塩原へ(1953.8月作)
修学旅行の思い出
匝瑳郡(そうさぐん)中学校連盟発行文芸誌
「さふさ」掲載
青葉の山道あえぎつつ
曲がりくねってバスは行く
山又山を越えながら
霧のはいよる崖道を
いで湯の町へバスは行く
鬼怒高原の山深く
白樺林の白き肌
赤きは嶺の百合の花
行けど走れど山遠く
いで湯の町へいつ着くか
五分休みの白滝を
過ぎればやがて下り坂
新湯を越せば眼の下に
いま見えだした憧れの
いで湯の町へバスは行く
道を抜けて(1954.5月作)
松林を抜けて
小高い丘の上を過ぎ
また 松林の中を
この道はどこまで続いて行くのか
そろそろ
春に
なりましたなあ・・・・・
若い農夫の声が
澄んだ空気を破って
聞こえて来る
やがて 途切れた道の向こうに
青々と葉色を青くした
麦の畑が一面に開けて来る
雨の中の浜辺(1954.9月作)
人影もない小さな漁船が
銀色の雨に濡れている
波もない鏡のような入り江に
雨は
音もなく降り続く
砂浜に
小さな麦わら帽子が一つ
転がっている 傍で
鴎が一羽
雨に濡れた羽根を休めて
沖を見つめている
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岬
または
不条理(9)
車はそれから二十分以上も走り続けて、もはやこれ以上行けば海に突き当たる、と思われた時にほんの十メートル程手前で右へ曲がった。
そこには細い砂の道が続いていて、半分以上が雑草に覆われていた。
周囲は雑草に覆われた平地で、所どころにポツンと一本、松の木が立っていたりした。
左手は見渡す限りの、荒々しく波の砕ける海の景色で、数限りない大小の岩々が押し寄せる波を砕いて白い飛沫を上げていた。
車はそれからまた、五分程走って右へ曲がった。今来た道へ出てしまうのでは、と思われた時、突然、左手に疎らな松林の中に建つ、白く瀟洒なコンクリートの建物が見えて来た。
いかにも瀟洒な建物で、この人里離れたこんな場所に、と思われるような違和感があった。それでも三津田は何故か、その建物を見た時、ホットするような安堵の気持ちを覚えていた。改めて、自分の席の横に置いた見知らぬ男から託された黒い鞄に意識を戻して手に取った。
これを、ここに住む人間に渡してしまえば、それで総てが終わりになると思うと、ようやく、この訳の分からない仕事から解放されるという気がして、体全体から力が抜けてゆくような感覚を味わった。と共に自分が無意識のうちに緊張感で体を固くしていた事を改めて認識した。
車はその間にも目の前に見えて来た白い建物に近付いていて、疎らな松林の中に開けた道に入った。白い大きな建物が目の前に迫って来た。
車はやや小ぶりな、よく手入れのされた庭に入る直前で停まった。
運転手の横にいた男がほとんど同時に自分の横のドアを開けて車を降りた。
三津田ガ開ける前に男が外側からドアを開けてくれた。
「お疲れ様でした」
男は鄭重に三津田に言った。
「いや、どうも」
三津田は応じた。
三津田が車を出ると男は早速、そのまま建物の正面玄関に通じるコンクリートの三和土の上を歩いて三津田を案内した。
建物玄関の内側はやや暗い感じで大きかった。
玄関に続いてよく磨き抜かれたフローリングの床が続いていた。
「どうぞ」
男は言うと自分から先に靴を脱いで上がった。
奥に長い廊下を、両側に見える三つのドアの前を通って、四つ目の左手のドアの前に立つと男は扉をノックした。
「あい」というような少し重い感じの声が内側から聞こえて来た。
男は無言のままドアを開けた。
「どうぞ」
と言って、三津田に中へ入るように勧めた。
三津田が勧められるままに入った部屋のほぼ正面には大きな机を前にして、椅子に掛けた白髪の綺麗な七十代かと思われる小柄な男がいた。
男は三津田の顔を見ると、
「おお」
と言って、笑顔を見せた。
穏やかな笑顔だった。なんとなく、三津田を安心させるようなものがあった。
「遠い所をわざわざお出で戴き、有難う御座います。さあ、どうぞ、お掛け下さい。早速、用件に入りたいと思いますので」
白髪の男はあくまでも穏やかだった。
三津田を案内した男はドアを閉めるとそのまま部屋に残った。
三津田は勧められままに椅子に掛け、手にした鞄をテーブルの上に置いた。
白髪の男に取っては総てが了解済みの事のようだった。顔一つ動かさなかった。
「これをお届けするように頼まれましたので、お持ちしました」
三津田は如何にも自分に取っては不本意な事なのだ、というようにぶっきら棒に言った。
「そうですか、有難う御座います。わたし共としましては、状況はよく分かりませんが、いずれにしてもお届け下さった事に感謝致します。で、報酬の事はお聞きになっておりますでしょうか ?」
男は相変わらず穏やかな笑顔で言った。
「いえ、ただ報酬は払いますとだけは聞いています」
三津田は硬い口調のままに言った。
「そうですか。勿論、わたし共としましても用意はしております」
白髪の男はそう言って机の引き出しを開け、茶色のありふれた一枚の封筒を取り出した。中に何かが入っている事は見た目にもすぐに分かった。
「それから僭越ですが、往復の交通費もここに用意してありますので、お納め下さい」
男は小さな四角い封筒を取り出した。
「では、わたしはこれで失礼してもいいでしょうか。お約束の物はお渡ししました事ですし、わたしには明日の仕事の用意もありますので」
三津田に取っては、どう見ても理不尽としか思えないこの、訳の分からない仕事を済ませてしまえば、見も知らぬ他人の家に長居をしなければならない理由など何もなかった。
