おっちーの鉛筆カミカミ

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『僕の、メキシコでの再生』(前編)

2006年04月24日 02時30分13秒 | メキシコ日記
メキシコ日記の連載も一通り終わり、メキシコの思い出最後を締めようということで、メキシコ国際路上演劇祭・「テアトロ・アビエル参加報告書」の中で書いた僕の文章を2回に渡り載せます。


『僕の、メキシコでの再生』

 およそ5年前の1月10日の夜、僕は、線路の上で、身体中の痛みに耐えていた。

 「突発性混乱状態」という名前の病気で、僕は、訳の分からないまま、フェンスを乗り越え、斜面を転げ落ち、京浜東北線の線路までフラフラと歩き、電車のライトと警笛を浴びて、その後の記憶が全くなくなっていた。
 それから、3ヶ月入院して、退院してから今まで、リハビリ生活を過ごしてきた。

 病気が発症してから4年が経った頃、ある大学の後輩から、自分が委員長として関わっている「路上演劇祭実行委員会」というものに参加してみないかと誘われた。
 僕は、まだ病気が治りきっていないこともあり、少し迷ったが(その後輩には、そんな迷いなどほとんど感じさせなかったと思うが)、外の刺激を受けるのは回復するのに大事な事だし、何より、後輩が元気に活躍しているのを見れば、いい励みになり、彼から元気を貰える……そう思い、話を承諾することにした。
 そうして、5月に行われた路上演劇祭JAPAN2005も終わり、再び、例の後輩から、11月、メキシコである国際路上演劇祭に、一緒に行ってみないかという誘いを受けた。5月の路上演劇祭で少しだけ役者をやり、調子に乗っていた僕は、即その誘いを快諾した。
 しかしまだ、僕の病気は完全に治っていたわけではなかった。だいぶ症状は良くなったが、薬のせいもあるのか、身体が何となくだるく、とにかく眠かった。
 でも今では、本当に、だいぶ良くなったと思う。
 とにかく、この、メキシコ路上演劇祭を、立派に演りきることができたんだから。

 僕は、この、メキシコ国際路上演劇祭で、フォーラム・シアターと、Cerro Huachipa(セロ・ウワチパ)という、二つのグループの芝居に出演した。
 フォーラム・シアターでは、嫁を家に縛り付けようとする姑、「おばあちゃん」の役を、Cerro Huachipaでは、二人の“漂流者達”が流れ着いた島に一本だけ生えている「木」の役を演じた。

 では最初に、フォーラム・シアターについて、書こう。
 ある問題を題材に演劇を創り、それを上演し、場を共有することで、その場にいる全ての人が参加して、その問題の解決法を模索しようとする演劇の手法を、フォーラムシアターという。
 今回は、そのフォーラムシアターを、無謀にも言葉の通じないメキシコの地において行ってしまった。
テーマは、「家庭内における、女性の自立」。主婦は家事のみに縛られるものなのか? 主婦が自立して家の外で仕事を持つこと……それは責められるべき事なのか?
 今回は、観客の大半がメキシコ人ということで、役者は、台詞の大部分を――本番も台本を見ながらではあるが――スペイン語で喋った。発音やアクセントを学び、芝居を成立させるためにはそれなりの苦労があった。
 本番は、マラソン(フェスティバルの始めに、全参加グループが順番に登場して出し物をやるもの)時の本会場ステージ下(ステージ上では客との距離が遠いので)と、地域の文化センター内広場――小さなステージがあり、その上で行った――での2回行った。(写真は2回目の時のもの)
1回目の時は、とにかくお客の反応が良かった。少しのネタで笑いが起こり、場が盛り上がる。終わってからの出演者たちの充実した笑顔が、とても印象に残っている。僕としても、大変満足感を覚えた。
 2回目の公演時は、公演中の反応は、1回目とは比べものにならない程無かった。少し残念だった。しかし、この回が「フォーラム」シアターの本当の本番である。ひと通り芝居を行った後、通訳を通しつつ、観客からの活発な意見が交わされた。また、観客が演技者になってアドリブで芝居を行うという、このシアター独特の光景も、何人かの参加者により、見ることができた。
観客が役者と入れ替わった場面では、姑になって、家事に追われる主人公の妻に協力したり、妻になって、会社の仕事しか目に入らない夫に、家事を分担するよう説得したり、やはり妻になって、母親に非協力的な娘に、家事を手伝うよう諭したりと、いくつかの解決法を提示してくれた。
 これにより、製作者・役者としては、大きな手応えを掴むことができた。

