おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
いろいろ活動してます
そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

サキシュ・クラウド SUKYSH CLOUD "the village suns fall" #14

2011年09月27日 00時00分00秒 | 日々つれづれ
#14 教会前


 キロが駆け込んでくる

【M 徐々にF.O.】

 キロは立ち止まり、息を整え、教会の扉をノックする
 すぐにビストローヌが出てくる

ビストローヌ「なんだい、あんたかい」
キロ「どうしてあなたがコバルトの手紙を持ってきたの!?」
ビストローヌ「渡してこいって言われたから渡したんだ」
キロ「コバルトが言ったの?」
ビストローヌ「そうだよ、あたしは眠いんだ、もういいだろ?」
キロ「コバルトはどこ?」
ビストローヌ「お嬢ちゃん、調子に乗るんじゃないよ」

 うしろにドウルフも登場する
 たじろぐキロ
 震えた声で

キロ「コバルトは、教会の中にいるの?」
ビストローヌ「帰んな」

【SE ドアを強く閉める音】

 ビストローヌ、ドウルフ退場

キロ「コバルト……何があったの?」

 ライタ、ボイスカ、バルシア、入場

ライタ「この建物は?」
バルシア「見りゃ分かるじゃない、おでん屋さんでしょ」
ボイスカ「(前の台詞に掛かって、キッパリ強く)教会だ」
ライタ「なんでバルシアさんそんなことばっか言うんですか」
バルシア「だって~おでん食べたくない?」
ライタ「俺は肉と炭水化物がいいです」

 ライタ・バルシアとは全く異なった空気で以下の会話は進む

ボイスカ「なんでここまで来た?」
キロ「友達がいるんです」
ボイスカ「教会の中にか?」
キロ「はい」
ライタ「ここが教会なんだ? ついでだから例の本探しません?」
キロ「無理なんです!」
ライタ「へ?」
キロ「アイグラント帝国の拠点になってるんです、ここは」
バルシア「じゃあ殴り込んじゃえー」
キロ「それも無理なんです」
バルシア「ちょっとキロちゃん冗談よ」
キロ「いえ、教会の中に、
私の友達とそのご両親が幽閉されているんです」
ボイスカ「人質になってるから手が出せないんじゃな」
キロ「はい」
ボイスカ「そうすると、ご友人の親御さんは、ここの牧師か」
キロ「はい、そうです」
ライタ「だからアイグラントって大っ嫌いなんだ」
バルシア「アイグラント許すまじ!」
ライタ「それ俺の真似っすか?似てないですよ」
バルシア「あら~そんなこと言っていいの?
今度起きたら頭チリチリになってたりして~」
ライタ「あんたそれでもセントドラゴンですか?
セントドラゴンのセントは聖なるの聖という……」
バルシア「ライタ君に影響されたのかなあ」
ボイスカ「元からじゃな。話を戻すと、
キロ君のお祖父さんの病気を治すには特効薬が必要。
その鍵はこの教会の中にある。
そして教会はアイグラントの連中の手にある。
しかし、人質がいるから手が出せない、と」

 バルシアは何故だか知らんが拍手なんぞしていて

バルシア「お見事~」
キロ「そうなんです、そうなんです……けど……」
ボイスカ「なんじゃ、キロ君なにかあるのか」
キロ「てが……いえ、何でもありません」
ボイスカ「これは作戦を練った方が良さそうじゃ。一旦戻ろう」
バルシア「あたしが変身したら全部解決しそう」
ライタ「んなことしたら、この村が全部壊滅しますって」
バルシア「そうかな」

 バルシア、なぜか嬉しそうに照れ笑い

 キロ、魂が抜けたようにフラフラと家路に向かう
 ボイスカも退場

ライタ「俺もそろそろ真面目に考えるかな。
バルシアさん帰るみたいですよ」
バルシア「おーそうか」

 バルシア、一回だけ教会の方を意味ありげに振り返り、小走りで退場
 ライタ、腕組みをして何やら考え込みながら退場

サキシュ・クラウド SUKYSH CLOUD "the village suns fall" #13

2011年09月25日 16時43分57秒 | SUKYSH CLOUD
♯13 手紙


キロ「はい、どなたですか」

 返事が無いので、キロは窓穴から外を窺った

【SE 効果音】

 ドアの外にいるのが誰か分かった瞬間、キロは息が止まった

ビストローヌ(声)「手紙を預かっている。扉を開けてもらえないか」

 キロは恐怖で全身が固まっている
 するとドン!ドン!とドアに身体ごと打ち付けているような
 大きな音が響く
 恐らくはドウルフが強引に扉をぶち壊してでも
中に入ろうとしているのだろう

