おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
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そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #08(二)、09

2011年08月15日 02時51分09秒 | SUKYSH CLOUD
♯08 キロの家の中(二)


 キロは話し始める間をはかって、話を始めた。

キロ「最近のことなんです。
あいつらが教会に居座るようになって、
村のあちこちを統治し始めたのは」
バルシア「アイグラントの奴らは、この村を占領しようとしてるの?」
キロ「いえ、そういうふうには見えません。ただ……」
バルシア「ただ?」
キロ「村の特産物、ゴウリの実を独占しようとしているんです」
ボイスカ「ゴウリの実……とは初めて聞く」
キロ「………
世界中でもこの地方でしか採れないものだと聞いています
この村のあちこちには、ゴリの木が生えています
その木になる「ゴウリの実」には
不思議な力が秘められているんです」
ライタ「不思議な力!? それってどんな?」
キロ「………
私には祖父がいます
奥の部屋に寝ていて、難病を患っています
その祖父の病気に効く薬は、ゴウリの実がないと作れません
祖父の命はゴウリの実が握っていると言って過言ではないんです」
バルシア「そうか」
キロ「その他にも、魔法の力と融合させれば、ゴウリの実を基に
様々な奇跡を起こすことができると聞いています」
バルシア「なるほどね
その不思議な力を持つ木の実を、
アイグラント帝国が独占しようとしているんだ」
キロ「その通りなんです
昔は村人の誰もが、この実を採る事ができたのに、
今ではアイグラント帝国の執拗な監視の目をすり抜けないと、
ゴウリの実を手にすることが出来なくなってしまいました」
バルシア「さっきは、お祖父さんのためにその実を集めていたところを
不運にも奴らに見付かっちゃったって訳ね」
キロ「そうなんです
今までは一度もしくじることなく、祖父の薬を作ってきました
でも今日初めて、奴らに見付かってしまったんです
怖かった
もし皆さんがいらっしゃらなかったら、
どうなっていたことか、想像もつきません
本当にありがとうございました」
ライタ「アイグラントの奴らに襲われている人を、しかも女の子を、
黙って見過ごすわけにはいきませんよね、師匠」
ボイスカ「当然じゃな」
キロ「ありがとうございます……
それでは皆さんお疲れでしょう
奥の部屋に寝床を作れます
ゆっくりお休み頂ければと思います」
バルシア「ちょっと待って! もちろん出来たらでいいんだけどさ、
そのゴウリの実ってやつを、一目見たいなあ、なんて」
ライタ「俺も興味ある」
キロ「あぁ、いいですよ。ちょっとだけお待ちください」

 キロは奥の部屋(キッチン?)へ引っ込む
 と、すぐに戻ってくる

キロ「こちらです」
ボイスカ「ほぉ」
ライタ「へえ~っ!」
バルシア「綺麗ね!」

 ゴウリの実は、フワフワとして光沢のある、
銀色の綿毛に包まれていた

キロ「綺麗ですよね
でも効力があるのは中身の方
こうして割って、中を取り出すんですよ」

 キロは、手に持った金属の道具で、器用に中身を取り出した

ライタ「へえ」
バルシア「さすが手馴れてる」
キロ「これに魔法的な作用を施して、薬にするんです」

 ライタは何を思ったのかジーッと実の中身を見詰めて
 さらに臭いなんぞを嗅いだりした後で、

ライタ「これ、食ったら美味い?」
バルシア「バッカねえ。これ今は採れないもんなんだから、
それはとっても贅沢な台詞よ」
キロ「昔は私もこれをよく生で食べてました。
甘酸っぱくて美味しいんですよ」

 会話の中で、キロはライタとボイスカの方を避けるように見ない。

ライタ「それ、食べてみてーーー!!!
やっぱりアイグラント帝国許すまじだ!」

 少し和やかな雰囲気になった

ボイスカ「じゃあ、休むか」
バルシア「キロちゃん、ありがとねー♪」
キロ「いーえ。こちらこそ助けて頂いてありがとうございました」
ライタ「こっちの部屋を借りて、いいのかな」
キロ「はい」