メキシコ日記ラスト~11/23(水)後半~

2006年04月18日 03時26分17秒 | メキシコ日記
(前回からの続き)

 博物館のお土産コーナーに寄った。ここも手提げ袋持込は不可ということで、和重さんに荷物を持ってお土産屋の外のベンチで待ってもらうことにした
 絵葉書、パンフレット本、アステカのカレンダーを買い、和重さんと交代しようと思ったら閉館時間になってしまった。もうお土産いらないといっていたけど、ごめんなさい、和重さん

 ホテルへの帰り道、これが大変だった
 ホテルへ電話しても携帯が繋がらず、駅からの道が分からない
 しかし、ホテルに近い(はず)の駅で降りたところで、紳士が現れ、電話を貸してくれた。ようやく電話が繋がり、ホテルまでの道を確認する
 また同時に摂さんの携帯に(確か)榎本さんから電話があり、こちらでも道を確認する
 そして、ホテルの2ブロック先で病院の医師をしているという紳士が道案内をしてくれて、ようやくホテルに到着
 紳士は「いつでも病院にいらしてください」という名(迷)言を残し、去っていった。茂子さん、摂さん、僕が死ぬほどお礼を言ったのは言うまでもない

 ホテルの部屋308号室に戻ると、今日のナウフラゴスの公演の上演会をやっていた。
 また、演劇祭に参加した中学生の女の子3人くらいがいて、皆の名前と住所とemailアドレスをメモしてもらいまわっていた。僕も全員にサインした。ちょっとスターにでもなった気分
 僕もペプシコーラと炭酸オレンジジュースを飲みながら、その雰囲気を楽しんでいた
 セロ公演のフィルム(部屋の壁にプロジェクターで映していた)が終わると、今度は烏山路上演劇祭のフィルムが流れる。さすが阿部さん、用意がいい
 体調を崩していたチェリーさんも元気にビールを飲んでいた
 そして誰がもってきたか知らんが、現地で買ったケーキを切る(後から知ったことだが、このケーキはコンスエロさんの誕生ケーキだったらしい)。ブドウやイチゴが丸々上に乗っている。ちょっとブドウの種が気になるが、美味い

 ただ気がかりだったのが、十川さんと和重さんと、tacaさんと福原が、誰もいないギジェルモ氏の家に帰ったことだった。
 誰もいないのでもちろん中には入れない
 行き場のないメキシコの街で、4人はどうしているのだろうか?

 上映会が一段落し、フォーラム&セロチームは、あの高足で神秘的な舞を披露してくれた女性・コンスエロさんの旦那さんのお兄さんの経営するカフェに行くことになった
 歩いて15~20分くらい。中に入ると、とても素敵な家の中をそのままカフェにしたような感じ。色々な絵や写真がいたる所に飾ってあってとてもお洒落。「ここに住みたい」と誰かが言っていた
 皆はセルベッサ(ビール)を、僕はコーヒーを頼む。他にもサラダやサンドウィッチを頼む。
 セルベッサを2、3本開けると2時近くになった。こーたさん、茂子さん、セサルさん、阿部さんは4時半にホテルを出てそのまま帰国するので、そろそろおいとま。

 そういえば、みゆきさんが風邪をひいてしまった。多分疲れが出たんだろうと思う。皆が頼りにして、頑張り過ぎです。でも、本当に感謝しています

 ホテルに帰ると、帰国組が順番にシャワーを浴び、僕がシャワーを浴びようとする前に出発の時間となった
 見送りの為、ロビーに降りる。茂子さんが僕もいることに驚いた
 タクシーがなかなか来ない(ギジェルモ氏が頼んだはずだが)ので、自分たちでタクシーを呼んでもらう。
 4人出発。「アスタプロント」手を振る。茂子さんとセサルさんが手を振り返してくれる。「アディオス」4人の男部屋は、僕だけの独り部屋になった

