Ruth Benedictのあまりに有名な日本文化論。
学生時代はレポートのために無理やり読まされたので、全く消化不良に終わって
しまった。が、今読み返してみると、結構おもしろくて一気に終える。
私自身が海外で暮らして異文化経験が豊かになったことや、やはりトシとって
理解力が勝ってきたためか。
46年出版。戦時中のため現地調査ができないという、文化人類学者として
致命的なハンデを負いながら、文献や日系人とのインタビューを通してまと
めたもの。なので、申し訳ないがハズレてる箇所が散見。例えば、日本人
には死後の世界の概念がなく、地獄・天国といった概念も存在しないとか。
えっ、このオバサン、どっからそんなガセネタを?!ま、確かにキリスト教
における地獄天国とは同じとはいえないが、昔から極楽や地獄の概念はあった
し、三途の川の話だって子供でも知っている。
彼女にすれば、「フン、私だってネットの時代に生きて現地調査も可能だったら、
もっとマシな論文が書けたのよっ!」ということかもしれない。
また日本兵俘虜の変わり身の早さを「アメリカ人には理解し難い」としている
が、これも彼女が「戦時中の日本人は誰もが勝利を信じて疑わなかった」と
「信じて疑わなかった」浅薄さを物語っている。実際には、そんな日本人
ばかりではなかった(らしい。私は生まれてないけど)。
母には二人の兄がいた。次兄は親に黙って陸軍士官学校に行ってしまった
くらいの軍国少年だったが、エンジニアだった長兄は戦争勃発当時から「日本
は負ける」と知っていた。赤紙が来て南方で戦死してしまったが、彼がもし
俘虜として囚われていたら、Benedictが描写する俘虜と同じ行為をとったかも
しれないと、私は思う。それはヤケになって国を売るとかそういうことでは
全くなく、正常な判断能力を持つ人間が当然とるべき行動であり、犠牲者が
これ以上出ないうちに無駄な戦いを一秒でも早く終わらせる努力である。
名門ヴァッサーを経てコロンビアで博士号をとった彼女は、終始冷静な学者
の目で日本人を「観察」している。実際に日本で生活し日本文化論を記した
いくつかの西欧人達の優しい眼差しとは、全く異なる。彼女にとって日本人
は研究対象でしかなく、友人となり得る存在ではなかったのだ。
学生時代はレポートのために無理やり読まされたので、全く消化不良に終わって
しまった。が、今読み返してみると、結構おもしろくて一気に終える。
私自身が海外で暮らして異文化経験が豊かになったことや、やはりトシとって
理解力が勝ってきたためか。
46年出版。戦時中のため現地調査ができないという、文化人類学者として
致命的なハンデを負いながら、文献や日系人とのインタビューを通してまと
めたもの。なので、申し訳ないがハズレてる箇所が散見。例えば、日本人
には死後の世界の概念がなく、地獄・天国といった概念も存在しないとか。
えっ、このオバサン、どっからそんなガセネタを?!ま、確かにキリスト教
における地獄天国とは同じとはいえないが、昔から極楽や地獄の概念はあった
し、三途の川の話だって子供でも知っている。
彼女にすれば、「フン、私だってネットの時代に生きて現地調査も可能だったら、
もっとマシな論文が書けたのよっ!」ということかもしれない。
また日本兵俘虜の変わり身の早さを「アメリカ人には理解し難い」としている
が、これも彼女が「戦時中の日本人は誰もが勝利を信じて疑わなかった」と
「信じて疑わなかった」浅薄さを物語っている。実際には、そんな日本人
ばかりではなかった(らしい。私は生まれてないけど)。
母には二人の兄がいた。次兄は親に黙って陸軍士官学校に行ってしまった
くらいの軍国少年だったが、エンジニアだった長兄は戦争勃発当時から「日本
は負ける」と知っていた。赤紙が来て南方で戦死してしまったが、彼がもし
俘虜として囚われていたら、Benedictが描写する俘虜と同じ行為をとったかも
しれないと、私は思う。それはヤケになって国を売るとかそういうことでは
全くなく、正常な判断能力を持つ人間が当然とるべき行動であり、犠牲者が
これ以上出ないうちに無駄な戦いを一秒でも早く終わらせる努力である。
名門ヴァッサーを経てコロンビアで博士号をとった彼女は、終始冷静な学者
の目で日本人を「観察」している。実際に日本で生活し日本文化論を記した
いくつかの西欧人達の優しい眼差しとは、全く異なる。彼女にとって日本人
は研究対象でしかなく、友人となり得る存在ではなかったのだ。