おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
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そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

こみたく!【七】

2015年11月24日 20時41分15秒 | 戯曲・つれづれ
【七、アイグラント帝国軍の登場】

キロ入場
ゴウリの実を拾い集めている
周囲に気を配りながら
アイグラントの気配に恐れを抱きながら

キロ 「今日は、何事もなく集められるかしら
ゴウリの実……おじいちゃんの薬、今日の分だけでも」

キロ、何かの気配に感付く
近くに立っている木の後ろに、身体を隠す
ビストローヌ、ドウルフ入場

ビスト「いつものお嬢ちゃん、今日はいないようだねえ
手間が省けて、楽だよ
いつも、こうあって欲しいもんだね
なあ、ドウルフよ」

ドウルフ、駆け出す
キロ、ドウルフが突然近付いてきたので、その場から逃げようとする
ドウルフは、キロの気配に気付いた訳でもなんでもなかった
しかし、その結果……

ビスト「そこに誰かいるね!
いつもの嬢ちゃんかい?
いい加減に、我々の手を煩わすのはやめて貰えないかね!」

ドウルフ、キロに飛び付く(じゃれ付こうとする)
キロ、小さく悲鳴を上げてそれを振り払い、体を二人から遠ざける

キロ 「煩わすって……
この村を勝手に占拠したのは、あんた達じゃないか!
この村は私達のものだ
あんた達アイグラントの連中に、どうこう言われる筋合いは全くないわ!」
ビスト「その手に持っているものは、何だ?」
キロ 「訊かなくても分かっているだろう……
ゴウリの実だよ!」
ビスト「それがいけないねえ!
『このファーネスの村で収穫されるゴウリの実は、
全てアイグラント帝国のものとなる』
そういう契約を、この村と交わした!」
キロ 「そんな契約、認めるもんか!
村人の命を楯に、強引に結んだ契約じゃないか!」
ビスト「契約は契約なんだよ、お嬢ちゃん……
とにかくその手に持つゴウリの実を、全て引き渡しなさい!
お前に対して、それ以上の拘束をするつもりはない
簡単な話じゃないか」
キロ 「このゴウリの実で、命を繋いでいる人がいるんだ……
見逃して、くださいよ……」
ビスト「私も遊びでやってるんじゃないんでね……
この村でしか採れない、ゴウリの実を独占する……それが私の仕事なんでね
悪いが!
ドウルフ!」

ドウルフ、キロとの距離を詰める

キロ 「じゃあ、勝負しろ!
私が負けたら、今日は大人しく家に帰る!」
ビスト「随分大きく出たね
私とこみたく勝負をするつもりか!
アイグラント帝国軍の中でも、こみたくで私の右に出る者は、ほんの一握りだ
こんな片田舎の娘に、私が負ける訳がないけどねえ」
キロ 「うるさい!
やってみなきゃわかるもんか!」

男審判員、入場

男審判「こーみたーくしょーうぶ!
始まりそうですね、こみたく勝負
ダブルユーちゃんは今ちょっとお休みなので、
この勝負は、わたくしエムエーさんが引き受けますぞー
では早速、始めのワードをどうぞ!」
キロ 「………どうぞ」
ビスト「いい心掛けだ
そうだな……
お前はどうしてゴウリの実を必要とするのだ?
一度訊いてみたいと思っていた」
男審判「始めのワードで、相手に質問するのはルール違反ですぞー!」
キロ 「大丈夫!
始めのワードは、それで」
男審判「特別ルール適用!
対戦者の同意が得られれば、質問で始めるのを許しますぞ」
ビスト「じゃあ開始だ
なぜ、お前は毎晩ゴウリの実を集める?」
男審判「こみたくぅースタートォーッ!」

