ってたアトリエ・・・・・あそこかも知れない・・・」



 SCINE.11-3 君に逢えてボクはボクになる


      そこに真二が入ってくる。例の本もその手に持っている。

真二 「・・・僕にとって絵を描くことは、苦肉の希望であり、最後に見つけた橋だったのかも知れない」

      真二は扉を開ける動作をし、奥の椅子に座る。
      このとき真二の開けた扉は、まもりの部屋のドアである。
      なお、三人と真二の時間は、同時刻。

由里 「・・・じゃぁまもりさん、とりあえずそこをあたってみようよ!」
まもり「そうだね。・・・このすぐ近くだから」

      由里とまもりの二人は行こうとする。

耕平 「・・・ちょっと待って!」
真二 「(前後の台詞にかかりながら)・・・不用心だな・・・」
耕平 「ちょっと待ってよ。・・・あのさ、もしかしたら及川みたいなあんな願い、書いても実現しやしないんじゃないか? ・・・だってあんな大げさなの、いくら何でも無理だよきっと」
由里 「・・・・・そうだといいけどね・・・どっちにしても今の状況考えたら、ほっとけないでしょ!」

      まもり・由里、退場。
      耕平も遅れて、退場。



 SCINE.13-1 CHILDREN


      本を開く真二。

真二 「・・・『周りはドス黒い泥の海だった。僕だけは、肺に泥が入らないようにと頑張った。皆は溺れていた。笑っていた。それで僕はひたすらにもがいた。泳いでいるのだと言い聞かせた。・・・気がついたとき、光が消えていた』・・・」

      読み終えた真二は、小さくかぶりを振る。



 SCINE.12 何処へ


      まもり・由里・耕平、入場。

まもり「・・・ここがそうだよ」
耕平 「これがアトリエ? ・・・普通の家みたい」
まもり「・・・実際、ここの先生の家なんだって。・・・二階が入り口になってるから」

      由里が真っ先で登る。
      由里は、入り口のドアの所で待っている。

まもり「・・・・・じゃあ、開けるよ・・・」

      まもりは、扉を開ける。
      その瞬間、真二は耕平たちの方を振り向く。
      (同時に、電話のコール音)
      耕平たちは、真二に向かって歩いていく。
      真二も立ち上がり、耕平たちの方に進む。
      しかし、三人と真二はすれ違う。
      真二は、舞台の端で、鳴っている電話を取ろうとする。

真二 「・・・・・取る必要は・・・ないかな・・・」

      (コール音、途切れる)
      真二は、また適当に座り、考え込む。

耕平 「(辺りを見回して)・・・・・いない・・・のかな?・・・」
まもり「この奥にたぶん先生がいると思うから、真二君が来てないか聞いてみる」
由里 「うん! そうだね」

      まもりは退場し、由里もそのあとを追おうとする。

耕平 「由里! そんな何人も行ってもしょうがないから、オレらはここで待ってようよ」
由里 「・・・・・うーん・・・ゴメン、あたしまもりさんが気になるから」

      由里退場。

耕平 「・・・ったくしゃーねーなー・・・」

      耕平もすぐに続いて退場。

      舞台上に残された真二。本を手に抱えて何か考えている。
      もう一度かぶりを振る。うつむいたまま。
      一瞬、舞台の上に曲が流れる。すぐに途切れる。
      すると、真二は思い出したように最後の頁に何か書き込む。
      そして立ち上がり、ドアを開け、退場する。

      舞台上、椅子の上に置かれた本だけが残される。



 SCINE.13-2 ROOM


      まもり・由里・耕平入場。

由里 「・・・結局、帰ってきちゃった・・・」
まもり「・・・」
耕平 「及川どうしたんだろーな・・・」
まもり「・・・」
耕平 「・・・意外と、まもりさんちにひょっこりいたりしてね」
由里 「・・・耕平・・・あんたこういう時によくそんな冗談言えるね!」
まもり「・・・!」

      まもりは、急に駆け出す。
      顔を見合わせる耕平と由里。二人はすぐに後を追う。
      まもりはアパートの部屋のドアを勢いよく開ける。

まもり「・・・・・」

      耕平・由里は、まもりの後ろから部屋の中をのぞき込む。

耕平 「・・・・・誰もいない・・・みたいですね」

      まもりは部屋の中に入る。

まもり「・・・うーん、まいったな。・・・今どこにいるんだろ。・・・見つかんないよ・・・。バカ!・・・いい加減出てきなさいよ・・・」

      まもりは部屋に置いてある本の存在には気付いていない。





 さてさて如何でしたか?
 次回はいよいよクライマックス!
 登場人物全員の心の問題が浮き彫りにされ、未来へ飛翔しようとするその過程を描こうとしてみました!
 乞う、ご期待!

 ではでは、鉛筆カミカミでした~

ヒストリー・ダイアリー #8,9,10

2006年11月15日 00時09分58秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 どーも、鉛筆カミカミです。
 この下の11月14日の記事の後になんか広告貼り付いてますね。
 こんなの初めてで、有名なアファリ(アフェリ?)じゃないし、何でしょう?
 携帯で読んでる人にも分かる話なのかな。
 とりあえず僕は無視してますが、対処法とか、全然分からないので、もしか危険なサイトだったらやばいし、知識のある方いらっしゃったら是非教えてくださーい。

 そんなこんなでヒストリーの連載、数えること9回目ですね。
 次回は記念の第10回目ということで、何か変わったことが起こるかも知れません。?('_'

 それではよろしくお願いします。





 SCINE.8 誰のせいでもない二人


      由里はしばらくの間、適当に座って誰かを待っているが、
      ある瞬間急に立ち上がり、駆け足でハケる。
      由里と入れ替わりにして、耕平が入場してくる。
      由里を探している様子だが、見つからない。