 ライタ達は移動(退場)

 四人の就寝の挨拶が、声だけで聞こえた

 暫くしてキロが戻ってきて(再入場)


♯09 神木Ⅱ


【SE 木の葉・風】

 キロは、ルーン・ツリーの前に再びやってくる

キロ「やっぱり……
あの人たちについていくのが、私の定めなの?
でも……おじいちゃんはどうすればいいのよ!?」

 キロはしばらくその場で佇んでいたが、家への道を戻る

【暗転】

SUKYSH CLOUD~太陽の降る村Ver2.0 #8

2011年08月10日 00時09分13秒 | 日々つれづれ
#08 キロの家の中(一)


 キロは奥にある台所で、お茶を煎れている

バルシア「キロちゃん、お構いなくね」
キロ「(優しく)はい」
ライタ「(キロの方を伺って)酒?酒?」
ボイスカ「お前さんは黙っとれ」

 キロが、煎れたお茶を三人の居る食堂・兼談話室まで運んでくる

キロ「裏の山で採れた薬草を煎じたものです
旅の疲れなんて吹き飛びますよ
どうぞ」
ライタ「いただきまーす!」
バルシア「いただきます」
ボイスカ「いただきます」

 ライタは、お茶を一気に飲み干す

ライタ「……ひえっ、辛っ……苦っ……」

 ライタは涙目

ライタ「ちょっとキロちゃん……水、貰えるかな」
キロ「……待っていてください」

 キロは再び奥の部屋へ引っ込む

バルシア「バカねえ、一気に飲むからよ
それにしてもこのお茶、不思議な味ねえ」

 ボイスカは日本酒でも飲むように、チビチビと飲んでいる

 キロが戻ってくる
 ライタに持ってきた水を渡す
 ライタはこれまた一気に飲み干す

キロ「味は変わってますけど、カラダへの効き目は抜群です
魔法の薬と言ったところでしょうか」

 ボイスカは出されたグルンティーをぐいっと飲み切り、
キロの方に向き直った

ボイスカ「キロさんで間違いなかったかな……お前さん、魔法遣いかね?」
キロ「えっ?
えっと、そんな大それたもんじゃないんですけど、
私は、植物を操る魔法をいくつか遣えます
このお茶も、その魔法の力を応用して作ったもので……」
ライタ「植物を操る?
そんな魔法遣い初めてだよ!
例えば、どんな事ができるの?」
キロ「……そうですね……えっと……」

 ここでバルシアが話を遮って

バルシア「そう言えば自己紹介がまだだったわね」
ライタ「嘘だ」
バルシア「(ライタの発言は無視)私はバルシア
フィンドゥーマ教の司祭よ。よろしくね」
キロ「よろしくお願いしますぅ」
ライタ「俺はライタ!
旅の剣士。世界一強い男だ。よろしくな」
キロ「はあ……どーも……」
ボイスカ「儂はボイスカ
この自信過剰の事が心配で、旅に同行しておる
こやつの育ての親だ」
キロ「………」
バルシア「さて、我々の紹介が済んだところで
今度はキロちゃん、あなたの方よ
単刀直入に訊くけど、
さっきはなんであんなのに襲われてたの?」
ライタ「アイツら、アイグラント帝国の手の者だった」
ボイスカ「アイガ紋章を身に付けてたからな。間違いなかろう」
キロ「それは……事情を話すと長い話になります。よろしいですか?」
バルシア「もちろん! ね?」
ライタ「ああ、もちろんだよ」
ボイスカ「儂も興味があるの」

     *

 この部分は、原作と変えていないところがいくつも出てきています。
 手を抜いているわけではないんですよう~笑
 これからの展開は、原作と全く変わってくるはずです。
 どう進むのか、作者にも予想つかない。笑