男審判だけ、若干浮いた空気

キロ 「おじいちゃんの薬を作るの」
ビスト「お前の祖父は、病気なのだな」
キロ 「ええ。緑至病という病気」
ビスト「その病気の名前は聞いたことがある
確か、罹ると次第に言葉を失い、動く事が出来なくなり、
最後には一本の木になってしまう病気だ
治す薬は存在しない、と聞いている」
キロ 「この村には、その薬があるの」
ビスト「!
なるほど、ゴウリの実が、薬になるのか」
男審判「こちらの攻撃的投げ掛けを、こちらはあっさりとかわした!
やはり軽いジャブ程度では、KOは不可能なのかぁ!」
キロ 「ゴウリの実が、おじいちゃんの緑至病の進行を止める、唯一の希望なの!
緑至病の薬は、ゴウリの実からしか作れないのよ!」
ビスト「その薬は、治せるのか?」
キロ 「えっ?
病気を……あっ
ゴウリの実から作れる薬でも、緑至病の進行を止める事しか出来ない」
男審判「ふう!」

及川、入場
対戦の様子を隠れて見ている

ビスト「治せないのなら、放っておく方が良い」
キロ 「どういう!ハッ!
今は治せなくても、いつか治るかも知れない!」
男審判「おーう」
ビスト「それは自分勝手な希望だ
お前の祖父は、その状態を望んでいないかも知れない」
キロ 「えっ
そんなことはない!」
男審判「ハイ三回ルール適用です!
三度言葉に詰まった
あなたの負け
あなたの勝利~!」

うなだれるキロ

ビスト「まあ当然だ」
男審判「こみたく審判員エムエーさんでしたー
またの登場を、お楽しみに~」

男審判員、退場

キロ 「ちきしょう
ちきしょうちきしょうちきしょう!
お前こそルール違反じゃないか
何でそんな心無い事が言えるんだ
勝負に勝つ為とはいえ、そんな酷い言葉、私には言えない」
ビスト「私は本当にそう思っているぞ
テクニックだけでこみたくは勝てない
単にお前が未熟だったのだ
さあ、ゴウリの実を置いて家に帰れ」
キロ 「お前らそれでも人間か!」
ビスト「負け犬の声にしか聞こえないな
勝負に負けた者は、勝った者の意思に従え
それがこの世の絶対的ルールだ」
キロ 「………」

気持ちのリレー

2015年11月22日 01時30分54秒 | 気づき
貴方の気持ちは、私に伝わる
私の気持ちは、あの人に伝わる
そうやって気持ちが伝わっていく
それが、気持ちのリレーという考え方です

という事は、貴方の幸せな気持ちは、私にも幸せな気持ちとして伝わる、という事です

これは、とても大事な考え方です
何故かというと、貴方が不幸なら、私も不幸になるという事
つまり私の幸せは、貴方の幸せいかんにかかっているという事だからです

この考え方の行きつく先は、真の社会貢献、それは、貴方が真の幸せを見付け、貴方が幸せであり続ける事、即ちそういう事だと言っています

この考え方には、一つ、コツといったようなものがあります
人の気持ちは、もちろん、コントロール出来るものではありません
では、そのコントロールできない気持ちを、どうやって他人に伝える、それも、幸せな要素だけ伝えるのか
そんな調子いいことが、一般的に本当に可能なのか

その為には、生活の中で、コミュニケーションの中で、扱う言葉と、示す行動をキチンと選ぶことが必要になります
もちろん、人の気持ちは、内部で混沌としていて、取り扱いには本当に手を焼く種類のものです
しかし、その混沌とした気持ちの中で、「幸せ」な種類のものを、「選び取る」ことは出来ます
もちろんそれには、「幸せ」ってなんだっけ問題が、そういう大きな問題がでんと構えています
それに関しては、その時のその人の精一杯をやって頂く、考えて頂く、という答えしかできません
何故か、それはとても大きく、雑種実に多様な要素が複雑に複雑に絡んでいる、そして絡んだままそのままがそれが答えとなるような種類の問題だからです