 シャワーを浴び、寝る。明日(今日)も早い

(了)

メキシコ日記~11/23(水)前半~

2006年04月15日 18時52分25秒 | メキシコ日記
 昨日は自分の出演がなくて気楽だったが、今日はセロ・ウワチパの公演がある
 朝食を済ませ、バスに乗る。この日の朝食はハムと目玉焼き。昨日と変えてみた。あとは昨日と同じ
 ギジェルモ氏のミュージアムに着くと、のぞみさんのシンポジウムが始まる。のぞみさんが日本語で喋ってみゆきさんがスペイン語に通訳するので、意味は解る。最後まで聴いていた。内容は写真を回したりして、浜松・烏山・ラテンアメリカでののぞみさんの活動の説明(たぶん)。
 次にロベルト氏のシンポジウム
 ちなみにセロの公演は1時からということで決定したらしい(それ以前は11時だと聞かされていて、絶対間に合わないじゃんと思っていた)。
 ロベルト氏のシンポジウムは全てスペイン語でもちろん通訳もなく、全く内容が解らなかったので、途中から入って、しかも中に入ってからも日記を書いていた。最後まで外で日記書いてれば良かったかな

 シンポが終了すると、昼食を食べる暇もなくセロの公演会場へ車で出発
 会場は病院の中の小学校(?)。観客も子供が中心
 風船(木の実)を膨らます練習をする暇もなく、開演
 反応をする場所や声の掛け方が一昨日とは全く違う。オープニングから、2人が島に着いた時点で歓声がわく。こんなのは初めての反応だ(と、こーたさんも言っていた)。
 魚をこーたさんが自分のだと主張する場面ではこーたさんにブーイング
 反応がとても素直
 終わったその場で子供たちの感想を聞く。その中に「木が好き」というのがあった。うれしうれし
 とりあえず公演は大成功最後の「イマジン」で花が出るところも決まったし。
 最後(3回目)の"ナウフラゴス"も終わり、今回の僕の滞在中の出番は全て終わった
 日本チームの他のメンバーも歩いて会場まで来て、ナウフラゴスを楽しんでくれた

 車でギジェルモ氏のミュージアムまで戻ると、茂子さん、摂さん、和重さん、tacaさん、福原が出掛けるところだったのでついて行った。今日の午後はフリータイム
 タクシーで近くの路面電車の駅まで向かう。普通のタクシーにいっぺんに6人乗車。これも日本でやったら捕まるな
 路面電車で数駅。ここでtacaさんと福原は別行動。茂子さん、摂さん、和重さん、僕とで博物館に向かう。
 路面電車からメトロに乗り換える。
 とある駅で降り、「地球の歩き方」の地図を見ながら博物館へと歩いて向かう。
 意外と距離ある。途中に作りかけの牛の像がいくつもあった。かなり派手な模様。それぞれにとても個性的な外観
 博物館に到着。この辺りは東京でいうと上野公園のようだと僕と茂子さんの意見が一致。
 中に入るとまず荷物検査。そして手提げのビニル袋を受付で預けないと入れないと言われる。
 茂子さんと摂さんは先に進み、和重さんが待っていてくれた(荷物を預けている間)。中にはまず原始時代の狩りの様子や、石器、頭の骨、メキシコの原住民の生活の様子などが紹介されている。
 それから、アステカ・ティオティワカンの石像、特に「太陽の石」と呼ばれる直径が人の3倍もあるような巨大な円盤型の石(彫刻?)が飾ってあり、これがすごかった。茂子さん、摂さんによると、前に立ったら「太陽の石」から発せられるオーラで体がゾゾーッとなったそうな。すごいパワーだと言っていた。僕は単純にこんなの作れるのはすごいなーくらいしか思わず、それほどパワーのようなものは感じなかったが。でもすごいものだとは思ったよ。
 他にも人の背丈の2~3倍ある石像がたくさん飾ってあった。

(続く)

