【七、アイグラント帝国軍の登場】
キロ入場
ゴウリの実を拾い集めている
周囲に気を配りながら
アイグラントの気配に恐れを抱きながら
キロ 「今日は、何事もなく集められるかしら
ゴウリの実……おじいちゃんの薬、今日の分だけでも」
キロ、何かの気配に感付く
近くに立っている木の後ろに、身体を隠す
ビストローヌ、ドウルフ入場
ビスト「いつものお嬢ちゃん、今日はいないようだねえ
手間が省けて、楽だよ
いつも、こうあって欲しいもんだね
なあ、ドウルフよ」
ドウルフ、駆け出す
キロ、ドウルフが突然近付いてきたので、その場から逃げようとする
ドウルフは、キロの気配に気付いた訳でもなんでもなかった
しかし、その結果……
ビスト「そこに誰かいるね!
いつもの嬢ちゃんかい?
いい加減に、我々の手を煩わすのはやめて貰えないかね!」
ドウルフ、キロに飛び付く(じゃれ付こうとする)
キロ、小さく悲鳴を上げてそれを振り払い、体を二人から遠ざける
キロ 「煩わすって……
この村を勝手に占拠したのは、あんた達じゃないか!
この村は私達のものだ
あんた達アイグラントの連中に、どうこう言われる筋合いは全くないわ!」
ビスト「その手に持っているものは、何だ?」
キロ 「訊かなくても分かっているだろう……
ゴウリの実だよ!」
ビスト「それがいけないねえ!
『このファーネスの村で収穫されるゴウリの実は、
全てアイグラント帝国のものとなる』
そういう契約を、この村と交わした!」
キロ 「そんな契約、認めるもんか!
村人の命を楯に、強引に結んだ契約じゃないか!」
ビスト「契約は契約なんだよ、お嬢ちゃん……
とにかくその手に持つゴウリの実を、全て引き渡しなさい!
お前に対して、それ以上の拘束をするつもりはない
簡単な話じゃないか」
キロ 「このゴウリの実で、命を繋いでいる人がいるんだ……
見逃して、くださいよ……」
ビスト「私も遊びでやってるんじゃないんでね……
この村でしか採れない、ゴウリの実を独占する……それが私の仕事なんでね
悪いが!
ドウルフ!」
ドウルフ、キロとの距離を詰める
キロ 「じゃあ、勝負しろ!
私が負けたら、今日は大人しく家に帰る!」
ビスト「随分大きく出たね
私とこみたく勝負をするつもりか!
アイグラント帝国軍の中でも、こみたくで私の右に出る者は、ほんの一握りだ
こんな片田舎の娘に、私が負ける訳がないけどねえ」
キロ 「うるさい!
やってみなきゃわかるもんか!」
男審判員、入場
男審判「こーみたーくしょーうぶ!
始まりそうですね、こみたく勝負
ダブルユーちゃんは今ちょっとお休みなので、
この勝負は、わたくしエムエーさんが引き受けますぞー
では早速、始めのワードをどうぞ!」
キロ 「………どうぞ」
ビスト「いい心掛けだ
そうだな……
お前はどうしてゴウリの実を必要とするのだ?
一度訊いてみたいと思っていた」
男審判「始めのワードで、相手に質問するのはルール違反ですぞー!」
キロ 「大丈夫!
始めのワードは、それで」
男審判「特別ルール適用!
対戦者の同意が得られれば、質問で始めるのを許しますぞ」
ビスト「じゃあ開始だ
なぜ、お前は毎晩ゴウリの実を集める?」
男審判「こみたくぅースタートォーッ!」
男審判だけ、若干浮いた空気
キロ 「おじいちゃんの薬を作るの」
ビスト「お前の祖父は、病気なのだな」
キロ 「ええ。緑至病という病気」
ビスト「その病気の名前は聞いたことがある
確か、罹ると次第に言葉を失い、動く事が出来なくなり、
最後には一本の木になってしまう病気だ
治す薬は存在しない、と聞いている」
キロ 「この村には、その薬があるの」
ビスト「!
