おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
いろいろ活動してます
そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

ONE EYES(18)

2010年01月18日 00時36分28秒 | 小説『ONE EYES』

第五章 再会(三)


『それでは、今日のサンライツセッティングの放送は、ここまで! みな様お付き合いありがとうございました!』
 ラジオから一瞬ノイズが流れ出す。その直後、
『みな様こんにちは! サンライツセッティングのお時間がやって参りました! 今日もこれからなん時間かみな様のお相手をいたします、今井麻衣子でございます』
 慎平と修が教室に入ってくる。
「みどりちゃんまたこのラジオ聴いてるんだ~?」
「よく飽きないよね」
「相変わらずBGMの選曲はいいよね~」
 慎平が軽口をたたく。
「DJは?」
 修が慎平に向かって言うと、二人は顔を見合わせて、ケタケタ笑い出した。
「最悪だよな~、このDJ!」
「なんだかなあ~」
「きっとまだ若いから、経験が伴ってないんだよ」
 みどりがフォローをする。
 見えない、会ったこともないこの番組のDJに、みどりはフォローを入れている。
『今日の最初のナンバーは、この曲。ミキサーの恵美ちゃんが今日持ってきて、もうサイコーなんです! みな様、ぜひ聴いてみてください』
 ラジオから軽快な音楽が流れ始める。
 それと同時に、教室内の空気が変わる。
 BGMひとつで、これだけその場の雰囲気って変わるものなのだな。みどりは思った。
「だから選ぶ音楽のセンスは、飛び抜けていいんだよな」
 慎平が述べると、
「そうそう」
 修が相槌を打つ。
「このたまに名前が出てくる、『恵美ちゃん』って人の選曲が、いいんでしょうね」
 みどりが言うと、
「そういうことになるな」
 慎平が結論付けた。
「それはそうと……慎平さんはいつ月謝を払っていただけるのかしら!」
「えっ?」
 みどりが慎平に前触れなく詰め寄る。
「俺ここの生徒じゃないもん! ただ修についてきてるだけだって」
「そんな子供みたいな言い訳が……!」
「だって俺が先生の授業受けてること一度でもあったか?」
 慎平は修に同意を求める。
「それは……ないな」
「それきったない……ズルイのぉ~」
「先生が月謝払えって? 言ってるの?」
「そういう訳じゃないけどぉー」
「じゃあいいじゃん」
「あたしの立場的に……見逃せないんですけど」
「もっとアバウトに、いい加減になったほうがいいよ、みどりちゃん」
「余計なお世話……しかも今、慎平さんにだけには言われたくありません」

 慎平と修は荷物を机の上に置いて、適当に並んでいる椅子に座った。
「修さんは、今度のコンクールには当然作品出しますよね?」
 修はみどりの質問には答えずに、あらぬ方向に顔を向けている。
「俺は出すよ」
「は?」
 出すと答えたのは慎平だ。
「意味が分からない。慎平さんが絵を描いてるとこ自体、私一度も見た事ないですよ」
「描けるよ」
「まー参加するのは自由ですけど」
「賞とるよ」
「『笑い』の笑ですか?」
「ちげーよ! 大賞とか、優秀作品賞とか」
「わかりました。頑張ってください。で、修さんは出品しますよね?」
「みどりちゃ~ん、」
 みどりは完全に慎平に対して無視の態勢。修は、なんだか困った顔をしている。
「修さん?」
「……みどりちゃん……」
 修がいまだあらぬ方向を見ながら、口だけボソッと呟いた。
「はい!?」
「愚痴っていいかな?」
「……え~と……いいですよ」ニコッ。
 みどりは作り笑いで修に応じる。
「何を描いていいのか、分からなくなっちゃったんだよう~!!」
「……はぁ、」ニコ。
 みどりはひたすらアルカイックスマイル。
「何でもいいじゃねえか、絵のモチーフなんて」
 慎平が話に割り込んでくる。
「よかねえよ。モチベーションが上がんない」
「そりゃモチーフが決まらないのが問題じゃなくて、お前の内面に問題があるんだ」
「へえ」
 みどりが意外そうな声を上げた。
「どした?」
「まともなコト言えるんですね、慎平さん。ちょっとびっくりしました」
「惚れた?」
「やっぱり馬鹿ですね」
 慎平、ズルッと大袈裟にコケる。
「慎平、一緒に絵のモチーフ……俺が描く気になるモノを探してくれないか」
 修は本気である。
「はあ?」
「頼む!!」
 修は慎平に両手を合わせて拝んでいる。