メキシコ日記~11/22後半~

2006年04月11日 01時10分48秒 | メキシコ日記
 のぞみさんの公演開始
 僕は一般客に紛れようと奥の一番端の席に座った。そしたらJAPON勢の皆が僕と同じ列に並んで座り、日本人席になってしまった。なんだかなー
 のぞみさんの公演はとても面白かった。三階から客席に囲まれた舞台の中央に紙袋ともう1つ何か(忘れた)を放り投げ、それから1階の舞台に降りてくる
 最初は袋との絡み。袋の中に何かいるような感じで、怖々と袋の中を探る
 袋の中に手を入れる噛み付かれた?悲鳴をあげるのぞみさん
 次に、抵抗するものの、袋の中に頭を突っ込んでしまう。それで、客席の方に手を伸ばして近寄る。袋の中に顔を入れているので目の前は見えない。
 のぞみさんが客席に手を伸ばすと客が逃げる。笑いが起こる
 1人の女の子がのぞみさんに手を引かれ、舞台に上がる。
 女の子、のぞみさんのかぶっている袋を取ってしまうオーバーに驚いた顔を強調するのぞみさん(後から聞くと、この時はほんとに焦ったらしい)。「助けてくれてありがとう」そんな感じで女の子を抱きしめる。
 ほんとはもっと長いマイムのはずだったが、女の子が袋を取ってしまうアクシデントのお陰でこれで一幕終了。

 第2幕。
 今度は傍らのカバンから、折りたたまれた髪のシートを取り出す。
 この上がのぞみさんの唯一の安全地帯。その外には出られない
 シートの上に乗ったまま、器用に折りたたんだ紙を広げてゆくのぞみさん。座れない、立ったまま→広げる→座れる、横になれない→広げる→横になれる、手足を伸ばせない→広げる……という感じでのぞみさんの活動範囲は広がってゆく
 けれど全て広げても、観客との距離はまだある。
 紙の片方の裾を持ち、ジャンプしながらズリッ、ズリッ、と観客の方へ近付く。
 手を伸ばすと、1人の男性が誘いに乗って舞台の上にあがる。
 しかしすぐに男性は自分の席に戻される。
 今度はのぞみさん、紙の中にくるまる。そこから穴を開け、手足をニョキッと出す。
 舞台上を少しずつ動きながら助けを求めている。
 しばらくしてある瞬間、ある女の子がのぞみさんの手を握る。紙の中から助け出されるのぞみさん。紙を破って中から現れる。大・円・団
 のぞみさんが女の子を抱きしめ、お礼の気持ちを表現する
 2人でお客に礼をし、最後にお客の拍手に答えるのぞみさん。
 公演は大成功と言えた

 公演が終わってから、文化センターの入り口の所で、ハビエルさんというおじいさんが演劇祭中に撮った写真を売っていた。1枚10ペソ(100円)いい商売してまんなあ
 でも、すごくいい写真があったので何枚も買ってしまった。思い出思ひで。皆もおもいでたくさん買っているようでした

 帰りも車は超満員。更にのぞみさんが加わったので車内は更にキツイ確か大きめのバンに19人

 ギジェルモ氏のミュージアムに到着。夕食を食べる。確かギジェルモ氏のスピーチがあったと思った。

 この日はあと覚えていない。ホテルに帰って、シャワー浴びて寝たのか?特別な事件はなかったのか?全ては謎のままである

 日本に帰れなくなったtacaさんはホテルで一泊。明日はギジェルモ氏宅に

メキシコ日記~11/22(火)前半~

2006年04月08日 02時32分21秒 | メキシコ日記
 今日は朝8時に起きた。30分くらいTVを観たりボーとしてたりして、その後朝食に向かう。こーたさんはシャワーを浴びるので遅れて来る。
 メニューは昨日と同じ。でも不思議と飽きない。

 今日は阿部さんのまとめた路上演劇祭5年間のシンポジウムがある。今日は阿部さんの本番。頑張って
 阿部さんが日本語で原稿を読み、みゆきさんが通訳する。
 シンポは滞りなく終わる
 その後にセロのシンポもあったが、僕は外で待っていた。で、昨日書けなかった日記を書いていた
 本日のシンポは全て終了。しばらくして昼食の用意ができたらしいので、食べにミュージアムの中庭にあるテントの中へ。最近、メキシコでは濃い味付けの料理が多いので、冷や奴が食べたい。何かあっさりした食べ物ないかなー?
 その後、今日の朝日本に帰る予定だったtacaさんがミュージアムに現れた。飛行機のエンジントラブルで今日の便では飛び立てず、25日の飛行機で発つことになったらしい。今日はホテルで一泊。

