おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
いろいろ活動してます
そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

ONE EYES(17)

2009年12月21日 00時37分21秒 | 小説『ONE EYES』

第五章 再会(二)


 バタム!

 と大きな音を立てて、ピコタン絵画教室の扉が閉められた。
 二人の男達は、将と30分ほどアトリエで話した後、教室を立ち去った。
 将さんに、何の用件だったのかしら?
 みどりは将とあの二人の男の関係が気になって仕方ない。
 あまり良い感じはしない、と女の勘が言っている。
 将さんに訊いてみればいいのか。
 しかし、その勇気が出ない。
 みどりは、教室で将と二人になると、なぜか言葉が出てこなくなる。
 それは将がアトリエにこもって出てこなくなることも大きな原因なのだが、その原因は、みどりの内面にもあった。
 水原将……
 みどりにとって、将は不思議な、他の誰にも代替できない存在であった。
 みどりにはよくわからないのだが、将には、絵の才能がケタ外れにあるらしい。教室の先生も、「将君には敵わない」と言ったことがあるほどだ。
 でも将は、性格的にははっきり言って変わり者だった。
 教室にいても、誰とも話さない事が何日も続いたかと思えば、何かの拍子に、たがが外れたように、興奮して一時間くらい喋くりまくることもある。
 みなの前で、脈絡のない感情の爆発をさせる事も幾度となくあった。
 だから、みどりも含めたピコタン絵画教室の生徒達は、将と距離をおいて接していた。
 「触らぬ神に崇りなし」的な空気が確かにあったと思う。

 しかし、みどりは勇気を出して、アトリエのドアをふすまを開いた。
「将さん……」
 消え入るような声で、将に話し掛ける。
 案の定、将の耳にその声は届いていないようだ。
 みどりに背を向けて、キャンバスと向き合って芸術と静かな格闘をしている。
「ねえ!」
 みどりが少しイライラして、少しだけ声を荒げた。すると、
「ん?」
 将はみどりの声掛けに気付いたようだった。みどりの方を振り向く。
「アッ……えーと……ね、さっき、男の人二人来てたよね」
「ああ、いたよ」
 焦って話しているみどりと対照的に、将の態度は冷静で、スキがない。
「将さんのお客さんだったの?」
「見てりゃわかるだろ?」
 少しイラつく将。その様子の変化を見てさらに慌てて、挙動不審になるみどり。
 将さんが相手だと、なんでこういう風になっちゃうんだろう。
「そうだけど、確認。だって、なんか感じ悪い人たちだったよ?」
「人を一目見ただけで判断するな」
「そうだけど……なんか大丈夫? 将さんの事が心配だよ」
「余計なお世話だ」
「そうだけど……」
 鼻の奥がツンとしてきた。目頭が熱くなる。
 あっ、泣きそうだ、私。
 こんなことで泣くもんか。
「もういいよ」
 みどりはそう言い残して、アトリエを出た。
 頭の中では、さっきの「紳士」男の声を聞いた時に感じた懐かしいような感覚と、ゴロツキ男への嫌悪感と、将があの二人と何を話していたのかという疑問がぐるぐる渦巻いていた。

 その時、

 ゴンゴン!

 教室の玄関のドアがノックされる音がした。
 たぶんこれは……
「こんにちは~」
「毎度~」
 修くんと慎平くんが来た。
 みどりの表情は、自然にパッと明るくなる。
 そのことを、本人は気付いていない。
 元気で明るい田中みどりちゃんが復活した。


   *  *  *


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ONE EYES(16)

2009年12月14日 00時59分28秒 | 小説『ONE EYES』

第5章 再会(1)


