○翌朝・キロの家の中
朝食のシーン。
キロとバルシアで朝食を作った。
居間でテーブルを囲む四人。
ライタ「おじいちゃんはいいのか?」
キロ「………」
ライタ「おじいちゃんは朝食食べないのか聞いてるんだけど」
バルシア「キロちゃん、キロちゃんのおじいちゃんには朝食をあげな
くていいの?」
キロ「はい。まだ寝てますから、後で食べさせてあげます」
ライタ「……ちょっとキロちゃん。俺の質問には答えないでバルシア
の同じ質問には答えるって、これどういうわけ?」
キロ「………」
バルシア「……まあいいじゃないの。何か複雑な事情でもあるのかも
知れないし」
ライタ「そうなのか?」
キロ「………」
ライタ「……ああ、じれったい! 俺のこと嫌いなら嫌いでいいよ!
好きにしてくれ!」
しばらく間。
皆、朝食を食べている。
そろそろ皆が食べ終わろうとした時、
キロ「……私、皆さんに話しておかなくてはならないことがあります」
バルシア「なーに?」
キロ「私を、皆さんの旅に同行させて下さい!」
ボイスカ「なに?」
キロ「無理を承知でお願いします! 皆さんと一緒に旅をさせて下さ
い!」
ライタ「……突然何を言い出すかと思えば……」
バルシア「どうしてそんなことを言い出したの?」
キロ「私の精霊の、守護霊が、私にそう告げたんです。皆さんと旅に
出ろと」
バルシア「でもおじいさんはどうするの? あなたがいないと困るで
しょう?」
キロ「おじいちゃんのことはもちろん心配です。でも、おじいちゃん
の事については考えがあります。実は皆さんの協力が必要なんで
すけど……」
ライタ「だってキロちゃん、俺のこと嫌いなんでしょう? 嫌いな人
と旅しても楽しくないよ」
ボイスカ「楽しむために旅してるわけじゃなかろう」
ライタ「それはそうですけど、例えば魔物が出てきた時だって、協力
しあえないじゃないか」
キロ「……私、ある……出来事がきっかけで男の人がだめなんです」
ライタ「出来事って……何があったんだ?」
キロ「………」
バルシア「キロちゃん、話したくないなら話さなくたっていいんだ
よ?」
ライタ「バルシアさん……」
バルシア(ライタ君、女の子の心の傷をえぐるようなことはしないの)
ライタ「ぐっ……」
キロ「守護霊からの御神託は、私にとって何より大事なことなんです。
ですからお願いです。私を旅に連れて行って下さい。私の精霊魔
法は、旅のお役に立てると思います。男嫌いも皆さんの旅に支障
が出ない程度で上手くやっていきます!」
バルシア「いいんじゃない? 私はいいと思うけど、ライタ君は?」
ライタ「ちょっと構えちゃいますけど、いいんじゃないですか」
ボイスカ「わしは少し意見がある。キロちゃんとやら、旅に出たら危
険が一杯じゃぞ。魔物との戦いも、村を出れば毎日あるし、
恐怖のアイグラント帝国とも対峙せねばならぬ時だってあ
る。その辺の覚悟はどうなのか聞きたいんじゃがの」
キロ「分かっています。私も時々村の外を出歩きます。すると魔物が
現れるんです。最初は怖くって仕方なかったけど、今は魔法で退
治するまでに成長しました。だからその心配は、大丈夫だと思い
ます。」
ボイスカ「……それならいいがの。わしは以上じゃ」
バルシア「それではキロちゃんは私たちの冒険者パーティーに入ると
いうことで、かんぱーい!」
四人はそれぞれミルクの入った木製のコップを掲げた。
ライタ「……そういえばおじいさんの件はどうなるのさ」
バルシア「そうよねえ。病気のおじいちゃんをそのままにして旅に出
るわけにはいかないわよねえ」
キロ「そのことなんですが、この問題を解決するには、皆さんの協力
が必要なんです。協力していただけますか?」
ライタ「……そりゃあ、ここまで乗りかかっちまった舟だ。協力する
よ」
バルシア「私たちは何をすればいいの?」
キロ「これは私も最近知ったことなんですけど、おじいちゃんの病気
には、特効薬があるんです。」
ボイスカ「ほお」
キロ「但し、その特効薬を作るには、ゴウリの実が、およそ百個必要
になるんです」
ライタ「そんなに集まるのかぁ?」
バルシア「落ちた実は、アイグラント帝国の奴らが即回収してしまう
んだろうから、落ちてるのを集めるのは難しいわね」
ボイスカ「警備ロボットもいることだしのう」
キロ「……だから、アイグラントの貯蔵庫を狙うんです」
ボイスカ「なにいっ?」
バルシア「……これまた大胆な……」
ライタ「なるほどねー」
ボイスカ「『なるほどねー』って、これがどれだけ危険なことか、お
前には分かっているのか?」
ライタ「分かってますよ。でもそれしか手だてがないんでしょう?」
キロ「……ライタさんは……話が早いですね……」
ライタ「それでその貯蔵庫っていうのはどこにあるんだ?」
キロ「……以前、教会だった建物の中です。村の中央、丘の上にあり
ます」
ライタ「それじゃあ早速、その場所の前まで行ってみようよ」
ボイスカ「……あーあ、またやっかいなことに巻き込まれそうじゃ」
キロ「……済みません、ボイスカさん」
バルシア「キロちゃん、気にしなくていいのよ。あんな事言ってるけ
ど、ボイスカさんにかかればアイグラント帝国なんてちょち
ょいのちょいなんだから」
キロ「そんなにお強いんですか?」
ボイスカ「バルシア、それは言い過ぎじゃ」
バルシア「そうかしら」
ライタ「……さて、まずは敵情視察です。行ってみましょう!」
やっぱあれですね、この脚本って、僕がゲームクリエイターを目指してた頃に書いたものなので、演劇の戯曲にするには、少々修正が要りますね。
でも、もし今これを演劇にするとしたら、かなりの変更とブラッシュアップをしたいとこです。
テーマもキャラも、もっともっと深く作りたいです。
私って、ギャグっつーか笑いが苦手なので、今回もキロとライタの関係や、ライタとバルシア・ボイスカ、それぞれの関係でなんとか笑いがとれたらって思ってますが、なかなか難しそうです。
このお話、ブログ上では完結させない予定です。実は。
最後のクライマックスのところは秘密にしておくつもりです。
あとは劇場で
って感じなのですが、いかがでしょうか笑?
もし公演が出来て、公開を終えたら、全戯曲の、現在書いたバージョンの内容をブログ上にアップします。
それまでお待ちくださいませませ
よろしくですう。
ではでは~