リマインドと想起の不一致(6)
ぼくという存在が、他人の目を通して、判断され、分類される。何人かの目がぼくとひじりをセットとして考える。無言の認可であった。
ぼくは彼女のことが好きであり、彼女はぼくに気がある。周知というものだ。彼は左利きとか、ほくろがあるという単純なる周知とは異なり、途中で変化があるかもしれない規定のことがら。例えば、先輩は恋人を変える。ぼくもそうするかもしれず、彼女も同じような行動を取るかもしれない。数歩ごとに時間はすすむが、同時に永遠性も感じている。一歩ずつが永遠にとつながる。
ぼくは質問され、答える。この日に思っていることを。お互いに好意をもったとはいえ何も知らないことにおどろく。知ることが好意ではなかった。好意があるんだから、より知りたいと願い、その増えた知識によっても、好意は増幅した。ぼくは信仰の話をしているようだった。
いっしょに帰ることになったが、よく考えれば目指す方向は別々だった。どちらかが提案したり促したわけでもないが途中の公園のベンチに並んですわった。そこで静かさを実感する。
「そろそろテストだよね」
「ゆううつだな」ぼくはそう返事をするが、今の気持ちは正反対だった。未来のゆううつは現在をしばることができない。
「得意なのは?」
「好きなのは、英語」
「今度、教えて」
ぼくは自分の有しているものを対価も考えずに与えることができる。見返りもなく、そして、いくらか尊敬されるかもしれない。だが、もっと彼女の頭の出来の方が上かもしれない。賢いことも魅力につながる。公園に冷たい風が吹き抜ける。ぼくらは立ち上がり、彼女の家へと向かう。契約もなく、約束という決まりもないのに。
ぼくという存在が、他人の目を通して、判断され、分類される。何人かの目がぼくとひじりをセットとして考える。無言の認可であった。
ぼくは彼女のことが好きであり、彼女はぼくに気がある。周知というものだ。彼は左利きとか、ほくろがあるという単純なる周知とは異なり、途中で変化があるかもしれない規定のことがら。例えば、先輩は恋人を変える。ぼくもそうするかもしれず、彼女も同じような行動を取るかもしれない。数歩ごとに時間はすすむが、同時に永遠性も感じている。一歩ずつが永遠にとつながる。
ぼくは質問され、答える。この日に思っていることを。お互いに好意をもったとはいえ何も知らないことにおどろく。知ることが好意ではなかった。好意があるんだから、より知りたいと願い、その増えた知識によっても、好意は増幅した。ぼくは信仰の話をしているようだった。
いっしょに帰ることになったが、よく考えれば目指す方向は別々だった。どちらかが提案したり促したわけでもないが途中の公園のベンチに並んですわった。そこで静かさを実感する。
「そろそろテストだよね」
「ゆううつだな」ぼくはそう返事をするが、今の気持ちは正反対だった。未来のゆううつは現在をしばることができない。
「得意なのは?」
「好きなのは、英語」
「今度、教えて」
ぼくは自分の有しているものを対価も考えずに与えることができる。見返りもなく、そして、いくらか尊敬されるかもしれない。だが、もっと彼女の頭の出来の方が上かもしれない。賢いことも魅力につながる。公園に冷たい風が吹き抜ける。ぼくらは立ち上がり、彼女の家へと向かう。契約もなく、約束という決まりもないのに。