   *  *  *


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新年会、兼、私の就職活動応援会(…らしい^^)

2010年01月17日 01時39分34秒 | 日々つれづれ
 今日は東京駅近くのとり鉄というお店で新年会でした!
 メンバーは大学生時代の演劇サークルの仲間。
 K.M.さんという女性の先輩の声賭けで、10名近くの懐かしい面々が集まりました!
 それもありがたいことに、今回集まった名目は、僕の就職活動の応援。
 ……恐縮ですぅ(笑)。

 しかあし!残念ながら、先日企業に送った書類の審査は通らず、就職の機会は次回以降に持ち越しとなっておったりします(汗)。
 ……再び、恐縮ですぅ。

 会は極めて楽しく進みました。
 昔の話、今の仕事の話、演劇の話、噂話……等々、話に花が咲きましたよ。

 今回の面子には、都緒kingの参加メンバーも3人含まれていました。

 都緒king第二シリーズ第一話は、すみません、僕のPCがウイルスに感染してしまった関係で途中からまったく頓挫しておりまして、主題歌・挿入歌の歌入れ(収録)、編集を済ませれば、完成となります。
 ただし、挿入歌の曲データの入力が、ウイルスの関係でまっさらの状態から再入力となってしまったので、もう少し掛かるかと思われます。
 すみません、関係者の皆様、この場をお借りして、お詫び申し上げますm(u_u)m。

 なんて事を言いつつ、こういう会が続いていければいいのだけれどもなあ、なんて思っております。
 昔の仲間が、今を見据えて、結局バカっぱなしをする。
 ただそれだけ。
 それだけのことが、どれだけ明日の活力になることか。
 あさっての地力になってくれることか。
 それだけで、どれだけ頑張れるか。

 例の恋人との間にも、新しい風を吹き込んでくれるかも。
 相方もいつか一緒にこういう会に参加してくれたら、すげー楽しいんだけどなあ。

 どんどん、物理的な事情が許す限り、こういう広がりは大事にしていきたいです。
 という訳で、来月にまた会があるって話。
 よろしくお願いしまーす!!

 ではでは。

   *  *  *

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スペカラ照明係、今日のふり返り。

2010年01月11日 03時55分44秒 | 演劇・舞台照明
 今日の夜、スペカラの新年会のスタッフの仕事をしに行った。
 そこで、嫌な思いをした事件がひとつあった。
 僕がオペしていた照明にわざわざ大声でいちゃもんをつけてくるおじさんがいたのだ。
 ちゃんとした公演の、終わった後に意見として提示してくださるのなら大歓迎だし、それはとてもありがたいことだと思うが、パーティー照明のアドリブのオペに対して、それもやっている最中に劇場の端から大声を張り上げて「ここはこうしろ!」と意見するというのは、ちょっとどうだろうか、といったところである。
 実際そのおじさんは、かなり酒を飲んでいたし、酔っ払っていたのかもしれないが、真面目に照明操作をやっていた僕からすると、プライドは傷つけられるわ、気分は害するわで、まったく災難であった。

 しかし、冷静になって考えると、そのおじさんの言っていたことは、いちおう何かを考え始めるきっかけくらいにはなる内容のことであった。

 おじさんと僕の、意見の対立図はこうだ。

 舞台の正面の壁に、マイケルジャクソンのDVDが流されていた。
 その前で、マイケルのトリビュートダンスがパーティーの参加者によって行われていた。

 おじさんは、壁に映っている映像を見せる為に、壁当ての明かりを消せと言った。
 僕は壁当ての明かりのハレーションがダンサーを見せる役目をほんのりと担っているので、壁当ては、映像が見える程度につけておくべきだと考えていた。