 音に驚いて、三人(ライタ・ボイスカ・バルシア)が現れる
 キロは怯えてドアを押さえている

ボイスカ「キロ君、扉を開けてやんなさい」
ライタ「師匠!?」
キロ「外にいるのは、昨日私を襲った二人組です」
ライタ「なにい!? しつこいなあ。よし、また返り討ちにしてあげよう」
バルシア「でもこんなところまで何しに?」
ボイスカ「キロ君退(ど)いて、私が出よう」
ライタ「師匠、俺も加勢します!」
ボイスカ「戦いになるとは限らん」

 ボイスカは玄関の扉を開けた
 ビストローヌ、ドウルフが現れる

ボイスカ「ずいぶん荒っぽい訪問じゃな。用件は?」

 ボイスカの態度に、二人組は少し気圧(けお)されている

ドウルフ「なんだジジイ、ぶっ飛ばしてやる」
ビストローヌ「ドウルフ、今日は戦いに来たんじゃないよ」
ボイスカ「ではご用件を」
ビストローヌ「手紙を預かってきた。そっちの娘にだ」
ボイスカ「儂が預かろう」
ビストローヌ「直接娘に手渡すように念を押されている。理解してくれ」

 ボイスカは慎重に間を図りながら、キロに目線で指示する
 キロはゆっくりとボイスカの横を通ってビストローヌに近づき、

キロ「誰から?」
ビストローヌ「周りに人がいる。読めば分かる」

 ビストローヌから手紙を受け取るキロ

ビストローヌ「用件は以上だ。失礼する」
ドウルフ「いつかぶっ飛ばしてやるからなあ」
ビストローヌ「行くぞ!」

 ビストローヌはドウルフを連れてその場を去る
 しばらくの間
 キロは手紙を見詰めている

バルシア「一体なんだったんだろ」
ライタ「ワケわかんね~」
キロ「皆さんは自由にしていてくださいね」
バルシア「あっ、キロちゃん」

 キロは手紙を読む為、家の奥に引っ込む
 キロ退場
 ライタ、ボイスカ、バルシアは思い思いにくつろぎ始める
 ライタは寝っ転がる
 ボイスカは椅子に座り、バルシアは床にあぐらをかいている

【M 緊迫した曲】

 キロが緊迫した表情で駆け込んでくる
 玄関から外に駆け出す
 手には封を開いた手紙を持って
 ボイスカ立ち上がって玄関に向かう

バルシア「キロちゃん!」
ライタ「えっ!?」
ボイスカ「何しとる、追うぞ!」

 ボイスカ退場

ライタ「師匠!?」
バルシア「ライタ君も行こう!」

 バルシア、ライタの順で退場

【照明変化→外の明かりに】

サキシュ・クラウド SUKYSH CLOUD "the village suns fall" #12~その2

2011年09月22日 22時19分46秒 | SUKYSH CLOUD
前回からの続き


 皆の心に一瞬、この先への不安などの思いが浮かぶ
 間
 キロが溜め息とともに、思わず呟く

キロ「だいじょぶかな」

 ライタ、思わず突っ込む

ライタ「君がそんなこと言うなよ!」
キロ「あっ、ごめんなさい」
バルシア「まあライタ君、今のキロちゃんは不安で一杯よ
理解してあげなさいな」
ボイスカ「不安と言えば」

 ライタは師匠の発言を遮り

ライタ「不安って言えば、お祖父ちゃんの事はどうするんだ?」
キロ「あ……それには考えがあります」
バルシア「そう言ってたわよね」
ボイスカ「どう」

 ライタ再び遮り

ライタ「どうするの?」
キロ「えっと……お祖父ちゃんの病気には特効薬が存在すると、
母から教わった覚えがあります」
バルシア「そんなのがあるんだ?」

 ボイスカはどことなくむくれている(話は聞いている)

