おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
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太陽の降る村・序章

2017年11月12日 08時24分57秒 | SUKYSH CLOUD
 お母さん。
 呼びかけた。
 なにも応えは無い。
 それでも信じている。私は魂の存在を。
 私がこんなになっても、母は私を見詰めてくれている。見捨てないでいてくれる。
 私が動けなくなっても。話せなくなっても。食べる事もできず、ただ植物と同じ光合成で栄養を得て、根から水分を得て、人としての機能を完全に失っても。
 あなたのひ孫は元気です。彼女は村を出ていった。私を見捨てて出ていった。
 けれどそれは私の望んだ事。仕方のないこと。運命には逆らえない。ひとりの人生が流れる力には、何ものも抗えることは出来ない。
 貴女のひ孫は生きる力を得ました。本来の人生を歩き始めた。
 私が引き留めて、とどめていた彼女の人生の流れが、本来の姿を取り戻して、輝き始めた。
 村に立ち寄った旅の少年。彼に導かれて、彼女は輝きを取り戻した。彼は、あなたのひ孫の人生になくてはならなかった人物に違いない。そして今、彼女は彼に出逢った。
 彼女の人生が、いま再び走り出した。