耕平 「・・あれーっ・・・おっかしーなー・・・」

      耕平が入ってきた側から、こっそりと由里が入場してくる。
      耕平に近づき、肩を叩く。

由里 「久しぶり!」
耕平 「・・・・・なぁんだよ、いるんじゃん・・・あせったよ、帰っちゃったかと思った」
由里 「耕平、遅すぎだよ」
耕平 「・・わーるい・・・昨日仲間と、朝まで遊び歩いてた」
由里 「またぁーっ? ・・・いつまでもそんな事して・・・いつか身体こわすよ・・・・・あたしたちだって、いつまでも若くないんだからさ・・」
耕平 「(しばし、ぼっとしてる)・・・・・」
由里 「・・・?」
耕平 「・・まさか、由里にそんなこと言われると思わなかった・・・・お前、成長したな・・」
由里 「・・・そう? ・・・・まぁ、女の二十代は、心の成長期だからね」
耕平 「・・・なんだそりゃ・・・んなの聞いたことねーぞ」
由里 「(笑顔で)いーじゃないのっ!」
耕平 「・・・・・・君が成長してる間に、世間はすごい事になってるみたいだけど」
由里 「・・・ねぇ~っ、いくらテレビとかで騒いでても、全然実感わかないわ」
耕平 「・・・とりあえず、日本に四季・・・あ、四つの季節ね」
由里 「うん」
耕平 「・・・は、なくなったって感じがする」
由里 「あぁ~っ・・・そーだねー・・・・」
耕平 「そういえばさ、オリンピックってどうなったんだっけ? ・・・やるとかやらないとか・・・」
由里 「・・・結局、延期にするかどうかは白紙のままだってさ・・・・・先送りー先送り・・・」
耕平 「だってこんなケース、第二次大戦以来なんだろ?」
由里 「・・・それにしたって、あたし達のところにくる情報は、いっつも半端に不透明なものばっかり・・・大衆を混乱させないための情報操作だかなんだか知らないけど、逆にストレスたまるばっかなのよねー・・・」
耕平 「・・・ふん(あいづち)・・・」
由里 「・・・大体、人間が人間の気持ちを操作しようってゆー根性が気に入らないわ」
耕平 「・・・まー、そうかもしんないけど・・・情報出す方も、今の状況よくわかってないんじゃないの?・・ヘタな事言えないってゆーか・・」
由里 「・・・うーん・・・・まっ・・とりあえず、まだあたしらには全然実害ないし・・・気楽なもんだよ」
耕平 「そーかぁ・・・? かなり不安だと思うけど」
由里 「・・・そう思ってないと、普通に生活もできないってことだよ・・」
耕平 「・・・・・・・あ・・そうか・・・・オレらにできる事なんて、そんなもんだよな・・・」
由里 「・・・・」
耕平 「・・・でさ、」
由里 「でね、今日は行くところ決まってるんだ」
耕平 「・・えっ? そうなんだ・・・それって・・・?」



 SCINE.9 再会Ⅱ


まもり「・・・いらっしゃい!」

      まもり、入場。

由里 「まもりさん・・・来ちゃった」
まもり「うん、待ってたよ・・・ありがとね」
耕平 「・・・どーも・・・久しぶりです」
まもり「うん・・・耕平君久しぶり・・・相変わらず可愛いねー」
耕平 「・・・・可愛い・・・?」
まもり「・・・じゃあ、さっそくあがって・・・?」
由里 「はい、おじゃましまーす・・・」
耕平 「・・・おじゃまします」

      三人、ハケる。



 SCINE.10-1 空が高すぎる


      三人がハケるのと同時に、反対側から真二入場。
      本を持っている。

真二 「・・・・・ケータ・・・いるんだろう? ・・・いるんなら教えてくれ・・・聞きたい事があるんだ。・・・この本を見守る精霊よ・・・」
耕平 「・・・なんだ? 精霊って・・」

      耕平、再入場。

真二 「・・・誰だ? 君は?」
耕平 「ゲッ、ショック。・・・及川、もしかしてオレのこと忘れちゃった?」
真二 「・・・・・君は・・・・・もしかして、僕か?」
耕平 「あァーッ? ・・・変わった奴とは思ってたんだけどー・・・」
真二 「・・・・・なぁ・・・僕はこの先、どうしたらいいんだ?」
耕平 「は? ・・・お前、なんかやらかしたのか?」
真二 「・・・・・いや・・・僕は・・・」
耕平 「・・・なんかあったんだな。・・・素直に認めちゃえよ」
真二 「・・・・・(ボソッと)あの本に・・・」
耕平 「・・・エッ? なに? 聞こえない」
真二 「・・・・・いま世界で起きてる気候異変は、僕が起こしたんだ」
耕平 「はっ? それどういうこと?」
真二 「・・・このままいけばあと約半年で、地球上の人口は約三分の一に激減する」
耕平 「そんなことお前がどーして言えるんだよ?」
真二 「・・・今から一ヶ月後に、巨大な隕石が地球に激突するんだ」
耕平 「・・・・・!(悟ったらしい) ・・・及川、お前・・・・・ウソだろ・・・?」
真二 「・・・あの本にそう書いた」
耕平 「・・・・・ジョーダン・・・、うそだろぉ?・・・馬鹿かおまえッッ!」



 SCINE.10-2 CHASER


まもり「・・・ほんとにバカだよね・・・」

      まもり&由里、登場。

耕平 「だってあの本に書き込んだことは、ほんとにほんとになっちゃうんだぞ! あいつだってわかってるだろーが!」
由里 「・・・そーだよ」
耕平 「・・・大体、何であいつがあの本持ってるんだよ! 由里が持ってたんじゃないのか?」
由里 「・・・・・ゴメン・・・あたしが真二君に渡しちゃった・・・」
耕平 「・・・なんでッッ!」
まもり「そんなこと今さら言ってもしょうがないよ・・・とにかく、今は真二君を止めないと」
耕平 「それはもちろんそうだけど・・・」
まもり「それに・・・たぶん、真二君がそれを書いたのは、最近の事じゃない」
耕平 「エッ・・・じゃあいつなんだ?」
まもり「・・・今から、おおよそ一年前・・・」
由里 「・・・それって、あたしたちが出会った頃だ・・・」
まもり「そう・・・あの日のほんの少し前の時期だと思う」
耕平 「・・・そんな事、今はどうだっていいことじゃん・・・まもりさん、及川は今、どこにいるんだ?」
まもり「・・・それが、昨日から行方がわからないの」
由里 「それでウチに連絡がきたんだよ」
耕平 「えっ! ・・・でもそれじゃあ・・・」
まもり「・・・大丈夫、私についてきて・・・なんとかするから」

      まもりは退場する。

耕平 「あっ! まもりさん! なんとかするって・・・」
由里 「耕平、あたし達も行こう。・・・今はまもりさんについてくしかないよ」

      由里は、退場しようとする。

耕平 「由里! ちょっと待って・・」
由里 「・・・? 何?」
耕平 「・・・・・・・いや・・・・大変な事になったな」
由里 「・・・・・・そうね」

      二人は退場する。
      真二も、苦悩しながら退場。





 はてさて今回で物語の全貌が明らかになり、急展開を迎えております。
 でも細かいとことかなー、もうちょっと直せると思うところもあるんですが、直し始めると切りがないということで、今回は完全オリジナルを再発表している訳でございます。

 さてこの脚本、僕が大学2年生の頃、初秋くらいにあった学園祭で、教室を使って公演を打った芝居の脚本です。
 なのでそこかしこに若さが滲み出ております。いい意味でも、悪い意味でも。