一旦、幸せってなんだっけ問題は、こちらにおいておきます

そう、人と人の間には隙間がある
人は人の考えている事全てを把握することはできない
それが大きなポイントになります

人は、相手の発する言葉と、相手の見せる行動、それでいろんな事を判断します
それを逆手に取れば、人はどんなことを考えていても、それを表に出さなければ、表に出ていることそれだけが、その人という事にする事が出来るという事になります
しかしここで、大きな問題が表れます
人は、自分の作った周りにとっての自分像、それと自分の内面の実像とが余りにもかい離すると、精神構造を悪化する、そういう可能性、危険性を多分に持つ、という問題です

という事は、結論として、人は、名実ともに本当に幸せになり、内面も、言動も幸せに満ち溢れていないと、真の社会貢献は出来ない、という事になります

その為には、何をすれば良いのか

その為には、もう一度戻ってきた話ですが、幸せってなんなのか、それを徹底的に問い、自分なりの答えを出すことが必要不可欠となります

幸せってなんなのか問題の性質については、前述の通りです

もう一つ、ヒントがあります
人は、一人では幸せを見付ける事が出来ません
人は自分の中で幸せを見付け、他人の中に、幸せを学ぶ生き物です

ヒントを前述の内容と絡ませ、発展させます
人は、自分の言動を、選び取って「表現」する事が出来ます
自分が「幸せ」と少なくとも信じている事だけを選び取って「表現」したならば、人はその幸せな気持ちを受け取り、幸せになります
上記を、相乗効果で社会規模で発展させ、「幸せってなんだっけ問題」についても、個々人、また社会全体で磨いていったらどうなるでしょうか

もちろん、全ての社会でこんな事が出来るとは思っていません
けれど、私の知る、今の日本社会では、少なくとも可能なのではないかと私は考えます
そして最終的には、物理的な障壁が解決した後で、この気持ちのリレー、幸せのリレーの考え方は、人類世界中で実現が可能なのではないかと、今の私は考えています

以上の考え方が、私の"VH"プロジェクト(べーはーぷろじぇくと="VENTURE TO HOPE"プロジェクト)の根幹を成す考え方です
長文お読み頂き、ありがとうございました

こみたく!【五】【六】

2015年11月18日 13時56分06秒 | 戯曲・つれづれ
【五、ガストロールへの扉】

及川 下北沢……
地図を見ると……こっちか
……えっ、この……粗大ゴミの中なのか?
何でこんな所に……
……冷蔵庫……確かに冷蔵庫だな
たぶん、もう使えないヤツだ
……この扉を……開く

幸次、息を呑む

及川 なんだ……これは……?
ドラえもんじゃねーんだから
冷蔵庫の中に、別の世界が広がってやがる
これは夢じゃねーだろーな
入ってみるか?
戻れなくなったら……
まあ、この扉を閉めなきゃ、大丈夫だろ
細心の注意を払って……
よし、行ってみよう

幸次、冷蔵庫の中の世界に入る(退場)
すぐに、清掃員1と清掃員2が入場

清掃1 この冷蔵庫は、いつまでもここに置いてあるな
清掃2 廃棄しましょう。廃棄
清掃1 それがいいな

清掃員2、冷蔵庫の扉を閉める

清掃2 じゃあそっち持ってください
清掃1 了解。あらよっと
清掃2 急に持ち上げないでください。バランスが……
清掃1 おや失礼。それじゃあ、あらよっと
清掃2 あいよっと
清掃1 ほいさっさ
清掃2 ほいさっさっさー

二人の清掃員は退場


【六、扉の中】

幸次入場

及川 ここはどこだ?
日本じゃないのか?
一体、どこだ?
あっ、そうだ、退路確認……
あれっ、えっ?
おかしい、今、俺はここに入ってきたばっかだぞ!
出口が無くなってる……
どういうことだ
どういうことだ
何でだ
あーもう!
無くなっちまったもんはしょうがない
とりあえずここはどこなのか、それを確認しよう
それにしても……誰もいないな