 それからドイツの公演を観に車で移動。大き目のバンに20人弱乗る。日本でやったら絶対捕まるな(2度目だが)。
 ドイツ公演の会場に着く。多分高校。バスケットのコートが会場になるようだ。
 皆、昼食がまだだったので、近くにあったSUBWAYで食料調達。tacaさんの分も茂子さんが買う。チェリーさんがSUBWAYで飲み物を買えず、結局会場の高校の隣(?)にあった屋台みたいな店で僕らより安くジュースを買う

 ドイツの劇、始まる。最初に仮面をつけた女性が現れる。音楽と共に。不思議な動きで、周囲を歩く。手にぶら下げたバッグを置き、開いてその裏で仮面を付け替える。
 その他、羊の格好をした男の人が現れたり、女性と男性が追いかけっこをしたり、男性が女性に花を渡したり、両手両足に長靴を履いて手首を回転させたりして色々アレンジしながら動き回ったり、色々していたが、役者は2人で、正直何を言いたいのか、やりたいのかが解らなかった。夢がテーマだったと後から聞いたけど、それにしてももう少し構成に工夫というか、思い描いたままじゃなくて、客の目を意識した魅せ方があったんじゃないかと思った

 その後のぞみさんの公演を観に、のぞみさん・茂子さんのワークショップ、フォーラムの公演、が行われたのと同じ文化センターを訪れる
 開始まで大分時間があったので、センターの周りの街並みを見て回る
 小さなお店で、ミニッツメイドのレモン味を買う。不思議な味。なんか「作り物」っぽい味がした。たまたま会った福原に飲ませたら「不思議な味ですね。でも日本のどこかで味わったことがある」などと言っていた。
 続いて通りの駄菓子屋みたいな所で、メキシコ版チュッパチャップスみたいなものを買う
 舐めてみると予想外の味で、すっぱ辛かった。正直、かなり舐めるのがキツかった。メキシコの子供はこんなものが好きなのか? しかし、しばらく舐め続けると中心部分の甘い黄色い部分が、すっぱ辛い赤色の層の中から出てきた。それからはおいしく食べられた

(続く)

メキシコ日記~11/21(月)後半~

2006年04月07日 00時27分17秒 | メキシコ日記
 登場(開演直後)するための出ハケを作るため、舞台の奥にある部屋の入り口にカーテンを張る
 その暗幕の裏の部屋で、最後の台詞チェック。緊張感高まる。幕の裾から覗くと、用意されたイスは全て埋まっている。大入り。2階や3階のバルコニーから観ようとしている人もいる。

 開演。まず茂子さんが呼ばれ、舞台上へ登場。次に十川さん、僕、原田さんの順。
 客は結構おばさんが多い。子供連れ。おじさん、おばあさんもいる。
 昨日より客の反応は悪い。あまり笑ってくれない。
 けれどフォーラムの段階になると、結構活発に意見を出してくれる
 最初はおばあさんに代わって、きちんと自分の仕事(おじいさんの世話)は自分でやるべき、という意見が出された
 それから太郎さんが澄子に協力して家の仕事も共同でやる、澄子も仕事をして太郎と同じくらい稼いで、一緒に協力して生活を支えればいいという意見があり、また、レイコ(元"美穂")が家の手伝いを全部しなさいと澄子の役に代わってレイコに言い聞かせる女性が現れた。レイコ役の原田さんはかなり渋って、ごねていたが(デートとか行くしー、とか家事なんてやったことなーい、とか)強力な押しに、じゃあ、ちゃんとやり方を教えてくれればやる、というところで落ち着いた。いやー、見ごたえのある攻防だった
 なかなか盛り上がった
 幸いなことにおばあちゃんがアドリブでリアクションを返さなければならない場面は最後までやってこなかった。僕アドリブ下手なんだよね。良かった

