おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
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そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #04

2011年06月26日 22時30分25秒 | SUKYSH CLOUD
♯04 ファーネスの村・キロの家

 家の前に立つキロ
 大きく息を吸う、吐く
 決意を込めて、家の扉を開ける

キロ「おじいちゃん、ただいま」

 家の中に入るキロ

グリム「………」
キロ「おじいちゃん」

 グリムの部屋に入るキロ
 グリムは(客席に対して)背を向け、椅子に座っている

キロ「おじいちゃんごめんね。
   ゴウリの実、探しに行ったけど採れなかった
   アイグラントの奴らの警備が厳しくってさ
   でも大丈夫、夜行けばきっと手に入る
   いつも夜中に行けば、アイツラも寝てるみたいでさ
   なんとか採れるんだ
   だから安心してね」
グリム「(微かな声で)キ……ロ」
キロ「ん? なーに、おじいちゃん?」
グリム「儂に……構うな」
キロ「なに言ってるの」
グリム「放っ……て……」
キロ「そんなこと出来るわけないじゃない」
グリム「キ……」
キロ「もうそんなこと言わないでね」
グリム「儂の……気持ち……」
キロ「あっ、今度教えてよ、写真の撮り方」

 キロは傍らに置いてある写真機を手に取ろうとする

グリム「触るな!!」

 キロは驚いて手を引っ込める

キロ「ごめんなさい
   ごめんね……私は、おじいちゃんに元気になって欲しいんだあ
   それだけなんだよ
   ごめんね」
グリム「キロ……」

 グリムはキロを手招きする

キロ「なあに」

 キロはグリムに近付き、するとグリムはキロの頭を撫でてやった

キロ「ありがとうおじいちゃん」

 キロはグリムの手に触れ、

キロ「もう休もうか
   疲れたでしょう?
   私も夜まで少し休むことにするよ」

 頷くグリム

キロ「じゃあね、おじいちゃん」

 キロ、部屋から去る

【場転・照明変化】

 グリムは『介助者』の手を借り、去る

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #03

2011年06月24日 23時17分21秒 | SUKYSH CLOUD
♯03 セノンの村・酒場


【SE 酒場】

 ライタ、ボイスカ、バルシアが入場

ボイスカ「3人分、席あるかね」
ライタ「腹減った~。肉と炭水化物食わしてくれ~」
バルシア「ライタ君、今日は一杯食べなさい」
ライタ「あと酒が飲みたい」

 ボイスカはライタをド突く
【SE ド突き】

ライタ「痛い(泣き)」
ボイスカ「馬鹿もん、あと3年待てい」
ライタ「酒場で酒が飲めない」
バルシア「フリーエイジビールでも飲んだら?」
ライタ「んなもんじゃ騙されないぞー」
ボイスカ「ライタ、こっちじゃ」
ライタ「はーいー」

 ボイスカは席に導く
 店員に、

ボイスカ「あ、すまんが料理適当に運んでくれ」
ライタ「肉ください、ニク!!!」
バルシア「ライタ君、落ち着いて」
ライタ「こうなったら俺は、食欲を満たす道に走ります!
    バルシアさん見守っていてください」
バルシア「わかった」
ボイスカ「わかったのか」

 席について食事が運ばれてくるのを待つ3人

ライタ「まっだか、まっだか、にっくまっだか。まっだか、まっだか……」
ボイスカ「うるさいわ」
バルシア「ライタ君、もう落ち着いて」
ライタ「はーい。
    まだかなまだかな~、に~く~はまだかな~……」
ボイスカ「やかましい」
バルシア「ライタさん」

 そこに、ほかのテーブルの客の話し声が聞こえてくる
 その内容に耳を奪われるライタ

ボイスカ「ライタどうした」
バルシア「いい加減放っておきません?」
ライタ「師匠、バルシアさん、静かに」
ボイスカ「お前がいちばん騒がしいんじゃろうてば」
ライタ「師匠、黙って」
ボイスカ「はいはい」