なるほど、ゴウリの実が、薬になるのか」
男審判「こちらの攻撃的投げ掛けを、こちらはあっさりとかわした!
やはり軽いジャブ程度では、KOは不可能なのかぁ!」
キロ 「ゴウリの実が、おじいちゃんの緑至病の進行を止める、唯一の希望なの!
緑至病の薬は、ゴウリの実からしか作れないのよ!」
ビスト「その薬は、治せるのか?」
キロ 「えっ?
病気を……あっ
ゴウリの実から作れる薬でも、緑至病の進行を止める事しか出来ない」
男審判「ふう!」
及川、入場
対戦の様子を隠れて見ている
ビスト「治せないのなら、放っておく方が良い」
キロ 「どういう!ハッ!
今は治せなくても、いつか治るかも知れない!」
男審判「おーう」
ビスト「それは自分勝手な希望だ
お前の祖父は、その状態を望んでいないかも知れない」
キロ 「えっ
そんなことはない!」
男審判「ハイ三回ルール適用です!
三度言葉に詰まった
あなたの負け
あなたの勝利~!」
うなだれるキロ
ビスト「まあ当然だ」
男審判「こみたく審判員エムエーさんでしたー
またの登場を、お楽しみに~」
男審判員、退場
キロ 「ちきしょう
ちきしょうちきしょうちきしょう!
お前こそルール違反じゃないか
何でそんな心無い事が言えるんだ
勝負に勝つ為とはいえ、そんな酷い言葉、私には言えない」
ビスト「私は本当にそう思っているぞ
テクニックだけでこみたくは勝てない
単にお前が未熟だったのだ
さあ、ゴウリの実を置いて家に帰れ」
キロ 「お前らそれでも人間か!」
ビスト「負け犬の声にしか聞こえないな
勝負に負けた者は、勝った者の意思に従え
それがこの世の絶対的ルールだ」
キロ 「………」
キロ入場
ゴウリの実を拾い集めている
周囲に気を配りながら
アイグラントの気配に恐れを抱きながら
キロ 「今日は、何事もなく集められるかしら
ゴウリの実……おじいちゃんの薬、今日の分だけでも」
キロ、何かの気配に感付く
近くに立っている木の後ろに、身体を隠す
ビストローヌ、ドウルフ入場
ビスト「いつものお嬢ちゃん、今日はいないようだねえ
手間が省けて、楽だよ
いつも、こうあって欲しいもんだね
なあ、ドウルフよ」
ドウルフ、駆け出す
キロ、ドウルフが突然近付いてきたので、その場から逃げようとする
ドウルフは、キロの気配に気付いた訳でもなんでもなかった
しかし、その結果……
ビスト「そこに誰かいるね!
いつもの嬢ちゃんかい?
いい加減に、我々の手を煩わすのはやめて貰えないかね!」
ドウルフ、キロに飛び付く(じゃれ付こうとする)
キロ、小さく悲鳴を上げてそれを振り払い、体を二人から遠ざける
キロ 「煩わすって……
この村を勝手に占拠したのは、あんた達じゃないか!
この村は私達のものだ
あんた達アイグラントの連中に、どうこう言われる筋合いは全くないわ!」
ビスト「その手に持っているものは、何だ?」
キロ 「訊かなくても分かっているだろう……
ゴウリの実だよ!」
ビスト「それがいけないねえ!
『このファーネスの村で収穫されるゴウリの実は、
全てアイグラント帝国のものとなる』
そういう契約を、この村と交わした!」
キロ 「そんな契約、認めるもんか!
村人の命を楯に、強引に結んだ契約じゃないか!」
ビスト「契約は契約なんだよ、お嬢ちゃん……
とにかくその手に持つゴウリの実を、全て引き渡しなさい!
