今月22日の未明、東海道新幹線の保守車両同士の追突脱線事故で大きな影響が出ました。
事故発生の原因については現在調査中との事ですが、現時点での公開データから「原因となり得る現象」を考えてみました。
ネットで「東海道新幹線の保守車両事故 ブレーキ 自動」などのキーワードで検索すると多くのデータを閲覧できるのですが、この内容は「保守車両の自動ブレーキシステムが働いていた事は確認されているが、実際にブレーキが効かずに追突した」と言う事のようです。
これが何を意味するのか?と言うと、つまり「自動ブレーキシステムのコンピューターかコントローラ、或いはその他の制御機器からブレーキONの出力はなされていたが、ブレーキと言うアクチュエータの方がそのコマンド通りに動作しなかった」わけで、ならば「何故そうなったのか?」となると、疑わしいのは「ブレーキONの出力信号を拾う側、つまりこの信号を中継するしたり、最終的にブレーキを作動するアクチュエータ内のブレーキON信号受けて実際のブレーキをONさせる部分がうまく機能しなかった」と言う事が疑われる事になります。
制御システムからのブレーキON信号が、デジタル通信なのか、有接点リレーシーケンスなのかは調べ切れていませんが、いずれにしてもブレーキ本体と言うアクチュエータを動かすには信号変換部分が有るのは当然です。
その変換部分には配線端子があるわけで、制御盤やコントローラなどを使った現場のトラブルから考えると、もしかして「端子の緩みか埃や水などによる端子の短絡、或いは制御配線の焼損」なのかな、と普通に考えられてくるわけです。
「それなら端子の緩みで電気信号がうまく伝わらずブレーキが作動しなかったのでは?」と考えてはイケマセン。
制御設計する時には何かの故障、特に制御やアクチュエータの電源が操作ミスや不具合などで「断」となった時には安全サイドに動作するように安全システムを構築するのが基本です。
例えばガス遮断弁は「遮断弁の電源がOFFになった時には遮断弁を閉にする」ように出来てます。
なので作業車両のブレーキもブレーキ信号の電源やブレーキ本体の電源がOFFとなった時にはブレーキが作動するように設計されているはずです。
と言う事は「ブレーキシステムがブレーキONのコマンドを出力したにも関わらず、ブレーキが動作しなかった」と言う事はつまり「ブレーキ信号系統か或いはブレーキ本体の電源がどこかで短絡していて電源がONの偽信号状態になってしまった」可能性を疑わなければなりません。
それで端子間の短絡がどのような場合に起きるかは上記の通り、「埃か、水か、埃と水の両方、つまりじめじめした埃」のいずれかで有る事が多いので、制御機器には多くの場合、制御盤や制御BOXにフィルターが装着されている点から考えると、「水が怪しい」となって来ます。
「ならば水しぶきや雨が入り込んだのだろう」、となるとそう簡単には水しぶきや雨が入り込むような構造になっていないのが普通です。
と言う事で炙り出されて来る原因とは「結露」。
結露による端子間などの短絡なら有りえなくもない、と言う事で事故発生の場所(三河安城と豊橋の間で蒲郡市内)と時間帯(7月22日未明)について豊橋と岡崎(安城のデータを見つける事ができなかったのでこのサイトで見られる蒲郡に最も近い所として岡崎のデータを拾いました)のデータを調べると次の通りです。
引用開始 2件(一部抜粋)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/hourly_a1.php?prec_no=51&block_no=0470&year=2024&month=7&day=22&view=p1
豊橋(愛知県) 2024年7月22日(1時間ごとの値)
時間 気温 露点温度 蒸気圧 湿度
(℃) (℃) (hPa) (%)
1 0.0 27.0 26.1 33.9 95 1.0 北東 /// ///
2 0.0 26.7 26.0 33.6 96 1.6 北 /// ///
3 0.0 26.5 25.6 32.9 95 1.4 北東 /// ///
4 0.0 26.4 26.1 33.7 98 1.0 北北東 /// ///
5 0.0 26.0 26.0 33.6 100 0.4 南 0.0 /// ///
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/hourly_a1.php?prec_no=51&block_no=0467&year=2024&month=7&day=22&view=p1
岡崎(愛知県) 2024年7月22日(1時間ごとの値)
時間 気温 露点温度 蒸気圧 湿度
(℃) (℃) (hPa) (%)
1 0.0 26.3 23.8 29.4 86 1.0 東南東 /// ///
2 0.0 25.9 23.8 29.4 88 0.9 南東 /// ///
3 0.0 25.5 23.6 29.1 89 0.9 南東 /// ///
4 0.0 25.3 23.4 28.7 89 1.1 南東 /// ///
5 0.0 25.1 23.5 29.0 91 0.8 南東 0.0 /// ///
引用終了
作業車両は豊橋と三河安城の間で作業をしてこの作業終了後に豊橋に戻る途中の下り坂で事故となったようです。
このデータで見逃してはいけないのが、午前2時から午前5時の間に岡崎では気温が26℃に達していない事から、工事車両の多くの部分が26℃以下、特に午前3時以降は25.5℃以下になっていた可能性がある事。
一方で豊橋では午前2時から午前5時の間に露点温度が25.6℃~26.1℃で有った事。
蒲郡付近では海岸に近いのでやや豊橋寄りの湿度だった事を考えると、特に未明にあたる午前3時~5時は作業車両の多くの部分が25.5℃に達しておらず、このままこの作業車両が蒲郡付近に来た時に露天温度の26℃より車両の多くの部分で結露が発生した、と言う可能性が考えられてくるわけです。
必ずしもこれが原因、とは言い切れませんが、今後の事故発生原因となり得る事象の一つとして想定されてもおかしくないと考えていますので今回記事にしました。
果たして原因究明で何がわかって来るのか?