ライタ「なんでそれを今までやんなかったのさ」
バルシア「当然実現がむつかしいんでしょ?」
キロ「はい、その特効薬を作るには、ゴウリの実が一万個必要だとか
さらに私も母も、薬の調合のやり方を知りませんでした」
ライタ「今はわかるんでしょ?」
キロ「言葉のアヤです。今もわかりません」
バルシア「えーっ!」
ライタ「それじゃあ」
ボイスカ「五里霧中じゃ」

 ライタ、スキを見せたことに焦る

ライタ「あっそうそう五里霧中じゃ」
キロ「でも全く打つ手がない訳ではないんです
ゴウリの実はこの村の特産品。しかも魔法の力を持った実です
どこかにヒントになる資料があってもおかしくはない
私はそう考えます」
バルシア「じゃあどうする?
この家の蔵から何から、オールスキャンする?」
キロ「いえ、この家の中には有りませんでした
母が存命の頃に、二人でくまなく探し尽くしましたから」
ライタ「話が見えないなー
俺たちゃ一体どうすりゃいいんだよ」
ボイスカ「この村で、一番多くの書物が集まっている場所は?」
キロ「はい、それは教会です」
バルシア「わーお♪」
ライタ「なるほど」

 ここで話はいったん休止
 コップを口につけ、水分補給のお時間
 くつろいで下さいませ

ボイスカ「で?」
三人「?」
ボイスカ「それで?」
三人「ん?」
ボイスカ「一万個」

 ライタは勢いよく立ち上がり

ライタ「そうだよ、ゴウリの実を一万個って、一体何処にあるんだよ!!?」
バルシア「地面に落ちたのは、
アレグラントの奴らが全部かっさらってるしね」
ライタ「落ちる前のを捕獲する!」
ボイスカ「アレグラントはゴウリの実をどこに貯めてるんじゃ」
ライタ「あら」
キロ「はい、それは教会です」

 皆、背もたれに寄っ掛かるなどしつつ力を抜く
 溜め息なんぞも出る

ライタ「ようやく話が繋がったな」
バルシア「これでわかった。私たちの目標」
キロ「村の!」
全員『教会に向かおう!!』

 全員立ち上がり、魂に力が入る
 そこに

【SE ドアをノックする音】

キロ「はあい
皆さんちょっとくつろいでいて下さい
戻ったら食器片付けますね」

 キロは玄関に移動

【照明変化】

 ライタは本当にくつろいで横になろうとする
 ボイスカがライタをど突き、結局三人で食器イス等を片付ける【場転】

サキシュ・クラウド SUKYSH CLOUD "the village suns fall" #12~その1

2011年09月10日 16時29分33秒 | SUKYSH CLOUD
#12 キロの家(朝)


【SE 朝の風景(鳥のさえずり等)】

【明転】

 バルシア入場
 最初は伸びなど、人間らしい行為を行なっていたが
 だんだん足で頭を掻いたり、手足を舐めたり、ドラゴンっぽい
 行為を見せるようになる
 そこにボイスカが入ってくる
 慌てて取り繕うバルシア

バルシア「おはようございます!」
ボイスカ「竜というより、猫みたいじゃの」

 バルシア空笑い
 キロが朝食を持って入ってくる

キロ「皆さん席に着いてください、朝食ですよ」
バルシア「ありがとう、キロちゃん」
キロ「いいえー……あれ、ライタさんは?」
ボイスカ「あいつはまだ寝とるんじゃないのか」
キロ「えっ、そうなんですか!」
バルシア「あたしが起こしてくる」

 バルシア退場

ライタ(声)「うおっ!」

 二人とも登場、しながら、

バルシア「ライタ君がいくら起こしても起きないからじゃない」
ライタ「だからって頭凍らすことないじゃないですか」
バルシア「いやー、イライラしたら、つい本能で」
ライタ「まだ髪の毛がパリパリいってますよ」
ボイスカ「お前さんたちは何をやっているのか」
ライタ「いや、バルシアさんが俺の頭にアイスブレスを」
バルシア「軽~いの、軽~いヤツをね」