 大学2年の初夏の頃、演劇サークルの部室に入ると、1年上のH先輩が知らない友人と2人でいて、入ったらいきなり、「学園祭で芝居やろう!」と言われました。
 僕はその時いいですねと快諾し、結局H先輩の書いて演出した芝居と僕の芝居との2本立てで、公演を打ったわけです。
 肝心のお客さんがどんな反応だったかってあまり覚えてないんですが、ひとり、H先輩の芝居に出ていた役者さんが僕らの芝居のリハーサルを見て、あとで、うまく言葉にできないけどすごく感動したみたいなことを言ってくれたのがものすごく印象に残っています。

 まあそんなこんなで、まだ続きます。

 どうぞよろしく。

 鉛筆カミカミ

ヒストリー・ダイアリー #7-1~3

2006年11月10日 23時58分04秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 はーーーい、どーーもどもどもども、鉛筆カミカミです~(^▽^)

 意外と前回から時間をおかずに更新できそうです。

 今回から、耕平と由里のみつけた「本」が直接2人の運命を左右することになります。
 物語はいよいよ佳境!どんなラストが待っているのか!?お楽しみください!!!






 SCINE.7-1 アトムの子


      耕平と由里が入場してくる。
      まもりはお茶をいれに、いったん奥に引っ込む。

由里 「久しぶりに酔ったなーっ・・!」
耕平 「・・このよっぱらーい!・・・」
由里 「あんたも酔ってるねーっ?・・」

      二人は千鳥足。

耕平 「・・・でもほんと、さみーなぁーッッ!・・」
由里 「さっき、テレビのニュースで言ってたじゃなーい・・・!」
耕平 「・・なんだっけーっ?・・・それー?・・」
由里 「今は夏なのに寒いけどぉ・・・今年の冬は暖冬・・・来年の梅雨は雨降らなーい・・・ってゆーふーに・・日本中の気象が、おかしくなる傾向にあるってー」
耕平 「・・あーやだやだ・・・こわーい・・・・・また、エルにゃんたら現象だけ・・・?」
由里 「そーゆーのとまた違うみたいだよ・・・・でも・・・世界規模で気象がおかしくなってる・・・・んだって!」
耕平 「・・・・せっかく酔ったのに、なんか暗いなーっ・・・」
由里 「・・そーだねー・・・」
耕平 「・・・・・・なぁ由里、なんかゲームやろーぜ」
由里 「・・ゲーム?」



 SCINE.7-2 ゲームの名前


耕平 「そう。・・・・・はーい・・・じゃあ・・みなさーん、出てきて下さーい!」
まもり「はーい!」
由里 「まもりさーん、及川くーん・・・ほらっ、早く早くっ」

      まもり・真二、入場。

真二 「・・・はいはいはい・・・・・(いちばん遅れて出てきて)それじゃあ、ルールを説明しましょう」
耕平 「・・・君がか?」
真二 「うん」
耕平 「・・続けて」
真二  <ゲームのルール説明>(他のメンバーも適当に相づち)
?1 「やだーっ!・・そんなのっ・・・絶対にやだーっ!」
?2 「なんでっ?」
?1 「やだやだやだやだッッ・・・はずかしーぃっ!」
?3 「・・・じゃあ・・・君は審判ということで」
?4 「・・え~っ!・・・ずるいーっ!」
?1 「わーい・・ラッキ!」

      で、「ゲーム」が始まる。

      ・・・・・・・・

      ゲームが終わると、真二とまもりは退場する。

耕平 「・・・終わっちゃった・・・・あーあ・・・現実に戻りたくないっ」
由里 「・・・・だいじょうぶ!・・・この本があれば、なにがあったってへっちゃらだよっ!・・」
耕平 「・・・うん・・・そうだよな・・・」
由里 「・・・とりあえず・・・明日からあたしは、自由の身なのだ!・・」
耕平 「・・・そんなうまくいくのかぁー・・・?」
由里 「いきますっ!・・」
耕平 「・・・うーん・・・・そーかもなー・・・・・うーさぶっ・・・オレ・・やっぱ、コーヒーかなんか買ってくる」
由里 「うんっ・・・あたし、モンテアルバン!」
耕平 「・・・あればねー」

      耕平、ハケる。

由里 「いってらっしゃーいっ!・・・」

      耕平、首を出す。

耕平 「・・由里」
由里 「・・・ん?」
耕平 「彼氏と・・・うまくやんなよ」
由里 「・・・・・・うんっ!」

      耕平、今度こそほんとにハケる。



 SCINE.7-3 世界の果てまで


      由里は本を置いて、座り込む。
      まもりが入場してきて、由里の置いた本を取り上げ、自分の位置に移動する。
      そして、本の頁を開く。

まもり「・・・その次の週の月曜日から、私は本当に一人暮らしを始めた。・・・あの日の翌日・・・破格の物件を、破格の値段で、知り合いから譲り受けることが出来たのだ。・・・それは間違いなく、あの本の力だった。・・・私は、とても喜んでいた。・・・そして、その一ヶ月後・・・私は、彼氏と別れることになっていた。・・・私があまりにも急に一人暮らしを始めたことが、いつの間にか彼の不信感をあおっていたようだった。・・・もともとあの日の前日からケンカ状態だった私たちは、互いに説明できない溝を抱えながら、その距離を埋める事が出来ないでいた。・・・会う度にもう戻れないことを確認する・・・そんな毎日が続いた。・・・疑いと迷いを持ったふたりほど、もろい物はこの世の中にないと感じた。・・・」

      由里は、耕平を待って、座ったり、
      立ち上がってウロウロしたりしていたが、
      しばらくすると、舞台上から姿を消す。

まもり「・・・それから、約一年の月日が流れた。・・・・その間に、まもりさんとは、姉妹のように親しい間柄になった。・・・耕平とは、相も変わらず時々会っては、くだらない時間を一緒に過ごしている。・・・・・真二君とは、実はあれから、たびたび会うようになっていた・・・」

      まもりの台詞の間に、由里はいちど舞台を小走りに横切る。
      まもりはそれを目で追う。
      由里がハケると、今度は耕平が、由里とは反対の方向に、舞台を横切る。
      耕平は、なにかを探しているような様子。
      まもりは、彼には気をとめない。

まもり「・・・・・あれから一年が過ぎただけで、世界は大変な事になっていた」

      真二が現れ、舞台の端の方に立っているが、しばらくして姿を消す。
      まもりは真二がいる間、それを意識している。
      真二がいなくなると、彼のいた反対側から、由里が入場してくる。
      まもりはそれに気付くと、真二の去って行った側から、退場。






 さてさてさて、いかがだったでしょうか。

 今回出てくるゲームのシーン、これは実は実際の本番ではカットされてしまったんですねえ。
 理由は、めんどくさくなった。まじで。
 やってれば面白いものになったかも知れないんですが、なんかわざとらしくなるような気がして……劇の上にのせる勇気が出なかったんですねえ。

 さーてさてさて、物語はこの先どうなるのか?少しは興味を持っていただけますか?心配なところですがそんなこととは関係なく、更新は続きます。
 あと5回くらいかなあ?連載は。……その後どうしよ。
 …今は考えられまへーーん!
 まあ後先考えずに参ります。

 それでは、また後ほどお目にかかりましょう。

 鉛筆カミカミでした!