 この壁当て照明に対する、考え方の違いがぶつかったのである。

 この考え方には背景がある。
 映像を見せるか、ダンサーを見せるか、そういった選択に関する問題だけではない。
 おじさんの、ダンサーより映像を、という主張には理由がある。
 それは、そこがパーティー会場だったことと深い関わりがある。
 簡単に言ってしまえば、ダンサーが見えるかどうかなんてどうでもよかったのである。
 もはやあの場所は舞台ではなかった。
 そこにいた全員が演者であり、純粋な観客、お客はあそこにはいなかったのである。
 だから、みなの見たい焦点はマイケルの映像であった。
 それに合わせてみなで踊り、語り合い、楽しみたかったのである。

 そこで、僕はまだ舞台人としての照明係のモードのままだった。
 観客がいる時の、最善の照明を作っていた。
 まあダンサーに明かりが当たることで、見られている、という(お互いの、も含む)緊張感が増す、という効果はあるにはあるのだが、あまりあの場面では、その効果は必要だとは思えなかった。もはやゴーゴータイム、完全に遊びの、ダンスを楽しむ時間だったから。
 だから僕はあそこで、モードを切り替えるべきだったのである。
 演劇・ショーの照明のモードから、今日のような、ああいった気持ちでみんなで楽しんでいる状態を、盛り上げる(もしくは邪魔しない)照明を作るモードに。

 空気を読むという業は、演劇において特に大事である。
 今日は、それを教わった気がする。

 一つだけ言い訳をさせていただくと、マイケルのDVDをバックに皆が踊ったのは、パーティーのいちばん最後で、それまでは普通の舞台(お笑い、演劇、ダンス、音楽等)を余興として幾つかやっていたのです。
 だから気持ち的に、全体の雰囲気が変わったのを察知し損ねました。。。

 頑張ります。


   *  *  *


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サングラス

2010年01月01日 04時12分03秒 | 詩集・つれづれ
 みなさま、今年もよろしくお願いいたします。

 数時間前、父と氏神様へ初詣に行ってきました。
 二ヶ所神社をハシゴしました。両方とも一時間くらい並んだかな~。

 帰ってきて風呂に入り、そのあとボ~っとCDTV観てたらムクムクと創作意欲が湧いてきて、数十分で詩を一つ書き上げました。
 大したもんじゃないんですが、新年のご挨拶代わりにお贈り致します。


  サングラス


 明日 朝を見たなら
 昨日の夜の 夢を忘れよう
 夢を 忘れよう

 かなり確実な感じで
 夢を語れたなら
 恥ずかしがらずに
 滑り台飛び降りる感じで
 あの朝に舞い戻ろう

 見た
 見た
 夢を見た

 フワフワな感じで
 モリモリな食感で
 誰も見られない
 誰にもわからない
 あの朝の感じで

 道焦がして
 分からなくなったら 振り返って
 ショック感じて
 大地の血を流さんばかり
 心の血潮
 さあ突き刺して
 この胸の奥
 さあ突き刺して

 見えないなら見るんじゃない
 語るんなら語るんじゃない
 さあ射して攻撃して
 なにも見えない真っ暗闇を
 突き通す強さ 心に秘めて
 光求めずに
 影に頼らずに
 キッチンから見た景色
 心に留めて

 夜の闇なら
 ヒカリ宿らない
 心枯らしたら
 息留まらない
 夜と光の間にある
 あの夢の続き
 きっとここにある
 あの続き
 心の中にある

 みんな同じだったら
 なにも生まれない
 違いから 命が生まれる
 アイは チガイから生まれる
 違いを愛する事から
 愛が生まれる
 キチガイを愛す事で
 地球が生まれる

 世界は 生まれる事と死ぬ事に
 縛られていない
 言葉は
 世界を超える
 命は
 存在ハ
 言葉ノ鏡
 鏡の河
 なにもかも流し
 なにもかもを映し込む
 あなたを映しながら
 それは流れてゆく
 留まることなく
 それは流れてゆく
 けれど
 あなたを見ているんだ
 私は一人じゃない
 全ての私が
 あなたを見ているんだ
 貴方はひとりじゃない