注目です。
事故発生の原因については現在調査中との事ですが、現時点での公開データから「原因となり得る現象」を考えてみました。
ネットで「東海道新幹線の保守車両事故 ブレーキ 自動」などのキーワードで検索すると多くのデータを閲覧できるのですが、この内容は「保守車両の自動ブレーキシステムが働いていた事は確認されているが、実際にブレーキが効かずに追突した」と言う事のようです。
これが何を意味するのか?と言うと、つまり「自動ブレーキシステムのコンピューターかコントローラ、或いはその他の制御機器からブレーキONの出力はなされていたが、ブレーキと言うアクチュエータの方がそのコマンド通りに動作しなかった」わけで、ならば「何故そうなったのか?」となると、疑わしいのは「ブレーキONの出力信号を拾う側、つまりこの信号を中継するしたり、最終的にブレーキを作動するアクチュエータ内のブレーキON信号受けて実際のブレーキをONさせる部分がうまく機能しなかった」と言う事が疑われる事になります。
制御システムからのブレーキON信号が、デジタル通信なのか、有接点リレーシーケンスなのかは調べ切れていませんが、いずれにしてもブレーキ本体と言うアクチュエータを動かすには信号変換部分が有るのは当然です。
その変換部分には配線端子があるわけで、制御盤やコントローラなどを使った現場のトラブルから考えると、もしかして「端子の緩みか埃や水などによる端子の短絡、或いは制御配線の焼損」なのかな、と普通に考えられてくるわけです。
「それなら端子の緩みで電気信号がうまく伝わらずブレーキが作動しなかったのでは?」と考えてはイケマセン。
制御設計する時には何かの故障、特に制御やアクチュエータの電源が操作ミスや不具合などで「断」となった時には安全サイドに動作するように安全システムを構築するのが基本です。
例えばガス遮断弁は「遮断弁の電源がOFFになった時には遮断弁を閉にする」ように出来てます。
なので作業車両のブレーキもブレーキ信号の電源やブレーキ本体の電源がOFFとなった時にはブレーキが作動するように設計されているはずです。
と言う事は「ブレーキシステムがブレーキONのコマンドを出力したにも関わらず、ブレーキが動作しなかった」と言う事はつまり「ブレーキ信号系統か或いはブレーキ本体の電源がどこかで短絡していて電源がONの偽信号状態になってしまった」可能性を疑わなければなりません。
それで端子間の短絡がどのような場合に起きるかは上記の通り、「埃か、水か、埃と水の両方、つまりじめじめした埃」のいずれかで有る事が多いので、制御機器には多くの場合、制御盤や制御BOXにフィルターが装着されている点から考えると、「水が怪しい」となって来ます。
「ならば水しぶきや雨が入り込んだのだろう」、となるとそう簡単には水しぶきや雨が入り込むような構造になっていないのが普通です。
と言う事で炙り出されて来る原因とは「結露」。
結露による端子間などの短絡なら有りえなくもない、と言う事で事故発生の場所(三河安城と豊橋の間で蒲郡市内)と時間帯(7月22日未明)について豊橋と岡崎(安城のデータを見つける事ができなかったのでこのサイトで見られる蒲郡に最も近い所として岡崎のデータを拾いました)のデータを調べると次の通りです。
引用開始 2件(一部抜粋)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/hourly_a1.php?prec_no=51&block_no=0470&year=2024&month=7&day=22&view=p1
豊橋(愛知県) 2024年7月22日(1時間ごとの値)
時間 気温 露点温度 蒸気圧 湿度
(℃) (℃) (hPa) (%)
1 0.0 27.0 26.1 33.9 95 1.0 北東 /// ///
2 0.0 26.7 26.0 33.6 96 1.6 北 /// ///
3 0.0 26.5 25.6 32.9 95 1.4 北東 /// ///
4 0.0 26.4 26.1 33.7 98 1.0 北北東 /// ///
5 0.0 26.0 26.0 33.6 100 0.4 南 0.0 /// ///
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/hourly_a1.php?prec_no=51&block_no=0467&year=2024&month=7&day=22&view=p1
岡崎(愛知県) 2024年7月22日(1時間ごとの値)
時間 気温 露点温度 蒸気圧 湿度
(℃) (℃) (hPa) (%)
1 0.0 26.3 23.8 29.4 86 1.0 東南東 /// ///
2 0.0 25.9 23.8 29.4 88 0.9 南東 /// ///
3 0.0 25.5 23.6 29.1 89 0.9 南東 /// ///
4 0.0 25.3 23.4 28.7 89 1.1 南東 /// ///
5 0.0 25.1 23.5 29.0 91 0.8 南東 0.0 /// ///
引用終了
作業車両は豊橋と三河安城の間で作業をしてこの作業終了後に豊橋に戻る途中の下り坂で事故となったようです。
このデータで見逃してはいけないのが、午前2時から午前5時の間に岡崎では気温が26℃に達していない事から、工事車両の多くの部分が26℃以下、特に午前3時以降は25.5℃以下になっていた可能性がある事。
一方で豊橋では午前2時から午前5時の間に露点温度が25.6℃~26.1℃で有った事。
蒲郡付近では海岸に近いのでやや豊橋寄りの湿度だった事を考えると、特に未明にあたる午前3時~5時は作業車両の多くの部分が25.5℃に達しておらず、このままこの作業車両が蒲郡付近に来た時に露天温度の26℃より車両の多くの部分で結露が発生した、と言う可能性が考えられてくるわけです。
必ずしもこれが原因、とは言い切れませんが、今後の事故発生原因となり得る事象の一つとして想定されてもおかしくないと考えていますので今回記事にしました。
果たして原因究明で何がわかって来るのか?
注目です。