ヒストリー・ダイアリー #5,6

2006年11月07日 00時33分14秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 儚い預言者さんのお言葉にノッかって、
ヒストリー更新するぞっ。

 今回は長いです。






 SCINE.5 気分爽快


      由里、席から立つ。

由里 「・・・それから・・・真二君のバイトが終わると、不思議なお茶会が開かれていました」

      四人とも席から立ち上がり、立ち位置を移動しながら、
      (由里と耕平は同時に、自分の座っていた椅子の位置を動かす)

耕平 「・・・おーい・・・なんでこーゆーことになったんだっけ・・・?」
まもり「・・・いいじゃないの、そんなこと」
由里 「なんか・・・同窓会みたいだよねー」
真二 「僕と臼井君と真芝さんは、ほんとに予備校の同窓会だよ」
由里 「そっかー・・・あれからどれくらいになるんだっけ・・・・・五年くらい?」
まもり「・・・ちょっと!・・・あたしを仲間外れにする気?」
由里 「あぁ~っ!・・・ごめんなさい、まもりさん」
真二 「いいんだよ、ただの寂しがりなんだから」
まもり「あっ・・・いいよ・・・・・耕平くーん、飲んでるーぅ?」
耕平 「飲んでるけど・・・そーいやこれ、いつの間にか飲み会になってますよね」
由里 「あんた、しけたこと気にするんじゃないのっ・・・・・(耕平に)ハイッ、かんぱーいっ」
耕平 (仕草で受ける)
全員で「・・かんぱーいっ!!」

      Hさん(私のサークルの先輩)へ・・・ダンスあるとしたら、ここに入ります。

  <間奏中>

真二 「・・・どうする? もうここ、閉まっちゃうって」
由里 「うーッ!・・・さむーい! 八月なのに、どうして外こんなに寒いの?」
まもり「・・・ねえ・・・私のうちに行かない?」
耕平 「えっ・・・いいんですか?」
真二 「この人って、一人住まいなんだよ」
由里 「へえ~~っ(意味深)・・・・・・・・いいですね」
耕平 「・・・由里、思ったんだけどさ・・・例の本に、一人住まいできるように書いてみたら?」
由里 「それいいかもっ!」
真&ま(少し動揺)
まもり「・・・・・じゃあ・・・さっそく、行きましょうか!」
由里 「うん、早く行こう!」

      音量あがる・・・が、

由里 「・・・で、まもりさんちって・・・どこにあるの?」

      ・・・すぐ下がる。

真二 「このすぐ近くだよ・・・黙ってついてきな」
由里 「・・・なっによ、えらそーに・・・」
耕平 「・・・じゃあ、もう一回!」

      んで、またダンス。
      (メモ:由里の表情の変化に注意すべし)

      ダンスが終わると、由里と耕平は舞台上からハケる。



 SCINE.6 そばにいてよ


まもり「・・・ふう・・・みんな帰っちゃったね」
真二 「・・・」
まもり「・・・なんか、寂しいねー」
真二 「・・・・・・・・こないだまもりさんに見せた絵さ・・・燃やしちゃった」
まもり「どーして? よかったのに・・・!」
真二 「んーん・・・なんか、違うんだ・・・」
まもり「・・・・・真二君・・・ゴメン・・・」
真二 「コンテストに出す絵はさ、また別のがあるし・・・」
まもり「・・・あの本、私が持ち出した」
真二 「・・・・・うん・・・そーだね・・」
まもり「だって、あの本がそばにあるとき・・・真二君、どっかおかしかったよ・・・」
真二 「・・・・・そーだったのかな・・・」
まもり「・・・・でね、そしたら真二君のお店に、本持ってったあの二人がいるんだもん・・・びっくりしちゃったよ」
真二 「・・・それで、臼井君と真芝さんを誘ったんだ」
まもり「・・・でも、あの二人おかしーね・・・・・・・今日は、楽しかった・・・」
真二 「・・・・・・うん、」
まもり「・・・由里さん、本持ってっちゃったね・・・・よかったの?」
真二 「・・・・・うん・・・・もう・・・なんだか・・・・」

      真二は苦しそうな表情になり、うつむく。

まもり「・・・・・(心配そうに様子を見ている)」
真二 「・・・なんで僕まだ・・・絵ー描いてるんだろ・・・・・」
まもり「・・・? ・・・好きだから・・・・・」
真二 「・・・・そーなのかな・・・」
まもり「・・もちろん・・・そうでしょ、・・・?」
真二 「・・・うーん・・・・」
まもり「・・・・・なんか飲む? ・・いれてこようか」
真二 「・・・僕って、なんで絵ー始めたんだっけ・・・」

      まもりは立ち上がって、お茶をいれに奥に行こうとする。

真二 「・・あ、いいよ」
まもり「えっ?・・」
真二 「いいよ・・・いれなくて」
まもり「・・コーヒーいやなら・・・お酒もあるよ・・・・・・・真二君、まだ飲むの?」
真二 「・・・これ以上飲んだら、ぼく倒れちゃうよ?」
まもり「・・・・・いいよ。・・・真二君だもん・・・私が介抱してあげるから」
真二 「(苦微笑いを返すが)・・・・・ウン、・・・やっぱり僕も、そろそろ帰る」
まもり「・・・あっ・・・帰っちゃう?」
真二 「うん・・・そうする」

      真二、立つ。

まもり「・・・あっ・・送るよ」
真二 「まもりさんに送ってもらうと、そのあと僕がまたまもりさんをここまで送らなきゃならなくなって、いつまでたっても家に帰れなくなるから、いいよ」
まもり「・・はいはい、わかりましたー」

      真二、ハケ際に立ち止まる。

真二 「・・・・・・・・まもり、・・・さん・・・」
まもり「・・エッ?・・」
真二 「・・・僕のしてる事って、なんの意味があるんだろ・・・」
まもり「・・・・どういう意味・・?」
真二 「・・・ゴメン、なんでもないや・・・」

      真二は答えずに、まもりの部屋のドアを閉める。
      去る真二。まもりは真二の出ていったドアを見つめたまま、
      部屋の真ん中に立ちすくむ。

まもり「・・・・・・・なに言ってんのよ・・・・・子供なんだから・・・」






 なんか含みを持たせたまま続きって感じですが、
それはそこ、連載ものの王道ということで。

 盛り上がりの王道(邪道という人もいる(^^;;)、ダンスが入ったところで、
これから物語は佳境に入ります。
 いよいよラストに向かって盛り上がるところです。
 お見逃し、なく……!!!


