再見!
私は生まれ変わりを信じます。
なんでかって?
それは、このお話をお伝えしたあとに、お答えします(笑)。
*
この話の主人公は、うちで飼っていた犬の『らぴす』……それからのちに生まれた彼の娘の『ばりす』……でありやす。
うちの両親は犬だって家族の一員!という精神を徹底している人たちなんです。
だから旅行するにもらぴすを連れて行くし、
お父さん「こら、らぴす! こんなとこでウンコすんな!」
(笑)それから、ご飯の時も、家族と一緒に食べます。
お母さん「そんなの当たり前じゃないねえ?」
私がらぴすとの思い出の中で一番憶えているのが、小学校の運動会での出来事。
私が徒競走に出場した時……
放送「いよいよ、スタートです……!」
『パーン!!』
でも走り出してから私、すぐに転んでしまったんです。
すると、観客席にいたらぴすが私の方に飛び出してきました。
私は驚いて、
「らぴす、私大丈夫だよ!」
と言って起き上がろうとしたら、彼は私をあっさり追い抜いて、前の子達も抜き去ってトップでテープを切ってしまったのでした……
観客席は大爆笑。
もちろん、他にも思い出は沢山あります。
でも今、らぴすはいません。交通事故で死んでしまったんです。
その代わりに、らぴすの娘の『ばりす』がいます。
私には兄と弟がいます。兄は東京の大学に行き、そこで一匹の♀犬(めすいぬ)を飼い始めました。その頃はまだ、らぴすは元気に生きてます。
兄は、東京で一人暮らしして、らぴすが自分の家にはいないからって……?
お母さん「あの子、犬のいない生活が耐えられなくなったのよ、きっと」
うーん……やっぱり、そうだったのかな……?(笑)
その次のお正月に、兄がその犬を連れて家に帰ってきました。
兄「そろそろらぴすも連れ合い見付けなきゃなあ」
そんなことを言っているさ中……らぴすは、その兄が連れてきた犬と、恋に落ちました。
そうして正月が終わり、兄と愛犬は東京に帰って、しばらくして彼女はらぴすとのの子供を何匹か生みました。ちょうどその頃です。らぴすが亡くなったのは。
悲しむ私に、兄は子犬を一匹くれました。
しばらくして、兄は東京で起きた大地震の被災者となり、帰らぬ人となりました。愛犬の行方は分かりません。
あれから一年が経ちました。
家の裏山の崖の下には、らぴすのお墓があります。
けれど、今は冬。雪が積もっていてお墓は見えません。
弟が、お墓の上に犬の形をした雪だるまを作りました。
私はあのお正月に皆で撮った写真をだるまの前に置きます。みなのことを思って、手を合わせました。
その瞬間、大きな音がして、らぴすの雪だるまの上に『ばりす』が落ちてきました。
驚いた私が見上げると、弟が心配そうに崖の上からこちらを覗き込んでいます。
ばりすは今生まれ落ちた赤ん坊の様に、キョトンとこちらを見ています。
『まるで、らぴすがばりすに生まれ変わったみたい。』
私は言いました。
「ばりす、怪我もなくて本当によかった。今わかったよ、お前は皆の生まれ変わりなんだ! 神様がくれた大切な宝物だ!」
私はばりすをギウと抱き締めました。
*
これで、お話は終わり。
あれ?(笑)……答えになってないかな?