アメリカのテレビ界を揺さぶった実話を映画化
1950年代後半のアメリカのテレビ界を揺さぶった実話をロバート・レッドフォード監督が映画化しました。そのスキャンダルとは…。
NBCの人気クイズ番組「21」は、風采の上がらぬチャンピオン(ジョン・タートゥーロ)に代わって、ハンサムな大学教授(レイフ・ファインズ)をスターにするため、あらかじめ問題と解答を彼に知らせていたのです。
レッドフォード監督は、クイズ番組のやらせの実態をサスペンスフルに暴きながら、テレビが大衆を飲み込み始めた時代を見事に再現しています。そこには、テレビというメディアの持つゆがみや階層による差別なども描き込まれています。
また、当時のヒット曲「マック・ザ・ナイフ」の使い方も印象に残ります。オープニングでは軽快なリズムのものが流れ、何か楽しいことが起きるという期待感をあおりますが、全てが明るみに出たラストではスローなリズムに変調され、祭りが終わった後のような空しさを感じさせます。とてもうまい使い方です。
結局、この後もテレビは勝ち続け、クイズ番組も生き続けましたが、過去の事件を掘り起こし、今の時代にも通じる普遍的な問題として描いたところにアメリカ映画の本領が発揮されているのです。