 それでは、鉛筆カミカミでした!

ヒストリー・ダイアリー #4-6

2006年11月03日 01時42分40秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 こんばんわ~
 鉛筆カミカミですー。

 明日から三連休!
 嬉しくて開放感いっぱいの気分に乗じて更新するぞ。

 ではヒストリー、続きです。


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 SCINE.4-6 再会


      真二、注文の料理を持って入場

真二 「・・・お待たせしました・・(由里の持つ本にチラリと視線を走らす)」

      真二は、由里&耕平のテーブルに料理を並べていく。

由里 「・・・ありがとう」
耕平 「どーも・・・」
真二 「・・・では、ごゆっくり」

      真二がそう言って引っ込もうとすると、

まもり「・・・真二君、ちょっと待って」

      まもりが真二を呼ぶ。
      真二は、まもりの席へ。
      由里は、様子を「クンクンと」うかがう。

まもり「・・・真二君・・・このあと、あいてるんでしょ?」
真二 「え?・・・いや・・・あのさー・・・」
まもり「ちょっとでいいから、お茶しない? ・・・・・・あちらの二人と一緒に」
三人 「えっ?・・」


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 あらあら今日はこんなに短いのですね。
 次から新しい章に入るので、ここで切らないとおかしくなっちゃうんですよ。

 なんて言ってますが、ほんとはただの気まぐれだったりして(笑)

 この次、またいつになるか分かりませんが(明日かもしれないし)
よろしければお目にかかるのを楽しみにしています。

 でわでわ

 鉛筆カミカミ

ヒストリー・ダイアリー #4-3~5

2006年10月31日 00時05分21秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 どもども、ご無沙汰しております。鉛筆カミカミです。
 寝る前の少しの合い間を利用して、ブログにカキカキしますです。

 「ヒストリー・ダイアリー」、久しぶりですなー。
 続き物なんだからこんなに間あいたら分からなくなるって(--;
 どーもすみません。

 では気を取り直して、ヒストリー、続きです。


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 SCINE.4-3 CENTURY BEAT


由里 「・・・あー、びっくりした・・・」

      次の瞬間、由里は耕平をにらむ。

由里 「・・・あんた、お金ないんじゃなかったの」
耕平 「アッ・・・しまった・・・」
由里 「それより耕平・・・!」
耕平 「ん?(由里の方を見る)」
由里 「どうしてわざわざ及川君にあんなこと言ったのよ?」
耕平 「あんな事って?」
由里 「仕事中なのにわざわざ呼び止めて、このあとつきあえー・・・なんて」
耕平 「うっさいなー・・・だってあのまんまだと・・・なんかヤじゃん」
由里 「あたしたち今それどころじゃないでしょー? そのまま帰しときゃいいじゃない」
耕平 「そりゃそうだけど・・・なんか・・・気持ち悪いんだよなー」
由里 「耕平ってときどき、変にひとがいいってゆーか・・・融通が利かないのよね」
耕平 「そっかー?」
由里 「そうよ・・・大体ね、あたし、あのひと苦手なんだから」
耕平 「・・・そうなの?」
由里 「そうなの! ・・・あたし、夕飯たべたらすぐ帰ろっ」
耕平 「えっ・・・だって・・・その本、どうするんだよ!」
由里 「知らないわよ。・・・コーヘイが悪いんだからね」
耕平 「・・・あの~・・・オレ、あいつの事あんまり知らないんですけど・・・・・二人だけで何を話せとゆーの?」
由里 「知ーらないっ・・・こうなったのは、あなたの責任でしょ? ・・・トラブル招くその性格・・・なおすいい機会なんじゃないの?」
耕平 「・・・お前・・・むっちゃキツイ事ゆーなー・・・・・・・・それかして(本を示す)、・・・その話しは後にしよ・・・今はこっちの方が先決」
由里 「あ、逃げたー・・・」
耕平 「・・・さっきちょっと思い付いた事あってさ、・・・マンガだったか小説だったか忘れたけど(カバンからペンを取り出す)、こいつと似たような本が出てくるんだよ(頁をパラパラしている)」
由里 「・・・それで?」
耕平 「・・・それでね・・・」
由里 「・・・・・エッ?・・・」

      耕平は手に持ったペンで、本にガリガリ書き込んでしまう。

由里 「ちょっと・・・ばかっ・・・このアホっ!・・・・・なにしてんのよアンタッ!」
耕平 「・・・この本には要するに、読んでいる人の過去が書いてあるわけだ。・・・じゃあ、未来は書き込めないのかな・・・って発想なんだけど・・・・・あらら」
由里 「どしたの?」
耕平 「・・・書き込んだ字が消えちゃった」
由里 「良かったじゃない・・・一時はどうなるかと思ったわ。・・・コワイ事しないでよねー・・・・・不思議な本なんだから・・・そんなペンくらいじゃうけつけないんだよ、きっと」
耕平 「そうなのかなー・・・確かに一度は書けたんだけど」
由里 「・・・でも、なんて書いたの?」
耕平 「・・・今から一分以内に、ここにお客が来る」
由里 「それで?」
耕平 「で、店員に「いつもの」って注文する」
由里 「・・・それだけ?」
耕平 「うん」
由里 「書くんならもっと夢のあること書きなよ。そんなの普通にだってありそうじゃない」
耕平 「そうだけど・・・ヘタなこと実現したら怖いし、とりあえずは、ジャブって感じで・・・」
由里 「意気地なし・・・かして!(奪う)・・・あたしだったらね・・・」
耕平 「おい、だから消えちゃうんだってば」
由里 「あ、そっか~・・・(書くのをあきらめる)」



 SCINE.4-4 友達


      まもりが入場してくる。
      店の扉を開け、まっすぐ席につく。

真二 「いらっしゃいませーっ!・・・」

      すぐに真二が出てくる。

まもり「・・・こんにちは、真二くん。・・・いつものお願い」
真二 「はい、かしこまりました・・・(まったくの営業口調とは違う)」

      真二は引っ込もうとするが、耕平&由里の横を通りぎわに、

真二 「・・あっ・・・こちら、もう少々お待ち下さい」
由里 「ア、はい・・」

      で、真二退場。



 SCINE.4-5 パレード


由里 「・・・ねえ今、及川君なんか様子おかしかったと思わない?」
耕平 「・・・ほらあの客、ほんとに「いつもの」って頼んだぞっ?」
由里 「あのひと及川君と、どういうカンケイなんだろっ?」
耕平 「やっぱりその本に書いた事は、現実になるんだよ!」
まもり(耕平と由里がいるのに気付いて、ギョッとしている)
耕平 「・・・」
由里 「・・・」
耕平 「・・・由里君・・・君はなんで興奮してるの?」
由里 「・・・・・ね~っ、やっぱりその本に書いたことは、ほんとになるみたいだね・・・まいったな・・・」