 バルシア取り繕いの営業スマイル

キロ「気になってたんですけど、バルシアさんって、人間じゃないの?」
バルシア「いやあ人間よ」
ボイスカ「人間じゃよ」
ライタ「あれ、二人とも……」

 バルシア、ライタを隅の方に連れてきて

バルシア「バレたら騒ぎになったりしてめんどくさいでしょ」

 ライタは何度もコクコクうなずいている

キロ「朝食できてますよ」
ライタ「ありがとー! キロちゃん」
キロ「粗末なものですけど」

 ライタ、バルシアは席に着きながら

バルシア「おいしそー!」
ライタ「もう食べていいの?」
キロ「どうぞ笑」
ライタ「いっただきます!」
バルシア「いただきます」
ボイスカ「いただきまっす」

 4人、食事をしながら

ライタ「おじいちゃんは、いいのか?」
キロ「………」
ライタ「キロちゃん、
おじいちゃんは朝食食べないのか訊いてるんだけど」
バルシア「キロちゃん、おじいちゃんには朝食をあげなくていいの?」
キロ「はい。まだ眠ってますから、後で食べさせてあげます」
ライタ「ちょっとキロちゃん、俺の質問には応えないで
バルシアさんの同じ質問には返事するって、
これどういう訳?」

 キロは困ったような、気分を害したような
複雑な表情・素振りを見せている

バルシア「まあいいじゃないの。
何か複雑な事情でもあるのかもしれないし」
ライタ「んなもんあるかい!」
キロ「……(うつ向きながら、小さな声で)失礼な」
ライタ「? そうなのか? 何か事情があるのか?」

 キロはうつ向き無言のまま(でも時々何かに手を出し、食う)

ライタ「ああいいもうじれったい! 俺のことが嫌いなら嫌いでいいよ
好きにしてくれ!」

 しばらくの間
 皆、食事を進めている
 そろそろ食べ終えようとした時、

キロ「私、皆さんに話しておかなくてはならないことがあります」
バルシア「なーに、キロちゃん?」
キロ「私を、皆さんの旅に同行させてください!」
バルシア「えっ」
ボイスカ「!?」
ライタ「なんですと!?」
キロ「無理を承知でお願いします
皆さんと一緒に旅をさせてください!」
ライタ「突然何を言っとるかね」
バルシア「どうしてそう思ったの?」
キロ「私を見守る『神木』……木の精霊、彼が私にそう告げたんです
皆さんと一緒に旅に出ろと
それが私の役割であり、道であると」

 ライタ、ボイスカ、バルシアはそれぞれに困った表情をしている

バルシア「でもお祖父さんはどうするの?
あなたがいなくなったら、世話をする人がいなくなって
困ってしまうでしょう」
キロ「お祖父ちゃんのことはもちろん心配です
でも、それについては考えがあります
ただ、皆さんのご協力が、また必要になるんですが……」
ライタ「でもキロちゃん、俺のこと嫌ってるんじゃないの?
そんなんで旅したって、辛いだけじゃん?」
ボイスカ「好きだから嫌いだからで一緒に旅するわけでもなかろう」
ライタ「それはそうだけど、例えば敵が出てきた時だって、
協力し合わなきゃならないんだよ?」
キロ「それは、大丈夫だと思います」
ライタ「キロちゃんがそう言うんなら、まあいいけどさ。でも」
キロ「私!ある出来事が切っ掛けで、男のかたがダメなんです」
ライタ「(何も考えず、無神経に)出来事って?」
キロ「えっ……」
バルシア「キロちゃん、話したくないことは話さなくていいよ」
キロ「はい……」