 空の上の雲は飽きもせず、雨を落としてくる。
 サーーー……と雨音のノイズが絶え間なく聞こえている。
 ラジオから流れているのは、耳に心地よいナンバー。
 田中みどりは窓を閉め、ラジオの正面にある椅子に腰を下ろした。
 すると音楽が止み、いつものやかましいDJが言葉を並べ立てる。
 あぁ、今いい感じだったのになあ。
 みどりはさっきまで流れていた音楽が、頭の中でこのDJのやかましい口調に押し流されるのを惜しんでいた。
 このラジオ番組の題名は、『サンライツ・セッティング』。
 DJの名前は、今井麻衣子。あくまで自称、ではあるが。
 今聴いているこれに関して、分かっていることはそれだけしかない。
 電波の周波数は、どのラジオ局にも当てはまらない。ミニFM放送局ってやつだろうか。
 謎だらけ、である。
 けれどみどりは、ピコタンにいる間はいつもこの放送を聴いている。
 その理由は、この番組で流れる、音楽の選曲が素晴らしいからである。
 時々、みどりが聞いたことのある曲も流すが、基本的にはあまり世間で知られていないナンバーが多い。
 それが、いちいちセンスのいい、素敵な曲ばかりなのである。
 だから、みどりはこの番組のファンになったのだ。
 ただし、曲と曲の合間、この今井麻衣子というDJのお喋りになると、はいはい、という気分になる。
 もっと頑張んなさい、というのか、保護者になった気分、というのか、迷いなく突っ走る今井麻衣子の暴走に、もし隣にこの子がいたら優しく諭してあげたい気持ちになるのである。
 しかし決してプロの仕事ではないが、この今井麻衣子の話を聞いていると、なぜか微笑ましい気分になってくる。
 これも「魅力」というものの一つの形かもしれない。
 そんな風に感じながら、みどりはこの放送を聴いていた。
 早く梅雨が終わるといいのにね。

 ピンポーン

 玄関のチャイムが鳴った。
 何かしら?
 みどりはぱたぱたと玄関に向かう。先生と愛奈さんは外に出掛けている。今、ピコタン絵画教室にいるのは、みどりと、アトリエにいる水原将だけである。
 みどりがドアのノブに手を掛ける前に、戸が開いた。

 ガチャッ

「失礼するぜい」
 中肉中背の、みどりと同じか、少し若いくらいの男が扉の隙間から顔を出した。
「はい、ご用件は?」
 男は柄の悪い、言ってしまえばゴロツキのような風貌であった。みどりは少しひるんだが、責任というものがある、毅然と対処する。
「こちらに水原君という男はいるかな?」
 そう言ったのはゴロツキ男ではなかった。どうやらその後にもうひとり男がいるらしい。落ち着いた感じの物言いで、少しみどりは緊張を解いた。
「水原将さんなら、奥にいますが、どんなご用件ですか?」
「いればいいんだよう!」
 ゴロツキ男が大きく扉を開けて、中にヅカヅカと入ってきた。
「ちょっとっ!」
「すまんな、失礼する」
 そう言いながら入ってきたもう一人の男は、かなり大柄である。体格もがっちりしている。
 フランケンみたい……
 みどりは瞬間的にそう思ったが、その男は、帽子とサングラスをしていて素顔がよく見えない。
「あのっ、困ります!」
「うるっせーなあ!」
 ゴロツキからは、あまり恐怖を感じなくなっていた。ただ嫌悪感だけがある。
「長居はしませんから、心配なさらずに」
 大柄な男の発する言葉は紳士である。
 それを聞いた瞬間、みどりの中でデジャヴのような、以前感じたことのある感覚が思い起こされた。
 いつの事だろう。思い出せない。記憶に霧がかかっているように、はっきりとしない。

 二人の男はドカドカと奥に進んでいき、そのまま将のいるアトリエに入ってしばらく出てこない。
 中から話す声が聞こえるが、内容までは聞き取れない。



   *  *  *



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決意の朝に

2009年12月13日 02時47分04秒 | 気づき
 今日は僕がSOHOのバイトでお世話になっているスペシャルカラーズという劇場の、スタッフ業務をこなしてきました。
 夜11時過ぎまでの仕事で、しかも電車が遅れて、そっから家に帰り風呂に入ったあとこの記事を書いているので、この時間の更新になっています。