      その間にまもりは、本当に本を持っていったあの二人なのか、確認しようとしている。

まもり「・・・(やっぱりそうだとわかって)・・・うっそぉー・・・」

      耕平&由里は、まもりの方を見る。
      まもりは急いで目をそらす。

耕平 「(気を取り直して)・・・ますますそれって、大変な本みたいだな」


…………………………………………………………………………………………


 最近、ようやく念願のホームページ作成のソフトが手に入りまして。
 これから時間のあるときを見計らってHP製作にいそしもうかなと。
 思っておる次第であります。
 完成はそうだなー、今忙しいから、来年の春頃には、遅くても花粉症の季節が終わる頃には、とりあえずの形でも立ち上げたいな、と思っております。

 内容は過去の僕の文章作品を整理し発表する場として。
 それから好きな音楽、映画、漫画、小説(?)のレビューのようなもの。
 演劇―――舞台照明、路上演劇についての雑想。
 …などなどな感じであります。

 出来上がったらリンクを張りになぞ、お邪魔することもあるかと思います。
 その時はよろしくお願いいたしますm(__)m

 それではまた近いうちにお会いしましょう!

 でわでわ

 鉛筆カミカミ

ヒストリー・ダイアリー #4-1,2

2006年09月26日 23時36分50秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 どーも~、鉛筆カミカミですー。
 ちょっと今日時間が空いたんで書き込みしますね。
 戯曲「ヒストリー・ダイアリー」続きです。



 SCINE.4-1 たとえば、中華屋にて


     耕平&由里、入場。
     二人は、とある飲食店の店先にいる。
     耕平は店のドアを開け、中に入る。
     由里もすぐあとに続く。由里は、例の本を持っている。

店員 「いらっしゃいませーっ!」
耕平 「ちーっす・・」
由里 「誰に言ってるの?」
耕平 「礼儀だよ、礼儀!」
由里 「ふ~ん・・・それにしてもお客さん全然いないんですけど・・・この辺では有名な、まずい店だったりして」
耕平 「入っちゃった店ん中で、やたらな事ゆーなよな・・」

     二人はそれぞれ席につく。
     (それまでベンチとして使っていた椅子を動かして、座席にする)

耕平 「・・・さーて、なにを食おーかなー・・・」
由里 「(パラパラしながら)・・・でもこれ、ほんとに私の事、こまかーく全部書いてあるね」
耕平 「・・・昨日の彼氏とのケンカの一部始終とかな」
由里 「ほっといてよ! ・・・でも、どーなってんだろ・・・私が覚えてないような子供の頃の話まできちんと載ってるし・・・」
耕平 「うーん・・・ちょっともう一回みして」
由里 (本を耕平に渡す)
耕平 「・・・最後の頁が気になるんだよな・・・」
由里 「何が気になるのさ」
耕平 「・・・ちょっと待ってー・・・ふんふん・・・店に入って、この席について、お前と話してる様子が、細かく正確に描写してあるね・・・・・うわっ、面白い! 由里、見てみろよ! 活字がどんどん浮き上がってくる!」
由里 「耕平、こっからじゃ全然見えない・・・貸してみせてよ!」
耕平 「んっ!(差し出す)」
由里 「あれっ? この頁じゃないじゃない。(最後の頁を探す)・・・・・ほんとだ!・・・すごーい・・・」
耕平 「由里、ちょっとストップ。店の人がくる」
由里 「エッ、ほんと? これ隠さなきゃ」



 SCINE.4-2 9月の夏休み


     真二が入場してくる。
     彼はこの店でバイトをしている、店員さんなのである。
     真二は二人の席までやってくる。

真二 「いらっしゃいませ・・・」
耕平 「あ・・・すみません・・・」

     言いかけた耕平は、真二の顔で視線が止まってしまう。
     由里も同様に、真二の顔をジッと見てしまっている。
     真二はそれを気にする様子もなく、
     すましてコップをお盆から、テーブルの上に置いていく。

真二 「・・・ご注文は・・・お決まりでしょうか?」
耕平 「・・・・・思い出した!! 及川真二だ!」
真二 「はい・・・?」
由里 「・・・(露骨に嫌そうな顔をしている)」
耕平 「ほらっ、由里っ! 予備校でおんなじだったじゃん! 及川っ!・・・覚えてないか?」
由里 「・・・」
耕平 「(由里の様子がおかしい事に気付く)・・・ユーリちゃ~ん・・・??」
由里 「・・・・・(少しの間のあと、勢いつけて)及川君、久しぶりっ!!」
真二 「・・・真芝さん久しぶり」
由里 「・・・・・(及川からは、すぐに目線をそらす)」
真二 (営業スマイルっぽい笑顔で見ている)
耕平 「・・・・・(妙な雰囲気をいぶかしがっているが、すぐに気を取り直して)及川、お前いま、何やってん?」
真二 「・・・だから、注文待ってるんですけど」
耕平 「・・・。」
由里 「・・・」
耕平 「・・・あぁ~っ、はいはい、注文ね。・・・おい、由里、決まったか?」
由里 「とっくに決まってるよ。(真二に)○○○○ね(お好きなものをお好きなだけ自由にどーぞ)。・・・耕平は?」
耕平 「・・・やばい、決めてねー。」
由里 「ちょっとーぉ、・・・早くしなさいよ」
耕平 「・・・えーと・・・ちょっと待って・・・(すごくあせっている)・・・久々のまともな外食だから・・・・・うーんと・・・でも金ないかぁ・・・」
真二 「・・・それでは、決まったらお呼び下さい。・・・(由里に)そちらは○○○○でよろしいですね?」
由里 (一応うなずく)
耕平 「・・・(まだ一生懸命えらんでいる)」
真二 「では・・・(引っ込もうとする)」
耕平 「・・・ちょっと待てーっ! 必死で選んでる目の前で帰るなーっ!」
真二 「はい?(足を止める)」
耕平 「・・・え~っとぉーっ・・・、△△△△(こっちも由里と同様、但したくさん頼むこと)っ!」
由里 (驚く)
真二 「・・・かしこまりました。△△△△ですね」
耕平 「そう・・・よろしくっ! ・・・それから及川、ちょっと(と、呼び止める)・・・ちょいちょいちょいちょい(手まねき)・・・、お前、このあと時間あいてる?」
真二 「え?・・・まぁ・・・」
耕平 「よしっ。じゃあ、ちょっとつきあって?」
由里 「エッ?・・・(鋭く耕平の方を見て、その拍子に、机の下に持っていた本を床に落としてしまう)」
真二 「え?・・・まぁ・・・(と言いつつ、目線は床に落ちた本へ)」
由里 (あわてて本をひろっている)
耕平 「よしっ。じゃあ、そういうことでよろしくー」
真二 「・・・(由里の手にある本を指して)あの・・・それは?・・・」
由里 「えっ? ・・・ただの本ですよ・・・何の変哲もないー・・・(そのわりには、かなり動揺している)」
真二 「そうですか・・・・・では、失礼します・・・」