 バルシアはライタに軽く鉄拳

ライタ「痛(いた)た……」
キロ「ごめんなさい
守護霊からの言葉は、私にとって絶対なんです
私を旅に連れていってください!
私の魔法は、旅のお役に立てると思います!
男嫌いも、皆さんにご迷惑を掛けないように
うまくやっていきます!」
バルシア「(少し2人の様子を伺いながらも、キロを気遣い)
いいんじゃない?
私はそう思うけど、ライタ君は?」
ライタ「ちょっと構えちゃいますけど、大方大丈夫です。ただ、」
ボイスカ「ライタ、そこからは儂が話そう
キロ君、旅に出たら、危険が一杯じゃぞ
魔物や獣との戦いも日常茶飯事だし、
時には、例のアイグラント帝国の奴らとも
対峙せねばならんようじゃしな
そのあたりへのキロ君の覚悟は、どうなんだろう」
キロ「はい、大丈夫です」
ライタ「ホントか?」
キロ「はい、私は時折村の外へ用事で出掛けることがあります
遠出をすることもあって、そういう時は、
途中で魔物に何度も出遭います
最初は怖くて仕方なかったけど今は慣れて、
魔法で身を守ったり、退治したりするまで
出来るようになりました
だから、大丈夫です」
ボイスカ「ふ~む……」
ライタ「師匠?」
ボイスカ「そこまでの覚悟なら儂は何も言わない
もともと魔法使いと守護霊との強い絆はよくわかっている
反論しても無駄だとな」
キロ「ありがとうございます!」
バルシア「じゃあキロちゃんがあたしたちのパーティーに加わることを
祝して」

 バルシアはミルクの入った杯を掲げる

バルシア「はい!」
4人それぞれに『乾杯!』

サキシュ・クラウド SUKYSH CLOUD "the village suns fall" #11

2011年09月04日 01時06分01秒 | SUKYSH CLOUD
#11 遣い(ファーネスの村の外れ・洞窟内)


【SE 水滴の音】

【照明洞窟の中→明転】

 時間は早朝
 コバルト、ビストローヌ、ドウルフが舞台上にいる

コバルト「この洞窟の中に、コモドドラゴンの巣があるらしい
我が村の民も、時折そのドラゴンから被害を受けている
まだ子供で、なぜか親とはぐれて暮らしているのが救いだ
我々三人の力なら、退治できるはずだな
それにしてもランタンもなく明るいとは、便利な魔法だなあ、ビストローヌ」

 ビストローヌは、小さく頷く

コバルト「ドウルフ、お前は震えているのか?」
ドウルフ「そんなことないよ」
コバルト「怖いのか」
ドウルフ「違う!」
コバルト「(微笑・嘲笑)まあよい。おっ、あれがかの巣か?
お前達、行くぞ!」

 コバルト達3人は、進む足を速めた
 そこに、

カラアーム「あんたたちちょっと待ちなさいよ!」
ビストローヌ「何者!?」

 カラアームは回り込んで3人の正面に相対する

コバルト「なんですか、あなたは?」
カラアーム「あんたたちは、これから自分が何をしようとしているのか
分かってるんでしょーね!?」
コバルト「村の為になることだ」

 一呼吸

カラアーム「思わず腹の中で笑っちゃったわ
あのドラゴンを殺すことが、村の為になると思ってるのね」
コバルト「もちろんだ。現に被害者だって沢山いる」
カラアーム「あのドラゴンは、セントドラゴンの一種よ。人間に危害を及ぼすことはない」
コバルト「適当なことを言うな。現実に被害の報告が届いている」
カラアーム「大方、ドラゴンの姿に恐れ戦(おのの)いて、慌てて逃げようとした時に転んだとか、
そんなんじゃないの?」
コバルト「なぜ君はそんな事を言い切れるのだ」
カラアーム「人間は、見た目に惑わされ過ぎなのよ
人間が『魔物』と呼ぶような存在の中にも、いろんな性質の種族がいるわ
善きモノだっているし、確かに本当に邪悪なモノもいる」
コバルト「それならどうすればいいのだ?」
カラアーム「あんた、ただ単に、自分が思った通りにしたいだけなんじゃない?
その考えは、決して善いことじゃない。どちらかというとあなた、悪人ね」
コバルト「失礼なことを言うな!」
カラアーム「じゃあ、今日は大人しく帰りなさい
コモドドラゴンは巣の中にいない
この村周辺の風が、変わりつつあるの
ドラゴンはそれを感じ取ったのね。だからこの地を後にした
これから何が起こるのか、ワタシにも予測がつかないわ
(笑って)また会いましょ」

 カラアームは、燃え上がる一瞬の炎と共に消えた

ビストローヌ「コバルト、どうする」
コバルト「あんな訳の分からない奴の言うことに惑わされるか
勿論、この先に進むぞ」
ビストローヌ「了解した」

 ドウルフは、二人から大分離れた、後ろの方であたりにキョロキョロと
視線を配りながら、ついて行く
 三人、退場