 フォーラムの公演が終わり、再び車に乗り込むと、ギジェ氏のミュージアムの近く、小さな店の前で全員降ろされた
 名前は分からないけど、とあるおじいさん(三つ編みしてた)の書いた本の出版記念パーティーに僕たちも参加することになるらしい。テキーラの炭酸割が振舞われる。ノンアルコールの飲み物はないのか 乾杯(サルー)もコップを持たないまま行う
 ギターの生演奏に合わせて、その本の朗読を、少しずつ多人数で行う。日本勢ではセサルさんとみゆきさんが参加
 僕は自分でコップにコーラを注ぎ、ようやく飲む
 ワインが入っていて、腹を押すとチューと中身が細く出る水筒のようなものを回し飲みする。僕は本当は酒は飲めないのだが、回ってきたのでこりゃやらねばなるまいと結構飲んでしまった
 店が小さいので人があふれている。僕も中の様子が窓から見える位置の、店の外に十川さんと原田さんがいたので陣取った。ちまきのようなものを貰う。少し甘い。完食。十川さんのはしょっぱ辛いそうで、少しもらったらその通りだった。全部は食べられない
 中で誰かの誕生日を祝う歌が聞こえてきた。ハッピバースディの歌は世界共通なのだろうか? ここメキシコでも、日本と同じハッピバースディの歌だった

 車でホテルに帰ると、チョニー(セサル)さんの友達がロビーで待っていた。日本で一緒の外国人アパートに住んでいたことのある友人らしい。日本語達者
 こーたさんとセサルさんはその友達の車で遊びに出掛けたが、阿部さんは明日のシンポの用意などの仕事があるので行かないらしい。僕も眠いので行かない。
 その日はそのままシャワーも浴びず、こーたさんとチョニーさんの帰りも待たずに寝てしまった

メキシコ日記~11/21(月)前半~

2006年04月06日 01時45分27秒 | メキシコ日記
 今日は榎本さんと福原が、デジタルビデオカメラを朝の7時にホテルのロビーまでとりに来るというので早起きした
 そしたら2人とも7時になっても来ず、7時半になってやっと来た。寝坊したらしい。ホテルのフロントに遅れると連絡を入れて、フロントが部屋に電話してくれたらしいのだが、僕はその頃既にロビーで2人を待っていたので情報は入ってこない。まあ待つくらいいいんだけど
 2人にビデオを渡し部屋に戻ると、みんな起きていた。フロントからの電話で起こされて、そのまま皆起きてしまったらしい
 8時45分まで僕は寝ていて、みんなが朝食を食べに行くというので起きて1階のレストランまで朝食を食べに行く
 メニューは昨日と同じ、卵とベーコンの料理にパンとジャムとバターとパンに付けるソースとオレンジジュース、コーヒー、以上。明日もまた同じなのかな?

 10時にバスが来て乗り込む。
 ギジェルモ氏のミュージアムに着くと、すぐセロ・ウワチパの公演の準備を始める。本番は12時から
 ミュージアムから歩いてすぐの中学校の中にある劇場でセロの公演をするらしい。キャパは200~300ほど
 幕を閉め、公演開始の準備をする。昨日、ココナッツのみを膨らませる(「木」役・僕の数少ない演技のシーン)のが遅れたので、今日は事前に早めに準備をするつもり

 公演が始まる。客席は中学生でぎっしり超満員
 ネタが決まる決まる。客席から何度も笑いが起こる
 終わってから何人かの学生に舞台に上がってもらい、感想を聞く。内容は良く解らないが、好感触らしい
 雑誌の記者が、こーたさんとセサルさんにインタビュー。英語でやり取りをしているらしい
 その間に、僕と原田さんは後片付け。
 取材が終わり、最後に舞台をこーたさんとセサルさんとでたたむ。
 tacaさんによると、芝居の中にあった台詞・こーたさんの「国境!」が中学生の間で流行っていたらしい。いい感じ
 セロの公演は大成功に終わった。ただ本当は12時と13時の2回公演と聞いていたのが、もう下校時間なので1回でいいと言われた。下校時間なんて分かってるんだから、最初からそう伝わってきていても良さそうなもんだ。メヒコ!
 ミュージアムに帰って原田さんとヒストリーの公演を観に、携帯で原田さんが場所を聞きつつ、会場へと向かう。しかしいくら歩いてもヒストリーの会場の住所に辿り着けない
 結局ヒストリーは観れずじまいで、ミュージアムに帰ってくる。原田さんは「ごめんねー振り回しちゃって」と言っていたが、僕は完全に原田さんに頼りっきりだったので、原田さんに責任はない。全然大丈夫
 ミュージアムで用意してくれた昼食を食べる。パンと鶏肉とコーヒーと、後何か色々……(忘れた)。最初は外人さんの中で1人で食べていたが、後からヒストリーから帰ってきた日本勢がやって来る。僕は食べ終わったので、和重さんに席を譲る。
 その後、ミュージアムの中庭にフォーラムのメンバーが集まったので練習を始めた。本番は今日の18:00。
 中庭にいたこーたさんのアドバイスで芝居がちょっと変わる。テンポが良くなった感じ