      真二、退場。見送る耕平。

ヒストリー・ダイアリー #3

2006年09月13日 00時12分36秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 SCINE.3 "HISTORY DIARY"


    耕平、由里、及川真二の三人が、それぞれに、入場してくる。
    真二は、例の本を持っている。
    四人は移動し、その間にまもりは、真二から本を受け取る。

    ・・・四人はいま、舞台を囲むように立っている。
    結果、舞台の中央には、何もない不自然な空間が出来上がる。
    そこには、膨大な量の "event" が、時間と共に積み重なっているのである。
    そして、そこから、この芝居は始まる。

    まもりを除いた三人が動き始める。
    (まもりは舞台奥・一番端のところに立ったままで動かない)
    伸びをしたり、歩きながら本を読んだり、それぞれ勝手な行動をとっている。
    しかし、その動きの「リズム」は、皆、等しい。
    そしてまた、彼らの移動する範囲は、舞台の中央部を決して侵さない。

    その中で、由里は一冊の本に目を通していた。
    そして、ある一節に目をとめる。
    舞台奥に立っていたまもりが実際に本を開き、その内容を伝える。

まもり「1963年、11月22日、アメリカ合衆国大統領、ジョン・F・ケネディーが暗殺される」
由里 「・・・私の生まれる14年前の出来事だ。画面には、飛び散った夫の頭部をかき集めようとする夫人の映像が、繰り返し流れている。・・・当時12歳の私は、気分が悪くなってテレビの前を立った」

    台詞を終えると、由里は本を閉じる。
    するとその後ろの方にいた耕平が、本の頁を開く動作をする。

まもり「文永11年10月、元・高麗の軍勢を乗せた大船団が博多湾に上陸。ときの鎌倉幕府・朝廷軍はこれに対抗するが、見慣れない戦法をとる元軍に大苦戦を強いられる」
耕平 「・・しかし、二度に渡る襲来のたびに暴風雨が元軍を襲い、大軍は船と共に海に沈んだ。・・・つまり、もしその暴風雨が一度でも来なければ、日本はいま中国になっているワケだ。・・・日本史ってもしかしたら結構面白いのかも知れない・・・そのときは、ちょこっとだけそう思った」

    耕平は本を閉じ、今度は真二が頁を開ける。

まもり「1939年9月、ヒトラー率いるドイツ軍は、ポーランドへ突如侵入を開始。これを受け、イギリス・フランスはドイツに対する宣戦を布告。ここに第二次世界大戦が勃発する」
真二 「・・・板書された文字をノートに写しながら、中学生の僕はひとり密かに興奮を覚えていた。全世界を相手に喧嘩をふっかけた人間が、現実に存在した。・・・その事実は僕の中のロマンチズムを刺激し、僕を虚無的な現実から、甘美な世界へといざなった」

    真二は本を閉じる。

    まもりを除いた三人は、元のように舞台の周りの方で適当な行動をとりながら歩き回る。

まもり「・・1998年、8月。」

    まもりの台詞と同時に、舞台の全面は「現在」に戻る。
    (=舞台の中央部も演技エリアに戻る)

耕平 「・・・このままじゃ、ほんとに洒落になんねー・・・お前もうあと一ヶ月で、取り返しのつかないことになるんだぞ!」

    耕平、退場。

由里 「・・・あたしね、あなたのそういうとこがキライなの・・・(押し詰めたような声のイメージで)大ッ嫌い・・・!」

    続いて由里、退場。

まもり「・・・1998年、8月。・・・太平洋・南極の二地点に、大質量隕石が落下。それに前後して、異常気象・天変地異が世界各地で発生。・・・半年後・・・地球上の人口は、約三分の一に激減する・・・」
真二 「・・・・・そうだよ、・・これが、最善の選択だったんだ」

    真二とまもり、退場。

ヒストリー・ダイアリー #2-1~2-3

2006年09月11日 00時23分28秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 戯曲「ヒストリー・ダイアリー」2回目です。
 それにしても、今改めて読み返すと……こっぱずかしーっ!……ざーとらしいんですよ。ところどころ目に付く。
 これほんとにブログに載せるの?!ねえっ、ねえっ!…って感じです(汗)
 早く終わらせて、新作掲載しましょう(それもあやしいが)(^^;
 ではどうぞぉ……



 SCINE.2-1 空の落とし物(一)


    先の公園の近くにある通り。またベンチがある。
    結城まもりが入場してくる。本を一冊かかえている。
    ベンチの近くまで来ると、辺りをキョロキョロと見回す。
    そうして、周りに誰もいないことを確認すると、
    持っていた本を開いて、ベンチの上にそっと置く。
    それから、両手を本の上にあて、念じるような姿勢をとると、
    ブツブツと、なにか呪文のようなものを唱え始める。

まもり「~~~~~・・・、よしっ、これでこの前を通った人は、コイツの存在に気を引かれるハズ。・・・お願いだから、誰かやさしい人ひろってあげてね。・・・・・(自分のセリフに笑って)なんか、犬っコロでもすてるようなセリフ・・・」

    まもりは再度本に手を当て、また念ずるようなポーズで目を閉じる。
    しばらくして、大きくため息を一つ。同時に目を開ける。

まもり「(引き締まった顔で)よしっ・・」

    まもり、ハケ口まで真っすぐに、退場。




 SCIENE.2-2 空の落とし物(二)


    まもりの退場と同時に、耕平と由里が入場してくる。

耕平「・・そんな落ち込むことじゃないだろ? しょうがないじゃん。今度はもっと金ためて探しにきなよ」
由里「そんなんじゃ遅いのっ! 今じゃなきゃ意味ないんだから。・・・またあいつにバカにされちゃう・・・」
耕平「アイツ? ・・・あぁっ、なるほどね。・・・やっとわかったよ、・・・まーたケンカしたんだ」
由里「ケンカじゃないっ! ・・・なんてゆーか、互いの価値観の衝突っていうのかな・・・」
耕平「どんな大そうな名前つけたって、ケンカはケンカだろ?」
由里「ちがいますっ! あのねー・・・」
耕平「あれっ? なんだこれ?」