 今日、少し生き方を変えるきっかけに出会いました。
 それはたぶん、今付き合っている彼女と無関係ではなく、というよりやっぱりむしろ、彼女と生きていく為に、僕は新しい生き方に気付いたんだと思います。

 僕は今まで、誰の目から見ても幸せに見えるような生き方を求めていたんじゃないかと思います。
 その例として、僕が真っ先に思い浮かべるのは、唐沢寿明・山口智子夫妻。
 あんな感じの誰も文句の付けどころのない、人生のひとつの形を、僕は目指してきたんじゃないかと思うのです。(まああのお二人には、なぜかお子さんがいなくて、そこだけがなんとも言いようのない不安感があるんですけれどもね)

 僕は、そういう生き方をすれば、周りにいい影響が出るんじゃないかと思ったんですよ。
 僕は昔っからそうだった。
 「特別」な存在になりたかったんです。
 幸せになるにしても、ただ幸せなだけじゃ納得できない。
 周りの人も巻き込んで、全員を幸せに出来るような生き方を、僕はしたかったんです。

 それは不遜な考えでしょう。
 ひとりの人間の身には余る思想ではないかと思います。
 それでも、そうなりたいと思いながら生きていれば、生き方のベクトルが、他の人たちにもいい影響を与えて、みんなで幸せになれるんじゃないかと、思ったわけなんです。

 そんな生き方にある種の自信を持ち始めていた時、僕に恋人ができました。
 彼女はいろんな悩みを抱えて生きています。
 そんな彼女を僕は幸せにしたい。
 今日彼女の好きなアクア・タイムズ(綴りがわからん~)の『決意の朝に』を帰りの電車で聴きながら、僕はずっと彼女のことを考えていました。
 彼女は今、体調が悪いらしい。
 それは、僕と遊び過ぎて疲れて、それでも彼女が自分のやらなきゃならない勉強もこなそうとして、無理が出て体調が悪くなったんじゃないかと、僕はとらえています。
 そうか、彼女は、僕と遊んで疲れるんだな、と。
 正直な話、僕も彼女と話すと疲れるし、そっから元の調子に戻るまでは少し努力が要ります。
 これは、僕たちの付き合い方に問題があるんじゃないかと思ったんです。
 もっと言うと、僕が、パートナー・恋人というものに対して持っている固定観念みたいなものが、僕達が付き合うときに、何かしらの影響を及ぼしているんじゃないかと思ったのです。

 だから僕は、その固定観念を捨てようと思いました。
 それはこれまで持ってきたポリシーを捨てる、と同義です。
 どっから見ても優良な付き合いは、もう要らん。
 もし誰かが僕らを見て、眉をひそめるようなことがあっても、僕らが幸せなら、健康なら、それがいいんです。

 僕は今までいろんな判断を、比較的ゆっくりとおこなってきました。
 それはいつも、いろんなバランスを考えて、最良の判断を行動に移したいと思っているからです。
 これからはもっと、それを反射的に行うようになるのではないかと思っています。
 そうすると、今までよりいろんなことができるでしょう。
 そして、今までよりも自己中心的な考えで、行動する事になるでしょう。
 それが、今日入ったスイッチの結果のひとつです。
 シフトした生き方の、答えの、ある一面です。
 そうすれば、彼女ともう一レベル、近付くんじゃないかな。
 そして、彼女が僕と一緒にいる時、気を使わなくて済むようになるんじゃないかな。
 だから僕はそのスイッチを今日押しました。自然に。いつの間にか。
 彼女の事を心底想ったから。

 いろんなことができるようになると、生活の回転が速くなります。
 すると、人間ですから、疲れます。
 そういう時は、いつだったか、ぎんなんさんが忠告してくださったことを思い起こします。
「疲れたら、休む」
 僕の中では、あの時のぎんなんさんのコメントは、こういった形で、心に刻み付いていますよ。
 休めば、また復活します。それもそれこそ、人間ですから。

 青臭い夢は消えていきますけど、もしかしたら、それは昔抱いていた夢と今の自分が同じものになっている、ということなのかもしれませんね。
 人間に成るって、そういうことなのかも。

 幸せって、見るもんじゃない、成るもんなんだ。


   *  *  *


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都緒king物語・第二シリーズ・第一話、編集作業完了!