 会話に聞き耳を立てるライタ

ライタ「ここから北の街道を通って半日の距離にある村に?
    太陽の降る村がある???……って?」
バルシア「意味がわからないわ」

 ライタは立ち上がる

バルシア「ライタ君?」
ライタ「(客に)今の話は本当なのか?
    俺の名前はライタ。
    今の、太陽が降るっていう……
    どういう事だ? 本当に降るのか?
    それは確かなのか?
    ……わかった。ありがとう。邪魔したな」

 ライタ、席に戻ってくる

ライタ「師匠、バルシアさん、これから北に向かいましょう」
ボイスカ「なんじゃ藪から棒に?」
バルシア「どうしたの、ライタ君? ちゃんと話を聞かせて」
ライタ「俺の、この旅の目的に関係するかも知れないんです」
ボイスカ「………」
バルシア「旅の目的って、なーに?」
ボイスカ「お前の目的は、ルルゥを探す事だったはず」
ライタ「もちろんそうですけど、もう一つあるんです」
バルシア「なーに、それ?」
ライタ「まだ、話せません」
ボイスカ「例の『秘密』ってやつか」
ライタ「はい」
バルシア「いつ話してくれるの?」
ライタ「わからない」
ボイスカ「まあそれはよいわ
      しかし北に向かうとなると……
      ライタ、ルプーナの神殿で受けた啓示を憶えているか?」
ライタ「はい、『東へ進め!』です」
ボイスカ「そう。今北へ向かえば、啓示に逆らう事になる」
ライタ「………」

 少しの沈黙
【SE 酒場の喧騒】

バルシア「でも、大丈夫ですよ
      ライタ君が今、北へ向かおうとするのも、
      何かの啓示かも知れませんよ」
ボイスカ「都合のいい解釈じゃ」
バルシア「本当なんですよ
      ライタ君がこの酒場で噂話を聞いたのも、
      何かの導きかも知れません」
ボイスカ「ほんに都合のいい雌聖竜じゃ」
ライタ「そうか、
    そう考えると、北の村に行くのも間違ってないように思えてくる」
ボイスカ「単純じゃの」
バルシア「いいじゃないですか、それもライタ君のいいところでしょう?」
ライタ「はい!」
ボイスカ「あちゃー」
ライタ「それじゃあ、
    これから北の村に向かうってコトに、誰も異存はないってことで」
ボイスカ「ワシは少しあるがの」
バルシア「いいじゃありませんか、
      フィンドゥーマの神の導きを信じましょう」

 ボイスカは溜め息

ボイスカ「ワシも頑固さが抜けたかのう」

 そこに料理が運ばれてくる

ライタ「おっ!」
ボイスカ「ようやくきたか」
バルシア「美味しそう」
ライタ「肉肉!! 愛しの炭水化物~~~!!!」
バルシア「ライタさん、ゆっくり食べましょうね」
ボイスカ「いただくとするかの」
バルシア「いただきます」
ライタ「いっただっきまーす!!」

【場転(照明変化)】

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #02

2011年06月23日 02時50分44秒 | 日々つれづれ
♯02 ファーネスの村・神木①

【M 木のざわめき、小鳥のさえずり】

【明転】

 キロが、村にある「神木(ルーン・ツリー)」の元に立つ

キロ「伝えたいことは何、ルーン・ツリー?
   だから私はこの村を出ることはできないの
   わかって
   明日、私が出逢うことになるのは、どんな人達なのかしら
   楽しみ」

 キロは自嘲して笑う

キロ「そんなの嘘ね
   私は怖い
   明日が怖い
   新しいものが怖いの
   ずっと変わらないままがいい
   今のままがずっと続けばいい
   本気でそう思ってるわ
   だからルーン・ツリー、新しい出来事を、私に与えないで
   お願い
   今日と同じ明日が、ずっと続けば、いいんだ」

