アイデアはなかなか面白いが…
数日間の行方不明の後、鳴海(長澤まさみ)の夫・真治(松田龍平)が別人のようになって帰ってきた。やがて、真治と同様の状態に陥る人々が増大し、町は不穏な世界へと姿を変えていく。そんな中、ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は、宇宙人を名乗る若者(高杉真宙)からガイド役を頼まれるが…。
前川知大が率いる劇団イキウメの舞台劇を黒沢清監督が映画化。「地球を侵略しに来た」と語る宇宙人が人々の概念を次々に奪っていく…というアイデアはなかなか面白く、人妻の魅力を感じさせる長澤、何を考えているのか分からない怪しげな雰囲気を漂わせる松田、宇宙人に感情移入する長谷川、不気味な若者=宇宙人の高杉ら、俳優陣も頑張りを見せる。
ただ、アメリカ映画の得意技の一つであるボディスナッチ(人体乗っ取り)物に、黒沢清流のひねりを加えているのだが、侵略の目的が不明な上に、人物描写にも雑な部分があり、曖昧な印象を抱かされるのが残念だ。