若い頃は老いるにしたがって人は色んなことが楽になるに違い
ないと思ってた、のどかな春の日の午後、公園のベンチにすわ
り、ぼんやりと遠くを眺めている老人は皆、人生を超越し、達
観しているのだろうと信じていた、これは作家小池真理子氏が
最近のエッセイで語った言葉である。
そして感情が和らぎ、物静かなあきらめが心身を解放し、人生
は総じて優しい夕暮れの光のようなヴェールに包まれているの
だろうと、だがそれは、とんでもない誤解であった、老年期と
思春期の一体どこに違いがあるのだろうか?という言葉が興味
深い、なぜなら私自身もそう思ってるからだ。
老年期の落ち着きはほとんどの場合、みせかけのものにすぎず、
たいていの人は心の中で思春期だったころと変わらぬどうにも
しかたない感受性と日々闘って生きていると結んでるが同世代
として共感できる。