ライアン・ゴズリングが、昼はスタントマン兼修理工、夜は車での“逃がし屋”を演じた『ドライヴ』(11)。デンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフンが監督したこの映画を、『シェーン』(53)の現代版のようだとする声がある。
流れ者の孤独な主人公が偶然知り合った人妻(キャリー・マリガン)に惚れ、彼女の幼い息子をかわいがり、前科者の亭主(オスカー・アイザック)を犯罪組織の手から救おうとする。
そして最後は自らの手で全てを精算し、傷を負いながら去っていく、という構図は確かに『シェーン』と似ているが、果たしてレフンは『シェーン』を意識して撮ったのだろうか。それとも偶然の一致なのか。このあたり、本人に確かめてみたくなる。
ところで、ジェームズ・サリスの原作『ドライヴ』は、かつてウォルター・ヒル監督作の『ザ・ドライバー』(78)として映画化されたことがある。
こちらは、主人公は同じくライアン・オニール演じる“逃がし屋”だが、ブルース・ダーンの刑事とのチェイスが中心に描かれ、イザベル・アジャーニの謎の女がこれに絡むという話になっていた。つまり同じ原作を基にしながら、全く別の映画が出来上がったというわけだ。
『ドライヴ』は、主人公が車を走らせるロサンゼルスの風景(『タクシードライバー』(76)のニューヨークとは別種の趣あり)、ニューシネマを思わせるスタイリッシュな映像や音楽も魅力の一つになっている。
そういえば、『タクシードライバー』は『捜索者』(56)に影響を受けているとする声もある。こういう話題はきりがない。