    耕平は、まもりの残していった本を手にとる。
    その間、由里は「ぱくぱく」してる。

耕平「・・・こんなとこに、読みかけの本忘れてってら。誰だろ」
由里「・・・そんなもの、そこに置いときなさいよ。そのうち誰か取りにくるわよ」
耕平「そうなんだけどさ、なんか気になるな・・・」

    耕平は、開いてあった頁に目を通す。
    読み進めるに従い、その表情には少しずつ驚きの色が浮かんでくる。

由里「・・・どうしたの?」
耕平「・・・なんだこれ・・・。・・・この本、オレの事が書いてある」
由里「はぁっ? ・・・なによそれ?」
耕平「だってさ・・・」
由里「ちょっと見せて(耕平から本をひったくる)」
耕平「あっ! ふざけんな! 勝手に見るなよっ!」
由里「なに言ってんの、これ、あんたのじゃないでしょ?」
耕平「おいっ!」

    由里もその本に目を通す。耕平と同様にだんだんと驚いた表情になり、
    また、同時にだんだんと顔が赤くなってくる(役者は努力せよ(笑))。

由里「・・・ちょっと耕平、あんた今、これ読んだのッ?」
耕平「は? 読んだよ。悪いか?」
由里「あんた、今から記憶消しなさい。・・・頭出して! 私が死んでも忘れさせてあげる!」
耕平「なんだよ? なに言ってんだ!? お前、頭おかしくなったんじゃねーのッ?」
由里「・・・あ~~~んっ! この本なんなのよ~~っ! 何でこんな事書いてあるの? プライバシーの侵害だあ、訴えてやる~~っ!」
耕平「おまえ、一体どうしたんだよ!」
由里「・・・この本、私がもらっとくわ。こんなとこに置いといて、誰かに読まれたら大変だよ」
耕平「・・・・・?(自分の読んだ本の内容と、由里の言動との矛盾に気付いて首をかしげる)」
由里「ほらっ、耕平、行くよっ! 夕飯食べに行くんでしょ?」
耕平「あっ、お前それ、勝手に持ってっちゃうのか?」
由里「いいのよ、もうそんなこと気にしてらんないっ!」

    二人は退場。



 SCINE.2-3 ツートンカラーの丘


    入れかわりに、まもり入場。

まもり「・・・どうやら、持ってってくれたみたいだね。・・・・・ふぅ、・・・(誰かに話しかける)ねえ、これでいいんでしょ? 新しい持ち主、ちゃんと作ったよ? ・・・あたしのちからも、結構すてたもんじゃないよね。・・・・・さあこれで、あんたもあたしに頼って仕事を楽するのは終わりにしなさい。・・・もうあたしにとりついてる理由はなくなったんだし、早くあの二人のこと追いかけたら?」

    まもりは目をつぶり、見えないものが去っていくのを確かめる。

まもり「・・・行った・・・みたいだね・・・」

    まもりは続いて、客席の方にその視線を向ける。

まもり「・・この世の歴史の全てを記し続ける書物が、この世界のどこかに存在していました。その書物は、ある周期を迎える毎に、この星の誰かの手の上に落とされてきたのだそうです。・・・・・誰かがそれを手にし、そして、彼らは試されることになる・・・・・今行ってしまった彼・・・ケータが、私にそう伝えてくれました・・・」

ヒストリー・ダイアリー #1

2006年09月09日 01時48分24秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 はい今晩は、鉛筆ですーぅ。
 予告通り、今回から、今から10年前、僕が20歳のときに書いた戯曲、『ヒストリー・ダイアリー』を再発表します。
 これは、僕が大学2年の夏の学園祭のときに、(スタジオではなく)教室で上演したときの台本です。
 今読み返すと、内容薄いし、無駄が多いしで、最悪です(苦笑)。
 でも少しだけ、光るところもあります。そこを読み取って頂ければと。
 では少しの間、お付き合いください。「ヒストリー・ダイアリー」。



   『ヒストリー・ダイアリー』


  "HISTORY DIARY" 登場人物


    臼井耕平 ~KOHEI USUI~

    真芝由里 ~YURI MASHIBA~

    及川真二 ~SHINJI OIKAWA~

    結城まもり ~MAMORI YUKI~



 SCINE.1 はじまりは、その日の夕方


    時刻は夕方。臼井耕平・真芝由里の二人は、町の公園にたどり着く。
    二人は、一日中歩き回って、疲れている。
    由里は、疲れを見せまいと気丈に振る舞っている。
    一方の耕平は、少しうんざりした様子。
    由里はそこにあったベンチの表面を手で払い、ストンと座る。
    耕平も遅れて、由里とは少し離れたところにあるベンチに、ややかったるそうに座る。

耕平「・・なあ、もうあきらめようよ」
由里「(強く)イヤ」
耕平「・・・。・・・あー腹へった~~ッ! ・・・(由里に)腹へった」
由里「もうちょっとガマンしてよ。次行ったとこで、多分見つかると思うから」
耕平「んなワケねーだろーっ? 今日、朝から賃貸よんで、一日中不動産まわって、それでも見つからなかったんだぜ?」
由里「・・・」
耕平「・・だから最初言ったろ? 月三万じゃ無理だって・・」
由里「無理じゃないもん。絶対どこかにあります」
耕平「無理だって! そんなのあったら、オレが真っ先に引っ越してるよ」
由里「・・・わかんないじゃない。次行ったら、そこにすごい掘り出し物があるかも知れないよ?」
耕平「だからっ・・・(言いかけて口をつぐむ)」
由里「・・・」
耕平「・・仕方ない・・か、・・・じゃあ・・さあ、・・もう一軒だけ、まわってみるか?」
由里「・・・ゥン、・・・」

    耕平は、立ち上がろうと膝に手をかける。

由里「・・・もう一軒でいいよ。・・・それで、今日はあきらめる」
耕平「・・とーぜん(冷たい感じにはならないように)」
由里「・・・」

    二人とも、ベンチをそれぞれに立つ。

耕平「・・でも、あんま期待しない方がいいと思うよ」
由里「・・・なんで?」
耕平「だから・・・掘り出し物なんて、そうそうある訳ないんだからさ」
由里「あぁ、・・だいじょぶだよ、きっと」
耕平「自分の住む部屋だろー? ・・ったく・・・ほんと、毎度、いい性格してると思うよ」
由里「・・・(笑いながら)耕平わるいね、いっつもこんなんばっかりで」
耕平「ほんとな、・・・まあいつかまとめて・・・」

    ここで二人は退場。不動産屋めぐり、最後の一軒に向かう。