2009年12月09日 21時40分49秒 | 『都緒king物語』関連
 こんばんは~
 おっちーです~。

 おっちーも、ただ毎日ヘロヘロとうつつを抜かしているばかりではありません。
 ここのところは、連日『都緒king物語』の編集作業を進めておりました。
 そして、本日、その編集作業が無事終了いたしましたー~~!!♪♪♪
 
 編集作業というのはどういうものなのかを説明いたしましょう。

 今回の都緒kingの音声収録は、いわゆる「ぶつ切り」だったんですね。
 つまり、あまり長い台詞だけの掛け合いがなく、台詞の間に、ナレーションや主人公のモノローグが入るので、それごとに一つ一つ切って録ったわけなんです。

 ということは、一つの物語作品として完成させるには、その録り終えたあとに出来たひとつひとつの素材を、時間軸に沿って、『間』をとりながら並べないといけないのです。

 これがやってみると、そんなに難しくはないんですが、意外と手間の掛かる作業なんです。

 まあとにかくそれが今日、終わったわけです。
 めでたいな、と。

 あと残っている作業は何か。
 というと、
①Just4Uさんが作ってくださった音楽を、物語中のどこでどのように流すかを決める。
②挿入歌を作曲する。
③歌録り(主題歌と挿入歌の2曲)。
④写真の選出・物語中での切り替えのコンテを作る。

 以上ができたら、Just4Uさんにバトンタッチとなるのかな。
 まあその後の作業も、僕は見守らねばならぬ立場なわけなんですが。

 以上、『都緒king物語』進捗状況の報告、でありました!

 ではでは~。


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最近のおっちー091203

2009年12月03日 00時06分09秒 | 日々つれづれ
 おはこんばんちわ~
 おっちーですー

 全然更新してないんですが、訪れてくださる方は毎日のように覗きに来てくださっているようで、申し訳なく、大変恐縮に感じ、今晩も遅く、明日も早いのですがなんとか更新し、何か書いてみようと、こうPCに向かっておるわけであります。

 今日もでーとでした。
 明日も会います。
 なんだかいちゃいちゃしています。
 ただのバカップルにはなるまいと、自らを戒めようと思っています。
 明日は一緒にそれぞれの頑張らにゃならない分野を、せっかくだから一緒にやろうという話になり、僕は求職活動を彼女に見学してもらいながらし、彼女はプレゼンの授業の資料作りの取材を、僕同伴ですることにしました。
 ただし、明日の天気は雨の予報。
 神様のばっきゃろー!!!
 でも、何とかするもん。……グッスン。

 さて、都緒kingですが、編集半分以上終わりました!
 もうコツを掴んだので、完成は時間の問題かと。
 あとは主題歌・挿入歌を作って、音響プラン組んで、Just4Uさんへバトンタッチです。
 実は、主題歌は、というか主題歌まで、彼女と作ろうかと思ってたりします。彼女も音楽をやるので。
 僕ひとりで作るよりいいだろうと。
 歌詞はもう出来ています。
 それに曲をつけるだけ。
 歌を作ったら、今回もやっぱり、Just4Uさんに編曲してもらおうかなあ、なんて考えています。
 これはまだJust4Uさんにもお話してないことなのですが。
 やっぱりJust4Uさんの編曲はかっちょいいので。
 3人の共同作業で、1曲の歌を作る、ということで。
 素敵なことなんじゃないかなあと。
 いろいろ夢はふくらみます。
 ちなみに今回の歌は、スペシャルゲストシンガーに歌っていただく事になっております。
 お楽しみに。

 とにかく、楽しくやっていきたいと思っています。
 そのために、頑張ります。

 ではでは。また。近いうちに。