 そして車で公演会場へ。茂子さんやのぞみさんがワークショップをやった文化センターの1階が会場。
 蛇足だが、移動の車の中でJAPONチーム15人+1人(tacaさん)が揃った。車は少し大きめのバン。中はギュウギュウ詰め。3人のイスに4人、2人のイスに3人、イスのないタイヤの上の部分にも座る(日本でやったら絶対怒られる)。
 会場に到着。開演30分前。急いで着替える。で、台詞の練習。ほとんどスペイン語なので、みゆきさんからもらったダメをもう一回確認する。こーたさんからのアドバイスも。

(続く)

メキシコ日記~11/20(日)後半~

2006年04月05日 02時49分53秒 | メキシコ日記
 セロの公演を終えて、十川さんと原田さんと一緒に、昼ご飯を食べに市場へ行った。例のギジェ氏のミュージアムの向かいにある市場である。
 屋台の一つに座り、注文をする。コンソメスープに、ご飯と野菜が少し入ったものとトルティージャが出てきた。結構ウマイ
 昼ご飯に行く前にフランス人の74歳・男性奇術師・フランソワさんが公演をやっていたのだが、昼ご飯を食べ終えて戻ってもまだやっていた。ほんとに元気なじいさんだ
 フランソワさんの公演は、観客の子供をうまく使ってほほえましいものにしていた

 次の公演がマラソン最後。高足に乗って、身体全体を紫色に塗った男女2人がやって来て、音楽に合わせてパフォーマンスをする
 最初、観客に高足に乗ったまま懐から出した何かの種みたいなものを一掴みずつ与える。
 なんか神聖な感じ。舞台(といっても客と同じ高さだけど)の中央に炎が燃えていて、女性は紐の先にボールが付いたものを両手に持ち、男性の方は長い棒の両端に油のような燃えるものを染み込ませた黒い物体がついているものを一本持っている。
 女性、男性、それぞれ持っているものを振り回したりしてもてあそぶ。もちろん舞台中を歩きながら。
 しばらくして、女性の方がボールに火をつける。そして振り回す。腰ミノに火が燃え移りそうで危ない危ない
 またしばらくして、女性の燃えているボールから男性の持っている棒の両端に火を移す。ここまでが引っ張る引っ張る。女の人のに火をつけるまでももったいぶるし、それから男の人の棒に火をつけるまでもすごい気を持たせる。
 でもその間も雰囲気でもっている。音楽と訓練された動きで魅せている

 話が前後するが、最後の公演になる前に少し間が開いた。その間、ピエロの格好をした司会者が間をもたせていた。スペイン語が解ればもっと楽しめたのになあ。でも解らなくても結構楽しめた。観客にリズムに合わせて拍手させたり、声を出させたり、観客を舞台に連れてきていじったり、面白かった

 そして演劇祭(マラソン)にもフィナーレが近付いてきた。日本を最初にして、参加した全ての国の人々が呼ばれる。そしてフィナーレ。

 終わってから、ミュージアムのテントの中で夕食会が開かれた。
 ギジェ氏の話の後、参加者が今日の感想を述べる。全部何言ってるんだかチンプンカンプンなのだが、一応拍手はする。
 日本勢は、みゆきさんが代表として感想を述べる