「まあ、そう言わずにお茶でも如何ですか。わたし共としましても、お礼の気持ちだけでも思いますので」
男は言った。
「有難う御座います。でも、急ぎますから」
三津田の口調は突っけんどんでさえあった。
「そうですか」
男には敢えて三津田を引き留めようとする気持ちもないようだった。
「では、失礼ですが、この封筒の中をご確認して戴けませんでしょうか。こちらには謝礼として十万円、こちらには交通費として一万円、用意してあります。それで、もし、お間違えがなければここに、確かに受け取ったというサインをして戴きたいのです。わたし共としましても、依頼主に証拠として示したいものですから」
三津田は男が差し出した二つの封筒を手にすると中身を取り出し、確認した。
「間違いありませんでしょうか。もし、間違いがなければここにサインをお願いします」
三津田は男に言われるままにサインをした。
「有難う御座います」
白髪の男はそれから、その間、ずっと部屋の片隅に立っていた三津田を案内した男に向かって、
「駅までお送りしてくれないか」
と言った。
三津田を案内した男は
「はい」
と答えた。
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桂蓮様
有難う御座います
人との波長 拝見しました
波長が合う 合わない 人と人との
付き合いの中で これ程大切なものは
ないのではないでしょうか たとえ
高学歴の世間では立派な人間と思われる人の中にも
嫌な人間もいるし 巷に生きる平凡な人の中にも
好感の持てる人もいます いずれにしても
波長の合わない人間と付き合うのは 苦痛の伴う事
です
お住まい 随分 寒い所なんですね こちらも
今年は珍しく寒い冬になっています それにしても
その寒さの中 バレーに励む 楽しくなければ
出来ない事ですね なんだか バレーに付いて語る
その語り口も拝見していてとても楽しそうで読んでい
るわたくし自身も浮き浮きした気分に包まれます
練習風景が自ずと眼に浮かんで来ます 良い趣味を
見つけられましたね 体を動かす事は身体にも
心にも良い事で 充実した人生をお過ごしになれる
のではないでしょうか それにしても 御主人様
御理解のあるお方のようで 幸せそうな風景が
浮かんで来ます
修理して履く 着る 年齢を重ねると物が持つ
その重みが理解出来て来るようです わたくしも
この物が溢れた世の中で一つの物を後生大事に何年も
使ったりしています 貧しい時代に育ったせいか
物を捨てる事が出来ない性分になっています
わたくしの四畳半の部屋を見た者はゴミ屋敷だね と
言います ここに来ると今にも本や新聞の溜まった
切り抜きなどが頭の上に落ちて来るのではと思って
はらはらすると言います
韓国 日本 アメリカ それぞれにその国の
個性がある 同じ人間 分けるのはやはり環境で
しょうか
何時も有難う御座います
takeziisan様
有難う御座います
「寒い朝」 吉田正の最も好んだ曲
初めて知りました 外目から見た時
もっといい曲がこの人には一杯あると思うのですが
あの頃の吉永小百合は若かったですね
「鞍馬天狗」わたくしは戦前 父に連れられ
映画館で観た記憶があります 馬で風を切って
走り去る様 未だに記憶に焼き付いています
コダカラソウ 初めてです
イナゴ 懐かしいですね それこそ田圃の中の
道を通る時 稲の中から一斉に飛び立った景色が
眼の奥に残っています 凄まじい数でした
当時 わたくしの方では佃煮などにしていました
のどかな田園風景の記憶です
アルフレッド ハウゼ タンゴの大御所
いい曲がありましたね 懐かしいです
今の音楽は聴く気がしませんが 昔の音楽には
郷愁を誘われます
方言 「ナス」前回の「ソイ」にしてもなんとなく
東北 北陸などの言葉には優しさがあるような気が
します 一方 関東の言葉は粗っぽい感じがします
寒い中 よくお歩きです 風邪など充分
注意をいして下さい
これからも美しい写真など楽しみにしております
有難う御座いました
むしろ、当時の風景とか余情とかがフレッシュな感じのままですね。
文学青年だったのでしょう、きっと。
こっちは本当に冬の最中で、
道が凍って、こまめに塩をまかないと
歩くすらままならないです。
みんな道用の塩を買っているから
売り切れになって、
夫は4件の店回ってやっと何袋が変えました。
今度の土曜は大雪注意報が出てて
土曜の買い物もバレエレッスンもできないそうです。
夫は明日の金曜に買い物行って
土曜はどこへも出ないと言ってます。
今週は大変でしたよ。
家は部屋が4つありますが、
一階の奥の部屋を洋服と靴だけの部屋にしてます。
それがものに溢れて、整理できてなかったら
棚と生理袋をいっぱい買って
家で組み立て、
洋服と靴を全部片付けしたのです。
4つの棚を組み立てるだけで一日
部屋を全部ひっくり返し
整理整頓するのに丸一日かかって
忙しかったです。
自分のブログ開く閑も無かったです。
でも一番汚かった部屋が
今はきれいでこじんまりできたから
本当にやってよかったと部屋に入るたびに思ってます。
私は靴を集めるのが趣味な時があって
履くつもりなくても
きれいなだけで買っててました。
でも今度、新しくても
はかない靴は全部捨てちゃいました。
捨てるとすっきりしましたね。
服も靴ももう買わないと決心しましたね。
着ない服を袋に詰めてはおきましたけど、
もう意を決めてそれも捨てないとですが、
昔はブランドの服ばかり買ってたから
なかなか捨てる勇気が持てないですね。
服を整理しながら
本当に歳をとってしまったと実感、痛感しました。
洋服には想い出が詰まってますよね。