 再び自嘲的な笑みを浮かべ、

キロ「行かなきゃ
   おじいちゃんが呼んでる」

 キロ、退場

【場転(照明変化)】

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #01

2011年06月22日 21時50分44秒 | SUKYSH CLOUD
#01 オープニング

【M 世界の終わり『世界平和』】

旅の道中の、ライタ・ボイスカ・バルシアの一行
何か話しながら歩いている
次に目指すは、どこの町か

     *

グリム(おじいちゃん)の看病をするキロ
ゴウリの実を煎じた薬を与えている
グリムの命を繋ぐ大切な役目

     *

教会の祈りの間
神に祈るコバルト
祈りを止め、何かを考え始める
そこに佇む

     *

ある瞬間、全ての人々の頭上から太陽が降ってくる

     *

ビストローヌ・ドウルフ・カラアームに応戦する、
ライタ・ボイスカ・バルシア、そしてキロ
肉弾戦かと思いきや、魔法も飛び交う
ライタたちが優勢に戦いを進めていたが、コバルトがそこに参戦
コバルトは精神を侵食する魔法を遣う
苦しみ出すライタ達4名
そして、バルシアがその鎖を断ち切った瞬間

【暗転】

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #00

2011年06月21日 22時01分37秒 | SUKYSH CLOUD
<登場人物>

ライタ…この物語の主人公。
     身に付けた武術のレベルが非常に高いこと以外は、
     ごく「普通」の若者に見える。
     拳の強さとスピードに関しては誰にも負けない。
     行方不明になっている幼なじみの「ルルゥ」を探し求め、
     旅を始めた。
     若さからくる言動の浅はかさを、
     ボイスカにしょっちゅう指摘される(ツッコミ?)。

ボイスカ…ライタの育ての親であり、武術の師匠でもある。
       この世界で敵うものは殆どいないほど、強い格闘家。
       その見識は、とても広く、とてつもなく深い。
       ライタの事が心配で、旅に無理やり同行している。

バルシア…ルプーナの神殿の司祭だったが、
       神託を受け、二人の旅に同行することになる。
       人間の姿をしているがそれは仮の姿で、
       本来は聖竜(セント・ドラゴン)である。
       おっそろしく強いが、
       肝心ではないところで、おっそろしい(天然)ボケをかます。
       女性(メス?)。

キロ…ファーネスの村に住む娘。
    彼女の祖父「グリム」の世話をする毎日。
    「植物を操る魔法(グリン・ルーン)」を遣う。
    「ライタたちと一緒に旅に出なさい」
    という神木の言葉と、村に残ってグリムの世話をしなければ
    彼が植物になってしまうという状況の狭間で、深く思い悩む。
    男性が苦手。

グリム…キロの祖父。
     「緑至病」と呼ばれる病気に侵されている。
     緑至病というのは、何もしないで放っておけば、
     動く事も話す事もできなくなってしまい、
     最後には植物そのものになってしまう病気である。
     若い頃は、写真を撮ることを生業にしていた。
     しかし、今は写真機を手で持つことすら、ままならない。
     激しい感情のこもった言葉を嫌う。

コバルト…ファーネスの村にある教会に務める、牧師の息子。
       物語の序盤で赤苦鬼(せっくき)と契りを交わし、
       大きな力を得る。
       アイグラント帝国の軍人、ビストローヌとドウルフ、
       カラアームを憎んでいる。
       キロに想いを寄せている?

ビストローヌ…アイグラント帝国の軍人。
         女性。
         ゴウリの実を占有する為、ファーネスの村に派遣された。
         普段は村の教会に拠点を置く。
         ドウルフの上司であるらしい。
         自分の与えられた任務を忠実に執り行う。
         自分にも、他者にも、非常に厳しい人である。

ドウルフ…とても戦闘能力の高い軍人。
       しかし、その思考回路は非常に幼い。
       男性。
       短絡的に闘い、感情の赴くままに破壊する。
       その心は、悲しみに支配されている。
       ビストローヌとドウルフの二人は、
       なにか深い悲しみを背負っているように見える。

カラアーム…アイグラント帝国の軍人。
        おかま。
        結構強い。
        奇怪な拳法と炎の魔法を使う。