 ホテルに帰ってから、PM10時くらいにフォーラムチームとセロチームで酒盛り。トルティージャを頼む。飲み物は皆はビールだが、僕はペプシコーラ。最初「コカ」と頼んだら、肩のペプシマークを店員さんに見せられてしまった。ここはペプシコーラの店なのね。メキシコはどこもコカコーラばかりなんだと思っていた
 メキシコの食べ物は全部ウマイと感じるようになってきた

 ……で、今寝ようとしています。シャワーはホテルに帰ってからすぐ、こーたさんたちがソカロなどにメトロで遊びに行っている間に浴びてしまった
 そういえば、ギジェルモ氏と初対面のおばさんに、おばあさんの演技がとても良かったと言われた。うれしうれし

ごぶさたメキシコ日記~11/20(日)前半~

2006年04月04日 00時26分24秒 | メキシコ日記
 昨晩も日記書いてて寝るのが遅かったけど、今日の目覚めはスッキリ よく眠れた
 今日起きたのは8時。8時半に皆で朝食を食べようという約束だったので。
 でも8時過ぎに電話がかかってきて、その約束はなしにしましょうということになった。眠いのね。
 それでも8時半くらいに阿部さんと1階の食堂に朝食を食べに行った。よく分からないまま適当に注文して、出てきたのがコーヒーとパンと卵料理とパンにつけるらしきソース。ちょっと少ないかなと思ったけど、食べ終えたら結構お腹一杯になった。
 今、日本に帰り、この日記を書いている今、このホテルで毎朝出てきた食事がとても恋しい。また食べたいな。というか今食べたい。今から考えると美味しかったなと思う。
 1回9時くらいにもうバスが来て出発するらしいという情報が流れてきて、急いでジュースを飲み、コーヒーを残して出発の用意を整えた。しかし後から、もっとゆっくり朝食食べていいよ、待ってるから、みたいな事をバスの運転手さんが言っているという情報が再び流れた。メキシコに来てから振り回されっぱなしだ。(笑)
 結局10時くらいにバスが出発するということで、その前に阿部さんと近所を散策した。阿部さん、出店で手回しの8ミリカメラを買う。積極性にびっくり。
 戻ったら、もうバスが出発する直前で、焦って乗り込む。行き先はギジェ氏の事務所兼ミュージアム。近くに今日のマラソン演劇祭(出場グループが連続して次々と公演を行うもの)のステージがある。
 ミュージアムの中庭でフォーラムシアターの練習開始。みゆきさんの指導のお陰で、やっとスペイン語もサマになってきた
 演劇祭始まる。一番手は日本のヒストリー組。しかしフォーラム組にはそれを悠長に観ている余裕などなく、ミュージアムの中庭で練習練習。
 しばらくしてヒストリーが終わったらしく、皆が戻ってくる。そして十川さんがフォーラムの練習に加わる。
 それからいくらか練習して、こーたさんが今4番目ののぞみさんがやってるからそろそろだよ、と伝えてくれた(フォーラムは6番目)。
 若干緊張しながらステージに向かう
 司会者が、日本のフォーラムシアター組の紹介をする。
 みゆきさんがハイテンションで、もっと前に来て、こっち来て、とか言って客の配置を誘導し、フォーラムを始める為の体制を整える
 入場。みゆきさんが役者一人一人の説明と紹介をする。
 公演開始。なるべく大きな声で台詞を読んだ。受けを狙っているところで、観客から笑いが起こる。
 公演終了。みゆきさんが再び全員の紹介をする。それぞれがポーズをとり、再び客に笑いが。
 多分公演は成功。手応えアリ。終えたメンバーには笑顔が。

 しかしその次の次の順番は日本のセロ・ウワチパ。僕も出るのだ。
 柱の後ろで急いで着替える。木の格好はマスクをしていて目立つので、ステージの裏の方に隠れていたが、時々人が通って不思議な顔(もしくは面白そうな顔)して僕を見るので無視するわけにもいかず、困った。一応「オラ!」とか挨拶しておいた。
 セロ・ウワチパの公演開始。ネタが次々決まって客の反応はとてもいい感じ。ひとネタ飛ばしてしまったり、ラストのシーンが音楽でなくてカットになったり、色々アクシデントはあったが、観客は大満足な感じ。大成功
 tacaさんの話によると、日本勢の公演は、他の参加者と比べてもお客の反応は良かったそうな。

(続く)