お前に対して、それ以上の拘束をするつもりはない
簡単な話じゃないか」
キロ 「このゴウリの実で、命を繋いでいる人がいるんだ……
見逃して、くださいよ……」
ビスト「私も遊びでやってるんじゃないんでね……
この村でしか採れない、ゴウリの実を独占する……それが私の仕事なんでね
悪いが!
ドウルフ!」
ドウルフ、キロとの距離を詰める
キロ 「じゃあ、勝負しろ!
私が負けたら、今日は大人しく家に帰る!」
ビスト「随分大きく出たね
私とこみたく勝負をするつもりか!
アイグラント帝国軍の中でも、こみたくで私の右に出る者は、ほんの一握りだ
こんな片田舎の娘に、私が負ける訳がないけどねえ」
キロ 「うるさい!
やってみなきゃわかるもんか!」
男審判員、入場
男審判「こーみたーくしょーうぶ!
始まりそうですね、こみたく勝負
ダブルユーちゃんは今ちょっとお休みなので、
この勝負は、わたくしエムエーさんが引き受けますぞー
では早速、始めのワードをどうぞ!」
キロ 「………どうぞ」
ビスト「いい心掛けだ
そうだな……
お前はどうしてゴウリの実を必要とするのだ?
一度訊いてみたいと思っていた」
男審判「始めのワードで、相手に質問するのはルール違反ですぞー!」
キロ 「大丈夫!
始めのワードは、それで」
男審判「特別ルール適用!
対戦者の同意が得られれば、質問で始めるのを許しますぞ」
ビスト「じゃあ開始だ
なぜ、お前は毎晩ゴウリの実を集める?」
男審判「こみたくぅースタートォーッ!」
男審判だけ、若干浮いた空気
キロ 「おじいちゃんの薬を作るの」
ビスト「お前の祖父は、病気なのだな」
キロ 「ええ。緑至病という病気」
ビスト「その病気の名前は聞いたことがある
確か、罹ると次第に言葉を失い、動く事が出来なくなり、
最後には一本の木になってしまう病気だ
治す薬は存在しない、と聞いている」
キロ 「この村には、その薬があるの」
ビスト「!
なるほど、ゴウリの実が、薬になるのか」
男審判「こちらの攻撃的投げ掛けを、こちらはあっさりとかわした!
やはり軽いジャブ程度では、KOは不可能なのかぁ!」
キロ 「ゴウリの実が、おじいちゃんの緑至病の進行を止める、唯一の希望なの!
緑至病の薬は、ゴウリの実からしか作れないのよ!」
ビスト「その薬は、治せるのか?」
キロ 「えっ?
病気を……あっ
ゴウリの実から作れる薬でも、緑至病の進行を止める事しか出来ない」
男審判「ふう!」
及川、入場
対戦の様子を隠れて見ている
ビスト「治せないのなら、放っておく方が良い」
キロ 「どういう!ハッ!
今は治せなくても、いつか治るかも知れない!」
男審判「おーう」
ビスト「それは自分勝手な希望だ
お前の祖父は、その状態を望んでいないかも知れない」
キロ 「えっ
そんなことはない!」
男審判「ハイ三回ルール適用です!
三度言葉に詰まった
あなたの負け
あなたの勝利~!」
うなだれるキロ
ビスト「まあ当然だ」
男審判「こみたく審判員エムエーさんでしたー
またの登場を、お楽しみに~」
男審判員、退場
キロ 「ちきしょう
ちきしょうちきしょうちきしょう!
お前こそルール違反じゃないか
何でそんな心無い事が言えるんだ
勝負に勝つ為とはいえ、そんな酷い言葉、私には言えない」
ビスト「私は本当にそう思っているぞ
テクニックだけでこみたくは勝てない
単にお前が未熟だったのだ
さあ、ゴウリの実を置いて家に帰れ」
キロ 「お前らそれでも人間か!」
ビスト「負け犬の声にしか聞こえないな
勝負に負けた者は、勝った者の意思に従え
それがこの世の絶対的ルールだ」
キロ 「………」